紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『科捜研の女 -劇場版-』を見た

◉ まいどおおきに〜映画メモでおます

 

【予告編】

 


 


 

 

STORY

京都、ロンドン、トロントなどで、科学者が高所から次々と飛び降りる連続変死事件が起きる。犯罪であることを裏付ける物的証拠が出てこないために自殺として処理されそうになるが、京都府科学捜査研究所の榊マリコ沢口靖子)と捜査一課の土門薫刑事(内藤剛志)、解剖医の風丘早月教授(若村麻由美)らは事件だとにらみ、独自に調べを進めていく。やがて捜査線上に、未知の細菌を発見して国際的注目を浴びた天才科学者・加賀野亘(佐々木蔵之介)が浮上する。だが、彼には確かなアリバイがあった。

キャスト

沢口靖子内藤剛志佐々木蔵之介若村麻由美風間トオル金田明夫斉藤暁西田健渡部秀山本ひかる石井一彰佐津川愛美、マギー、宮川一朗太片岡礼子阪田マサノブ中村靖日駒井蓮、水島麻理奈、渡辺いっけい小野武彦戸田菜穂田中健野村宏伸山崎一長田成哉奥田恵梨華、崎本大海

スタッフ

監督:兼崎涼介
脚本:櫻井武晴
音楽:川井憲次

上映時間
108分
 

◉ 私の見たまま、感じたまま ◉

 

このドラマTVで20年以上続いている。しかし、私は見たことがなかった。

沢口靖子が嫌いとかいうのではないが、なぜか警察ものに興味が湧かなかっただけだ。

 

劇場版が出来たというきっかけで見ることにした。知人が出演しているということも大きなきっかけだ。

 

今や、警察はサイバー部門、科学捜査部門が主要部を占めるようになっている。

もう10数年前になるがある大学院生から就職の話をきいた。

彼は大阪府警のサイバー部門を第一志望にしていた。以前なら考えられないことだ。

 

警察も防衛もこれからはテクノロジーとロボット、サイエンスの時代だ。

映画のシーンにも出てくるがあらゆる所に監視カメラが置かれ、一人一人が監視の網の目から逃れることは出来ない。

 

防御も攻撃も防犯も遠隔操作で対応できる範囲も広まった。

パトカーも自動運転ができ、ドローンで捜査もできる。

もう一歩時代が進めば取調べも嘘発見機センサーを装備した取調べロボット登場するだろう。

 

罪を犯した人のデーターは塩粒ほどのチップが身体に埋め込まれ刑務所もコンピューターで監視される。そんな事を考えながら見ていると非常にまだまだ人間的なドラマだなと思ってしまう。

 

今回の映画では細菌学の研究者が題材になっていておもしろい。コロナ騒ぎの中でそれを見るのも一興だ。痩せる腸内細菌を開発中に脳内圧が膨張したり、血小板が減少する事態が起きる。いくつもの事例が世界で多発。苦悶しながらタミフルの副反応のように高所から転落死する。その謎を解明するため榊マリ子が奮闘する。

 

イムリーな筋立てでおもしろい。ワクチン接種後の突然死がテーマなら

もっと興味を引いただろう。が、小さな映画館で秘密に上映されることになる。

 

高市早苗が総理になればそんな映画を作っただけで国家転覆罪に問われることになりそうだ。

くわばら、くわばら。

 

▩ 映画『鳩の撃退法』を見た

◯ まいどおおきに~映画メモでおます

ポスター画像

 

◯ 予告編

 

 

STORY

直木賞受賞経験のある作家・津田伸一(藤原竜也)は、担当編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)に執筆途中の新作小説を読ませていた。津田の体験を基にしたという新作に魅了される鳥飼だったが、大量の偽札や一家失踪事件、裏社会のドンといった話を聞くうちに、それが小説の中だけの話とは思えず困惑する。鳥飼は津田の話を頼りに、その新作が本当にフィクションなのか検証していく。

キャスト

藤原竜也、土屋太鳳、風間俊介西野七瀬佐津川愛美桜井ユキ柿澤勇人駿河太郎、浜野謙太、岩松了村上淳、坂井真紀、濱田岳ミッキー・カーチスリリー・フランキー豊川悦司

スタッフ

原作:佐藤正午
監督・脚本:タカハタ秀太
脚本:藤井清美
音楽:堀込高樹
主題歌:KIRINJI feat. Awich

上映時間  119分
 
 
◯ 見たまま・感じるまま ◯
 
直木賞作家・佐藤正午の同名ベストセラーを藤原竜也主演で映画化。
非常になじみにくい作品だ。タイトルを見てもよく分からない。
 
行きつ、戻りつ、ドラマは進行する。独特の手法だ。ミステリー小説を綴るように進行する。
その意味で画期的な映画だがいささか「虚」と「実」入り乱れた展開は注意してみないと筋が負えなくなってしまう。

藤原の演技は定評の如くだが。
それでも、脇を固める役者陣は実力者揃いで、それぞれに役どころを見事にこなしている。
 
途中、何度も原作を読んでいた方が理解がしやすいのかと思えるほどに現実と小説が入り交じり油断をすると置いていかれる感じが残るへんな映画だ。
 
ミステリー好きには多分たまらない映画だろう。
ある意味で映画の常識を破る作品に出会った。

▩ 映画『キネマの神様』を見た

◯ まいどおおきに~映画メモでおまんねん

 

予告編

 


 


 

 

STORY

ギャンブル狂いのゴウ(沢田研二)は、妻の淑子(宮本信子)や家族にもすでに見捨てられていた。そんな彼が唯一愛してやまないのが映画で、なじみの名画座の館主テラシン(小林稔侍)とゴウはかつて共に映画の撮影所で同じ釜の飯を食った仲だった。若き日のゴウ(菅田将暉)とテラシン(野田洋次郎)は、名監督やスター俳優を身近に見ながら青春を送っていた。

キャスト

沢田研二菅田将暉永野芽郁野田洋次郎北川景子寺島しのぶ小林稔侍、宮本信子

スタッフ

監督・脚本:山田洋次
脚本:朝原雄三
原作:原田マハ
音楽:岩代太郎
VFX監修:山崎貴
撮影:近森眞史
美術:西村貴志
照明:土山正人
編集:石島一秀
録音:長村翔太
プロデューサー:房俊介、阿部雅人

上映時間  125分
 
 
◯ みたまま・感じたまま ◯
 
山田組の集大成のような映画である。もともと主演はコロナで逝った志村けんだった。
それを沢田研二が力演している。さぞかし、志村さんも天国からエールをおくっていることだろう。
 
山田映画の特徴でもあるのだが細部にこだわりがある。たとえば家庭の冷蔵庫。どこの家にもあるように磁石のクリップやメモが貼られている。さらに、撮影所の告知ビラなども手書きだ。こんなところを見るとほのぼのとしてくる。
 
風景の中に鉄道の駅舎や鉄道が出てくる。
撮影開始に向かう監督に火打ち石で送り出すシーもとても目を引く。カツドウ屋の断面を見る。これらもノスタルジーにしっかり浸かれる細かい演出が随所に見られ映画好きにはたまらない仕掛けに満ちている。
 
一世を風靡したあの沢田研二がアル中、ギャンブル狂の老人でシルバーセンターのアルバイトで小遣い稼ぎをしているなどはかなり、リアルな老後だ。でも助監督時代のロマンスと連れそう二人の熱愛は老夫婦となった今も色あせない。嫌みなく爽やかでとてもいい。
 
『カットとカットの間に映画の神が宿る』という言葉は人生にも、仕事にも通じる至言だ。
志村の東村山音頭を歌うシーンは鎮魂のハイライトだ。
 
この映画を見た人は自分の青春の一コマにふと振り返ることになるだろう。
 
 

■ ほろりとする人情芝居 南條隆とスーパー兄弟 鈴成り座 2021/09/02

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます

 

〇現在の体制では鈴成り座は初乗りになる

 

〇芝居の醍醐味がいつ来ても見られる

 

◉日本一座員が多いのがこの劇団、関西公演は今月が最後になる。

 

★ 鈴成り座スケジュール

 

 

10  おもちゃ劇団

11  劇団九州男

12  劇団九州男

 

メンバー

総座長  龍美麗

座長  三代目南條隆

副座長  南條勇希

花形 魔裟斗

花形 一城風馬

 一平

一條春己

一條星弥

一美皇也

一條嵐志

南京弥

天生蛍

北條めぐみ

一條椿

一條みずき

一條花火

紅ほっぺ彩羽

係長 倉之介

大路にしき

はちみつ十和

二代目  コピーたかし

ベビーかつとら

どすこい琴羽

和・一信会会長  南條隆

 

☆ 顔見せミニショー

 

☆ 芝居「孝行出世桜」

 

配役

 

・龍美麗‥兄まさのすけ

・三代目南條隆‥おりく

・大路にしき‥母おしげ

・南條勇希‥青山の殿様

ほか

 

【あらすじ少し】

 

兄まさのすけは父を早くに亡くし貧しい家で育つ。勉強し佐々木家の婿養子となり、武士として立派な姿をしている。

 

家付き娘の妻・おりくには頭が上がらない。おりくはまさのすけが佐々木家に連れてきた義母・おしげが気に入らずいびる。

 

肩を揉むようにマサノスケに言わせ、力が入っていないから全く効かないと文句を言い、挙げ句にちょっと力を入れてと頼んだだけなのにアザがつくほど力を入れて揉み殺すつもりかと言い掛かりをつける。

 

今日は青山三千石の殿様が佐々木家自慢の吉野桜を見に来る日、母さんは奥へ行って顔を出さないでくれとマサノスケは言い付ける。

 

ところが、おしげは大事なお客様にお茶を出そうと気を使ったが、そのお茶を青山の殿様にかけてしまう。まさのすけは母に責任をとり出ていけという。

 

そこへ、弟・まさきちがうちに来たらいいじゃないかと登場!

 

今も親子三人で貧しく暮らしていた家に住む建大工のマサキチ、離れて暮らす母をいつも労い差し入れを持って行き来していた‥‥

 

歯向かう、まさのすけは耳を貸さず、まさきちの額を割る。額の割り返しがしたいなら、私と同等かそれ以上の身分になって来いと言い捨てる。

 

兄さんは悪い夢を見ているんだ、俯いた母にまさきちは優しく声を掛ける。さあおっ母負ぶって帰るよ、と背中を向けます。

 

母を背負ってまさきち吉野桜を見上げる。きれいな吉野桜だ。俺もいつかこの吉野桜のような立派な男に出世したいなぁ。花道を歩く座長。

 

さきちの後ろ姿を見送る殿様の妹・千歳に気付いた青山の殿様。今時珍しい親孝行な若者、娘の様子を見て妹の危ないところを助けた男がまさきちと知らされ、妹のよき良い婿が見つかったと喜ぶ。

 

時流れ、青山三千石のお嬢様の良縁の挨拶に、佐々木まさのすけ、おりく夫婦が青山家を訪ねる。その折、うちの婿殿だ、と紹介されたのが何と弟のまさきちだった‥‥

 

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紀州屋のみたまま、感じたまま

 

大衆演劇 姑の嫁いびりの原則

肩のもみかた、お茶の入れかたのいびりが定番メニュー

 

小気味よい仕返しに人情が絡む。せりふの間がいい、芝居が映える。

わかりやすい話だが所作とセリフで深みを増す。演者が違えば芝居も重厚。

 

 

☆ 劇団口上  座長 三代目南條隆ほかメンバー

・雨降る中のお運び厚く御礼申し上げます

・鈴成り座は親父の時代に乗って以来です

・関西公演はここが最後になります。来月からは九州になります。

・演目イベントは別記当ブログ参照

 

☆ 舞踊ショー

 

・ラスト「よっしゃこい」

 

【画像】

余韻ある舞台演出、王道の芝居が蘇る・紀州屋良五郎

▩ 映画『かば』を見た

◯ まいどおおきに映画メモでおます~だれが『かば』やねん

 

◉ 連日、ソーシャル配席で満席。十三・第七芸術劇場は席をNet予約するのが無難です。

凄い反響で連日ほぼ満席状態。

 

 

予告編

 


 

 

かば

2021年 / 日本 / 135分 / 「かば」製作委員会 配給

監督川本貴弘

出演山中アラタ、折目真穂、近藤里奈、木村知貴

公式サイトhttps://kaba-cinema.com/

前売券1,500円 バッヂ付き【公開初日前日まで販売】

 

1985年、夏。俺たちもセン公もアツかった。
1985年、バブル景気を迎えようとする日本に、世の中の矛盾が集まったかのような地域があった。 大阪西成区。出自、偏見、校内暴力、すさんだ家庭……過酷な環境のなかでよりよい明日を夢見て、悩み、苦しみ、しかしたくましく自分たちの生き方を模索するたくさんの子どもたちがそこにはいた。 彼らと向き合い、正面からぶつかった実在の教師、蒲益男(かば・ますお)の生き方を描いた感動の物語。 プロデューサー・監督・脚本の三役を務めるのはロックバンド・騒音寺のPVを手がけるなど 映像ディレクターとして活躍後、『秋桜残香』(2005)『傘の下』(2012)を監督した川本貴弘。 2010年に58歳で亡くなった蒲先生のことを知るや2014年から2年半にわたり取材。 教師と生徒が何度もぶつかっては理解し合った姿を知るにつれ、現代を生きる人たちへの道しるべに なるものが作れると確信。2017年にパイロット版をつくり映画製作への理解を訴え続けた結果、 2万人を超える人々から完成を望む声が寄せられた。 企画から7年、ついに映画は完成、ここに劇場公開が実現した。 教師と生徒である前に人と人として向き合い、互いに尊敬と信頼と理解を持つことの大切さ。 ソーシャルディスタンスが叫ばれる未曽有の混乱の今、真の人間同士のつながりとは何か、 これからの時代を生きるヒントがこの映画にはある。 実在した蒲先生を演じるのは、自身も大阪出身である山中アラタ。 ヒロインの新米教員・加藤先生を映画初主演となる折目真穂。もうひとりのヒロイン・由貴に NMB48を卒業後、女優として再始動する近藤里奈が映画初出演。 同僚教師役には木村知貴、牛丸亮、高見こころ、石川雄也ら実力派が脇を固める。 さらには関西の演劇界から皷美佳、浅雛拓、山本香織らが加わり、映画にリアリティを与えている。

 

 

 

◯ 私が見たまま・感じたまま ◯

 

妻が西成区で、この中学の近くの学校の出身で、義母はウチナー(沖縄県人)だった。

あまりにも身近に感じる映画だ。恋した女子は部落の子だった。

 

でも、私には差別感はない。というより差別されて生きてきた実感の方がある。

母子家庭であり芸者の母がなじめなかった。

父らしき人は何人も変わる少年時代は余りにも早熟にそだった。

 

5年生から一人で成人映画を見に行っていた。

とあることで中学時代にいじめに遭った。

その時に力になってくれたのは在日の同じ学年の生徒だった。

 

校舎の三階からオルガンが落ちてくる。学校は荒れていた。

まるでこの映画を地でいく中学生時代だった。トイレで子を産む女子がいたり。

 

売春に走る子もいた。ボスは教師とタバコのやりとりをしていた。

体育の教師はまるでヤクザで殴る、蹴るは日常だった。

しかし、この映画の主人公「かば」先生のような教師が沢山いた。

 

親身になって泣いてくれる教師もいた。手応えのある少年、青年時代を送れた大阪の町が大好きだ。いまがあるのは本音丸出しで生きてこれた日常があったからだと映画を見て改めて感謝したい。

 

映画を見て、懐かしい15才の少年時代に巡り会えた思いがした。

 

▩ 映画『孤狼の血 LEVEL2』を見た

○ まいどおおきに〜映画メモでおます

 

○ リアルかつ凄惨な現代ヤクザ映画である

 

 

 

STORY

広島県警呉原東署刑事二課の日岡秀一(松坂桃李)は、マル暴の刑事・大上章吾に代わり、広島の裏社会を治めていた。しかし、上林組組長の上林成浩(鈴木亮平)が刑務所から戻ったことをきっかけに、保たれていた秩序が乱れ始める。上林の存在と暴力団の抗争や警察組織の闇、さらにはマスコミのリークによって、日岡は追い詰められていく。

キャスト

松坂桃李鈴木亮平村上虹郎西野七瀬早乙女太一斎藤工吉田鋼太郎滝藤賢一中村獅童音尾琢真矢島健一

スタッフ

原作:柚月裕子
監督:白石和彌
企画・プロデュース:紀伊宗之
プロデューサー:天野和人、高橋大典
脚本:池上純哉
音楽:安川午朗
撮影:加藤航平
照明:川井稔
美術:今村力
録音:浦田和治

 

上映時間  139分
 
◯ 見たまま・感じたまま ◯
 
個性的な役者が凄まじいばかりの演技を繰り広げる現代ヤクザの映画としては決定打といえる。
時代は暴対法施行以前のようすを描く。
 
すでに法の範囲内で生きる経済ヤクザへ転身しながらもかつての任侠の「血」の流れも感じさせる。
 
警察の取り調べはユーモラスであり、リアルである。「すまんですんだら 不動産屋はいらんのじゃ」
すぐにわからなかったが見事なオチのつく恫喝だ。なんか、もめ事があったら使ってみたくなった。
 
それにしても「広島弁」というのは男が使っても女が使っても迫力のある方言だ。押しがきく言葉だ。
広島県警を舞台にしているので全編、広島弁で展開する。
 
裏社会の闇、警察の闇、暴力団関係者の闇、出生出自の闇、家族関係の闇がバイオレンス的に描かれている。凄惨な場面があるが決して誇張ではなく、本来はもっと凄まじいだろうことが想像される。
 
警察が暴力団と手を組み市民の治安を守るという建前の元、悪事が横行する。これは、戦後の動乱期の神戸をはじめあちこちでも見られた光景だ。
 
映画に写し出される群像が面白い。現在もそうではあるが暴力団構成員の中には被差別部落、在日外国人、創価学会の人達が多いのも事実だ。(映画ではそのタブーまでは詳しく描いていないが、宗教団体や政治権力まで踏み込むと風当たりはきついがもっとおもしろいものになるだろう)
 
寄る辺なき人々が義兄弟のぬくもり《血》を求めあい、一つの共同体の中に自分の存在を見いだす。「血のつながりの中に」おしひしがれた自分たちが安住を得るというのは至極当然の帰結だ。
 
官も民も巨悪は巧妙に姿を隠し、凄まじい闘争の犠牲は下っ端が担う。この方程式は今もなんら変わらないことを教えてくれる映画である。
 
 裏側がわからない奴がいっぱし、生きたと言えない世界があることを見せてくれる。貴方が刃を向けるとするならその向こうには誰がいるのか‥‥

 

 

 

▩ 映画『パンケーキを毒見する』を見た

◎ まいどおおきに映画メモでおます~時の首相も映画になる 横浜市長選に負けても副市長がカジノ業者から接待、賄賂をもらってもツラの皮は厚いぞ

 

 

 【予告編】

 

 

 

STORY

菅義偉氏は秋田のイチゴ農家から上京し、国会議員秘書横浜市会議員、衆議院議員を経て内閣総理大臣にまで登りつめる。内閣官房長官時代、記者会見における記者とのやり取りでも耳目を集めた菅氏は総理大臣就任早々、大手メディアの政治担当記者と「パンケーキ懇談会」を開き、携帯電話料金の値下げやデジタル庁の新設などに着手する一方で、日本学術会議の任命拒否や中小企業改革などを断行する。

キャスト

石破茂江田憲司前川喜平

スタッフ

企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
監督:内山雄人

上映時間   104分
 
 
◯私が見たままを感じるままに ◯
いやー思ったより年配者が多い。
 
若い人が政治に関心がないのはわかっていたつもりだが今、自分が生きている時代にも向き合わないんだな。現在の政権・政治の一面がよくわかるドキュメンタリーだ。
 
菅義偉をいろんな面から語ってみせる。辛辣な政治分析はわかりやすいアニメで見せる。
ちょっとひねった工夫も作風もかわいくていい。やはり映像ののちからは説得力がある。
 
石破・江田・前川各氏が語り出す管をとおして『権力』に魅せられた男・人間、菅義偉が解剖されている。改めて今までにない冷徹で恐ろしい人物であることがわかる。近づきたくもない人物だ。
 
間接的にせよそんな人物を推しだしたのは『自公』を選んだ民なのだ。
間近に迫った選挙で現政権を選べば彼は歴史に残る日本国100代の首相になる。
 
自公で過半数とれなくても、国民・維新を引込み政権の座に座り続けたいだろうことは推測される。私がこの映画を見てショックだったのは40代以下の人達が皆無だったことだ。
日が悪かったのか、はたまた場所が悪かったのか……
 
ワクチンの義務化は考えても選挙の義務化は考えない。
そして、若い人が政治の重要さに気づくときは徴兵制が降りかかるときだろうが、その時はきっと抵抗は出来ないだろう。
 
それにしても、なんでこんなに暗いのか、リズムがないのか、明るさがないのか、笑いがないのか
 
アーティストを含め若い人に共感を得るような明るい、笑えるドキュメンタリー映画はできないものなのか。変わってきたとはいえ、いわいる左翼的な人達の頭の固さ、窮屈さが投影された映画だ。
 
私は、きらいではないが若い人は寄りつかないことははっきりわかる。
引き寄せる要素が皆無だからである。
 
明るいところにしか蛾も蝶も引き寄せられないからだ。 おしまい。