紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信 はてな版

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』を見た

 

○まいどおおきに~映画メモでおます

 

寅さんの映画はすべて見てきた。

私が寅さんに惹かれるワケは渥美清さんがビートたけしさんと同じく浅草フランス座にも出演された浅草育ちの芸人であるからだ。

 

彼が演じるフーテンの寅の原型はテキ屋である。テキ屋はひとつの露天商で啖呵ひとつで売り歩く事を生業とする。だからいい加減な生き方ではない実力主義を旨とする放浪の商売人なのだ。ほんとうは今の世の中がいやでみんな自由に生きたいと願っているのではないか。

 

ほんの短いカットであるが映画のなかで小説家になった満男(吉岡秀隆)が新たな作品をつくる資料を編集者(池脇千鶴)に依頼するシーンがある。それは心の中にある懐かしい寅さんのルーツ大道芸を訪ねたくて資料を集めるシーンだった。

 

わたしは、ここに注目した。寅さんのどこに人が惹かれるのかキーワードを並べてみると「昭和」「家族」「きずな」などがうかぶ。

それらを繋ぐペーソスとノスタルジーは寅さんが紡ぎ出す台詞回しに詰まっている。

 

人を引きつけ放さず、立ち止まらせ釘付けにする言葉の魔術『啖呵』、寅さんの醍醐味は啖呵にある。

 

『張って悪いは親父のあたま、張らなきゃ食えない提灯屋、四谷赤坂麹町、チャラチャラ流れるお茶の水、粋な姉ちゃん立ちション便、けっこ―毛だらけ猫灰だらけお尻の周りは糞だらけ』と……

▼冒頭は泣き売から 泣かせて買わせる泣き売

映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』公式サイト

 

 

 

 

STORY

車寅次郎(渥美清)のおいである諏訪満男(吉岡秀隆)の妻の七回忌に一同が集まり、法事の後は昔話に花を咲かせていた。満男は長年会社員として働いたが、仕事の合間をぬって執筆していた小説が評価されて小説家に転進した。ある日、彼のサイン会が開かれ、その列に並ぶ人々の中に満男の初恋の相手イズミ(後藤久美子)がいた。

キャスト

渥美清倍賞千恵子吉岡秀隆後藤久美子前田吟池脇千鶴夏木マリ浅丘ルリ子、美保純、佐藤蛾次郎桜田ひより、北山雅康、カンニング竹山濱田マリ出川哲朗松野太紀、林家たま平、立川志らく小林稔侍、笹野高史橋爪功

スタッフ

原作・監督・脚本:山田洋次
脚本:朝原雄三
音楽:山本直純山本純ノ介
主題歌:桑田佳祐
撮影:近森眞史
美術監修:出川三男
美術:倉田智子、吉澤祥子
照明:土山正人
編集:石井巌、石島一秀
録音:岸田和美
プロデューサー:深澤宏

上映時間115分 七五調のせりふが決まれば役者が映える・啖呵がきまる座長といえば市川ひと丸さんと梅沢菊太郎さんだ。この作品で50作目、あらためて全作品を再び見返したくなる映画となった・紀州屋良五郎