紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 泣かせる人情芝居きまる 劇団雪月花(桜川翔) 鈴成り座 2020/02/15

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます

〇 大入り

 

鈴成り座スケジュール

03 優伎座  市川英儒

04  劇団昴  大和みずほ

 

劇団スケジュール   

03 尼崎・三和劇場  

04 和歌山・夢芝居

05 大江戸温泉箕面スパーガーデン   

 

メンバー

座長 桜川翔

近藤光

桜川明音

桜川れいか

桜川明澄心

大和 

 

 みゆり

ほか

 

二代目鹿島順

日舞

菊章吾

雷鉄命

 

・お芝居からのはじまり

 

芝居 「月夜の一文銭」(87)

・別名、上州土産百両首

(あらすじ)

・原作は大正から昭和にかけて新派の作品を多く手がけた劇作家・川村花菱だが、大衆演劇では松竹新喜劇による場合が多い。

 

・政吉‥座長・桜川翔

・牙次郎‥近藤光

・早縄のお京‥満みゆり

・役人‥雷鉄命ほか

・山猫の三次‥二代目鹿島順

ほか

 

八幡神社境内

山猫三次、牙次郎、政吉の小競り合い

山猫の盗みがばれて早縄に捕まり引かれてゆくのを見て牙次郎と政吉の二人が堅気になろうと決める。

 

スリの足を洗い板前の仕事に希望を託す兄貴分と弟分の牙次郎。二人は出世間をかけて別れて修行し、お互い死ぬ気になって地道に働こうと誓い合い三年たったら再会を約す。

政吉は別れ際に守り代わりにと牙次郎に一文銭を渡す

 

川堤

それから数年後、政吉は佐次郎と名を変えて料亭桔梗屋で板前になっていた。やがては料亭の娘と一緒になる運びだった。

ところが偶然かつての兄弟分・山猫の三次と再会する。三次はカネが出来ないなら死ぬしかないと告げる。できない時は自害しようとするというのを見かねて政吉は苦労して、ためた20両を授けてやるのだった。

 

 大衆演劇芝居には大ざっぱにいうと「泣き」の芝居と「笑い」の芝居があるが、桜川翔座長の場合はどちらかと言えば泣きがぴったりくる。情を揺さぶり、母性をくすぐる涙派だと思う。人には思い切り泣きたい時もある。泣く事で悩みを乗り越え、ストレス解消になる(涙活という)ことは震災後のメンタル調査で立証済だ。泣きたいときは「涙腺刺激劇団・雪月花」という路線もいい。日本一泣かせるお芝居ウィークもありだ。泣きの芝居と女形芝居に何かヒントが‥

 

 涙活とは

涙活 涙活(るいかつ)とは意識的に泣くことでストレス解消を図る活動のことである。 寺井広樹によって考案、提唱された言葉である。 ... こうした涙の効果に注目が集まり、泣ける映画や朗読を聞いて意識的に涙を流す涙活イベントも各地で開催され、泣ける話に特化した噺家として泣語家も登場している。

 

 近藤光さん、満みゆりさんの好演で芝居の厚み。

 

 すべてが言葉としての台詞にならない芝居がある。深い感慨はむしろ所作と無言の芝居だ。しかし、これ程難しい芸はない。それを見たのはほんのわずの役者さんだった。

 

しかし、これは図りゴトだった。桔梗屋の後釜に座ることを見込み絞りとると開き直る。諍いになり政吉は山猫を瞋から殺してしまう。

 

八幡神社境内

政吉と再会を約した日が近づく中、役人早縄お京の手下となっていた牙次郎は、首に百両という賞金のかかった上州無宿の正吉が江戸に向かっているという話を聞く。

 

手柄を立てて出世した自分を政吉に見せたくて、自分に捕まえさせてくれと早縄のお京に頼む牙次郎。

 

そして約束の日。再会を喜んだ牙次郎に、正吉、左次郎(政吉)は自分が人相書きの回っている懸賞ものだと打ち明ける。「縄をかけてくれ」と早縄に懇願する。牙次郎は無念ながらも縄を打つ。

 

上州無宿の正吉は、「牙次郎の手柄にしてやってくれ」と早縄に頼む。

 

運命に泣く二人、友情に震える二人。 幕。

 

※こきりこ節流れ

 

舞台口上   桜川翔座長

4年ぐらいかかって大阪、大衆演劇の中心地まで来ましたと感慨込めて語る。

・花魁ショー思い語る

・前売り券&グッズ販売

 

歌謡舞踊ショー  (60)

 

・股旅舞踊決まる‥雷鉄命  

    いつか見たい俵星玄蕃

 

大衆演劇の舞踊でむつかしいのは歌詞の意味をどう表現するかなのだが、これは難題。

 

・初めて書くがこの劇団、花魁ショーだけではなく座長の衣裳が極めて素晴らしいのだ。まるで西陣織物会館の着物ショーを見ているようだ。

 

・ラスト  ズンドコメドレー

【画像】

蝶が脱皮するように刻々と変化する劇団が面白いのだ・紀州屋良五郎