紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信 はてな版

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『空白』を見た

◯ まいどおおきに~映画メモでおまんねやわ

 

古田新太松坂桃李が共演を果たしたヒューマンドラマ。

 

 

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STORY

スーパーの化粧品売り場で万引きしようとした女子中学生は、現場を店長の青柳直人(松坂桃李)に見られたため思わず逃げ出し、そのまま国道に飛び出してトラックと乗用車にひかれて死亡してしまう。しかし、娘の父親(古田新太)はわが子の無実を信じて疑わなかった。娘の死に納得できず不信感を募らせた父親は、事故の関係者たちを次第に追い詰めていく。

キャスト

古田新太松坂桃李田畑智子、藤原季節、趣里、伊東蒼、片岡礼子寺島しのぶ

スタッフ

監督・脚本:吉田恵輔
音楽:世武裕子
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
プロデューサー:佐藤順子
アソシエイトプロデューサー:山本礼二
ラインプロデューサー:道上巧矢
撮影:志田貴之
照明:疋田淳
録音:田中博信
キャスティング:田端利江
装飾:吉村昌悟
衣装:篠塚奈美
ヘアメイク:有路涼子
助監督:松倉大夏
制作担当:保中良介
題字:赤松陽構造
編集:下田悠

上映時間  107分
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◯ 見たまま、感じたまま ◯
 
古田新太の主演でなくては出来ない映画だった。まさに怪演。激情をありのままに露出するあまり、かえって人生を狭く生きる不器用な男。娘や妻を愛する気持ちは人一倍なのにそれをうまく表せず怒りが爆発する。生きべたな存在はまさに昭和の男だ。
 
この映画に投影された現代のマスコミ、メディアが商業主義をほしいままにし土足で事件当事者のなかに踏み込んでいくリアルさは身の毛もよだつ興味をかき立てる。きっと脚本もいいのだろう。
 
とくべつな事件じゃない。私たちの身の回りにいつおきても不思議ではない出来事である『娘の万引き』『交通事故』『家庭不和・離婚』『噂と風聞』『ストレス社会の人間関係』というテーマに娘の心理と激情に走ることしか出来ない父の葛藤を描き込み息を吞むようなドラマになっている。
 
はらはらさせながら、すれちがいながら、ラストに近づくにつれてなんとも言えないような熱い涙に包まれるそんな映画だ。
 
スーパー店長の松坂桃李、パート店員の寺島しのぶなどの俳優陣が冴えた演技を見せてくれている。
 
「おまえらに何がわかる、自分の苦しみは誰にもわからない」その絶望の果てにきっとわかりあえる何かを見つける。小さな明かりを見せてくれる映画だ。