紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信 はてな版

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ ドキュメンタリー映画『アリ地獄天国』を見た

〇 まいどおおきに〜映画メモでおます

アリ地獄天国

2019年/日本/98分/映像グループ ローポジション 配給

監督土屋トカチ

ナレーション可野浩太郎

主題歌マーガレットズロース「コントローラー」

公式サイトhttps://www.ari2591059.com/

ぼく、営業成績トップ。いま、終日シュレッダー業務。なんで?ブラック企業」や「ブラックバイト」といった言葉が広く認識され、大きな社会問題となった。それでも法律を無視し、不当な労働条件や長時間労働を強いる企業は後を絶たない。大企業での過労死や過労自死も記憶に新しい。政府も「働き方改革」を重要政策とし、労働環境の改善を求めるようになった。だが、新型コロナウイルスの拡大により先が見えない状況の中、いまや世界規模で失業や生活の不安が広まっている。本作は、理不尽な労働環境に置かれた30代の社員が個人加盟の労働組合に加わり、会社の改善を求めて闘った3年間の記録である。この不安定な世界で、どうしたら働き方を変えて、自らの尊厳を保ち、生きていけるのか。この映画の鑑賞体験は、あなたにそのヒントと、変革の勇気をもたらすかもしれない。<ストーリー>とある引越会社。社員は自分たちの状況を「アリ地獄」と自嘲する。長時間労働を強いられ、事故や破損を起こせば、会社への弁済で借金漬けになるからだ。本作の主人公、西村有さん(仮名)は34歳の営業職。会社の方針に異議を唱え、一人でも入れる個人加盟の労働組合(ユニオン)に加入した。するとシュレッダー係へ配転させられ、給与は半減。さらに懲戒解雇にまで追い込まれた。ユニオンの抗議により解雇は撤回させたが、復職先はシュレッダー係のまま。会社に反省の色は見られない。西村さんは、「まともな会社になってほしい」と闘いを続け、次第にたくましく変わってゆく。本作の監督・土屋は、仕事で悩む親友の自死を防げなかった後悔とともに、3年にわたる闘いに密着する。生き残るためのロードームービー(労働映画)。結末はいかに! <出品・受賞歴>・山形国際ドキュメンタリー映画祭2019 日本プログラム上映・貧困ジャーナリズム賞2019 受賞・第15回トルコ国際労働者映画祭 公式上映作品・第20回ニッポン・コネクション(ドイツ) ニッポン・オンライン賞(観客賞)受賞・ピッツバーグ大学(米国) 第2回日本ドキュメンタリー映画賞 グランプリ受賞・門真国際映画祭2020 ドキュメンタリー部門 優秀作品賞受賞・福井映画祭14th 長編部門観客賞(グランプリ)受賞

 

 

 

 
〇 私の見たまま〇
すべてのブラック企業で働く人たちがこの主人公のようであって欲しいと願わずにいられない。「蟻さんマークの引越社」と言えば大手である。その働く現場で人を人とみなさないような理不尽がまかり通っていた。
 
まさに、命がけのドキュメンタリーである。内部告発が映像で迫ってくる。蟻地獄のような労働環境のなかで、組員加入とともに燃え盛る火のような圧力がかかる。
 
尋常なメンタルでは耐え抜けない。大抵は精神がやられるか身体が極限に達するだろう。彼を支えたものは何かに一番惹かれた。
 
監督がのちに語っていたようにドキュメンタリーのカメラを回し続けた監督の励ましとかつて支店長として部下に対して理不尽な行為を会社側の立場で執行してきたという罪悪感、会社改革の思いだったのだろう。
 
コロナ禍の労働環境にあって容赦なく切り捨てられる蟻であっても知恵、法、組員加入などあらゆる手だてを通して巻き返していくことの大事さを教えてくれる「勇気の賛歌」のようないい映画である。
 
これから就職する人、いま何らかの職場で苦境にあるひとにはまず見て欲しい映画である。
 
機会があり、監督の舞台挨拶と質疑応答にも参加させていただけた。
熱い思いを語る監督の話に「映画」は観客とのコミュニケーションなのだと思いあらためて鑑賞者として学び感じるところが多くずっしりと宝ものを得た気分に浸った。