紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『滑走路』を見た

◎ まいどおおきに映画メモでおます~

 

☆所感☆

少年時代のいじめがトラウマになった二人の少年。次第に違う人生を歩み始める。

ひとりは、ふりきるように官僚への道を駆け上がり、もう一人は逡巡しつつも目標を失わず登る。

 

一人は苦悶しつつ人生の壁の前で絶望し自殺、その死をふとした事から知り苦悶してきたトラウマに立ち向かうもう一人の青年。

 

小さな美しい恋と心に刻む友情、美しい言葉がちりばめられた詩的な映画だ。

重いテーマ、いじめ、非正規労働を扱いながらも爽やかでずっしり心に残る。

 

見終わったら、なぜかいつまでも余韻が残るいい作品だ。

 

 

 

 

 

 

 

◎ 所感

少年期のいじめ、自殺、非正規労働と人生の挫折などの重いテーマを扱いながらも見ていて爽やかで詩的な感覚を与える素晴らしい作品。

生い立ちが折々にフィードバックする手法、演出はなかなか面白い。見ながら現代の病理がさりげなく描かれていることに気づく。若手官僚が次々に辞めていく今を小気味よく暗示している。

女性の強い行き方がラストをひときわ明るくしている。

 

STORY

激務が続く毎日を送るうちに、仕事への理想を失い、無力感にさいなまれるようになった厚生労働省の若手官僚・鷹野(浅香航大)のもとにNPO団体が訪れ、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストを渡して対応を求めてくる。リストに目を通した鷹野は、その中で自分と同じ25歳で自ら命を断ってしまった青年に興味を抱く。青年の死の背景を調べるうちに、彼は自分を含めた若い世代が抱えているさまざまな不安や葛藤、苦悩と向き合うことになる。

キャスト

水川あさみ浅香航大、寄川歌太、木下渓、池田優斗、吉村界人染谷将太水橋研二、坂井真紀

スタッフ

監督:大庭功睦
脚本:桑村さや香
原作:萩原慎一
主題歌:Sano ibuki
撮影:川野由加里
照明:中村晋平
録音:西正義
装飾:小林宙央
音楽:永島友美子
編集:松山圭介
VFX:田中貴志
助監督:桜井智
制作担当:赤間俊秀

上映時間
120分