紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『カイジ ファイナルゲーム』を見た

まいどおおきに映画メモでおます~

 

このシリーズずっと見てきた。今回も期待をうらぎらずあっという間に時間が過ぎた。

藤原竜也は好きな俳優・役者だ。今は亡き、蜷川幸雄の秘蔵っ子と言われた。

激しい薫陶を受け鍛えられた役者魂は舞台に、スクリーンに今花咲いている。

彼が師・蜷川幸雄さんの霊前に捧げた言葉(弔辞)にそれが現れている。

 

『俺のダメ出しでお前に伝えたことは全て言った。今は全て分かろうとしなくていもいい。いずれ理解できる時がくるから、そうしたら少しは楽になるから。
アジアの小さな島国の小さい俳優になるなと。
もっと苦しめ、泥水に顔をツッコんで、もがいて、苦しんで、本当にどうしようもなくなったときに手を挙げろ。その手を俺が必ず引っ張ってやるから」と蜷川さんそう言ってましたよ。』と。

 

役者魂の錬磨は一朝一夕にできるものではないんだという事を知らされた思いがする。

 

この映画とても時代を現している。

ゲームの決着は「人間の秤」で決着がつけられる。

ギャラリーを巻き込んでのゲームに演説の勝負がはじまる。

まさに、アメリカ大統領選挙の「トランプ」と「サンダース」の戦いのようだ。

 

冒頭からおもしろい、オリンピック終焉後の日本は急降下で経済が失速し、インフレが進行する。

缶ビールが一缶1000円、失業率は40%を超え、年金は大幅カット、生活保護は廃止、預金も封鎖される。

 

そんな中、虫けらのように扱われる貧しい人達。

「今だけ」「金だけ」「自分だけ」の空気が実際の社会の隅々まで蔓延する世の中のはじまりだ。

底辺が最も似合うと言われるカイジが命のゲームに挑む。

 

しかし、人の世はそんな単純ではない。裏切り、裏切られ、騙し合うドロドロしたマネーゲームの中に見え隠れするうごめく人間群像を福本伸行は見事に描いて見せてくれた。

藤原竜也のはまり役だ。おもしろい。

 

 

紀州屋良五郎