紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『ねばぎば 新世界』を見た

〇 まいどおおきに〜まいどおなじみ映画メモでおます

 

● 「ひとくず」の映画で話題をさらったあの上西雄大監督の最新作である

 

 

 

 

 

 

 


 


 

 

STORY

 

 本作は大阪・新世界を舞台に、かつての大映映画、勝新太郎田宮二郎の「悪名」シリーズを彷彿とさせる痛快アクションドラマ。

 

大阪の新世界。勝吉こと村上勝太郎(赤井英和)とコオロギこと神木雄司(上西雄大)は、かつて暴力団の組をつぶして回っていた。ある日、勝吉は徳永武という少年に出会う。母親が宗教団体に入信し、父親と離れてしまった武は、口が利けなくなっていた。宗教団体には勝吉の恩人である須賀田元(西岡徳馬)の娘・琴音(有森也実)も入信していた。勝吉とコオロギは武と元のために宗教団体と闘おうとする。

キャスト

赤井英和、上西雄大田中要次菅田俊有森也実、小沢仁志、西岡徳馬坂田聡、徳竹未夏、古川藍、金子昇神戸浩長原成樹、リー村山、堀田眞三伴大介、谷しげる、剣持直明、國本鍾建、上山勝也、柴山勝也、草刈健太郎

スタッフ

監督・脚本・プロデューサー:上西雄大
撮影:前田智弘、川路哲也、下元哲
照明:小山田勝治
録音:廣木邦人
編集:目見田健
編集・音楽:ナ・スンチョル
制作:徳竹未夏、中村秀哉
助監督:山中太郎、上林大地
題字:小林良二
ヘアメイク:山畑里奈、南原彩
衣装:中谷昌代、西川莉子
主題歌:吉村ビソー

上映時間
108分
 
〇 見たままを感じるままに 〇
 
かつて、「悪名」という映画があった。勝新太郎田宮二郎が演じるやんちゃなコンビが悪者を懲らしめる痛快な任侠ドラマだ。設定は大阪・河内だったがこちらの映画は「新世界」が舞台だ。
 
赤井秀和の醸し出す人情味、それに絡む子分・コオロギ役の上西雄大がたまらなくいい。
かつて、田宮二郎が演じた愛嬌者のモートルの貞を超えているといったら言い過ぎだろうか。
 
やり込める相手がいかがわしい宗教団体なのも今日的でそれに政治家の大物・バックのヤクザというお決まりの社会の闇を痛快に斬る設定は胸がすく思いがする。
 
なにより、評価したいのはキャスティングだ。個性的な俳優の面々は描かれた新世界・飛田界隈に身近にいる群像に実によくはまってる。新世界をわかっている人しかつくれないような映画だ。
 
子ども時代からこの新世界界隈が大好きな私にとって忘れられない作品になりそうだ。
 
それに、痛めつけても殺しはしない世界に限りない優しさがにじんでいる。殺伐とした裏切り社会、格差社会の救世主的作品だ。