紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『心の傷を癒すということ』をみた

〇 まいどおおきに〜映画メモでおます

見どころ

阪神・淡路大震災時、被災者の心のケアに取り組み続けた精神科医安克昌氏の著書を原案に、2020年にNHKで放送されたドラマを再編集し映画化。震災に遭遇した精神科医が手探りながらも多くの被災者の声に耳を傾け、心の傷に苦しむ人たちに寄り添い続ける。実在の人物をモデルにした主人公を『火口のふたり』などの柄本佑、彼の妻を『そして父になる』などの尾野真千子が演じるほか、濱田岳キムラ緑子石橋凌らが出演。主人公の兄を演じる森山直太朗が主題歌を書き下ろした。

あらすじ

幼いころに自分のルーツが韓国にあることを知り、自分が何者なのか探求し続ける安和隆(柄本佑)は人の心に関心を抱き、父(石橋凌)から猛反対されるも精神科医を目指す。やがて映画館で出会った終子(尾野真千子)と結ばれ、待望の精神科医になった和隆だが、第1子が生まれて間もなく阪神・淡路大震災が発生する。彼は避難所を回りながら被災者に寄り添い、癒えない苦しみを抱えた人々の心のケアに尽力する。

 

 

 

幼いころに自分のルーツが韓国にあることを知り、自分が何者なのか探求し続ける安和隆(柄本佑)は人の心に関心を抱き、父(石橋凌)から猛反対されるも精神科医を目指す。やがて映画館で出会った終子(尾野真千子)と結ばれ、待望の精神科医になった和隆だが、第1子が生まれて間もなく阪神・淡路大震災が発生する。彼は避難所を回りながら被災者に寄り添い、癒えない苦しみを抱えた人々の心のケアに尽力する。

キャスト

柄本佑尾野真千子濱田岳森山直太朗浅香航大、清水くるみ、上川周作濱田マリ谷村美月、趙民和、内場勝則平岩紙キムラ緑子石橋凌近藤正臣

スタッフ

主題歌:森山直太朗
原案:安克昌
脚本:桑原亮子
音楽:世武裕子

上映時間
116分
〇 私のみたまま 〇
神戸でロケした映画だけあってすごく近親感をもてる映画だ。阪神大震災前後の様子や光景がしっかり映されている。
主人公の安さんは在日だ。在日朝鮮人が日本社会の中でてっぺんを目指すのは至難とされる。スポーツ界、芸能界、法曹界、医者、実業家にならねば上昇は望めない。
そんな不合理だが今なお日本社会に根づく慣習・偏見がしっかり描かれている。仮設の避難所で人の心に寄り添う安Dr.の純粋であったかい心に幾度も涙した。
精神科Dr.の果たす大きな役割は患者の心に寄り添うことだ。でも、そんなDr.は希有だ。この映画には医療者と患者の関わり、心打つ通い合いが描かれていて敬虔な念が沸いてくる。
主人公は語る「心のケアって何かがわかった。それは誰も一人ぼっちにせえへんことや」じーんとくる言葉ではないか。
今のこのコロナ禍の中で一番大事な事を教えてくれているように思えた。見終わったとき生きている喜びが沸いてくる。そんな映画にはなかなか出会えない。無条件でおすすめしたくなる映画だ。
付記
私が見たとき180席あるシネコンでお客は私一人だった。なんで、みんな、いい映画を見ないんだろうか?