紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『AI崩壊』をみた

〇まいどおおきに〜映画メモでおます

 
STORY

天才科学者の桐生(大沢たかお)が開発した医療AI「のぞみ」が、国民の膨大な個人データを基に、人間を選別し殺りくを始める。人々がパニックに陥る中、AIを暴走させたテロリストと断定された桐生は逃走を図るが、警察のAI監視システムによって徐々に追い詰められていく。一方、桐生の義弟で「のぞみ」を運営する企業の代表を務める西村(賀来賢人)は、事態の収束に動いていた。

キャスト

大沢たかお賀来賢人広瀬アリス、岩田剛典、高嶋政宏芦名星玉城ティナ余貴美子松嶋菜々子三浦友和

スタッフ

監督・脚本:入江悠
企画・プロデューサー:北島直明

上映時間
131分
 
〇一言でいうとおすすめの映画だ。2030年の近未来の日本を描いている。大沢たかおの演技が冴えている。先ごろみた『カイジ  ファイナルゲーム』と不思議に一致する点がある。近未来の日本は財政は破綻し、生活保護者や高齢者が足枷となり大きな政治問題となっている。生産性、効率、能力の基準が人間の生存にあてはめられ容赦なく選別される時代に向かうという未来予告にもとれるシーンが再現されている。その中で夫婦、親子の情愛も描いているのは娯楽作品として清涼感のある演出だ。
〇まあ、実際はこの映画より速いスピードでそんな時代が当来するだろう。一億二千万人の遺伝子情報を含むすべての情報を巨大サーバーに取り込めばどんなことでもできてしまう。
 
〇先が読めてしまう時代にあって『人間』が生きるとはどんな意味があるのかを問われる。人が作ったAIに生存の意味を問われる時がいずれやってくる。病気の治療や未来予測の次にAIが人に投げかける問いはあなたは『何の為に生まれてきたの』という根源の1問だ。
 
AIを超えるものがあるとすれば己の命の意味を知ることしかない。そのアプローチの仕方はすべて自分の掌中にしかない。カネでも地位でも美醜でもない存在自体の価値を問う。難解だが面白い時代がやってくると想う。

紀州屋良五郎