紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『ノイズ』を見た

◯ まいどおおきに~映画メモでおます

 

▶️深みのあるサスペンスの世界が広がる

 

STORY

猪狩島に暮らす青年・泉圭太(藤原竜也)。生産を始めた黒イチジクが評価され、島が5億円の地方創生推進特別交付金を受けられることになり、彼は過疎化に苦しむ島の人々に希望を与えられた喜びをかみしめていた。そんな折、小御坂睦雄という男が島に現れる。圭太と猟師の田辺純(松山ケンイチ)、警察官の守屋真一郎は、不審な言動の彼を警戒していたが、誤って殺してしまう。殺人を隠ぺいしようとする3人だが、殺人鬼で元受刑者だった小御坂の足取りを追っていた県警が島に乗り込んでくる。

キャスト

藤原竜也松山ケンイチ神木隆之介黒木華伊藤歩渡辺大知、酒向芳、迫田孝也鶴田真由、菜 葉 菜、波岡一喜寺島進余貴美子柄本明永瀬正敏

スタッフ

原作:筒井哲也
監督:廣木隆一
脚本:片岡翔
音楽:大友良英
企画・プロデューサー:北島直明

上映時間 128分
◯ 私の見たまま・感じたまま ◯
深みのあるサスペンス映画だ。藤原竜也のまっすぐな演技が背筋を伸すように迫ってくる。
初めのシーンで猪を車ではねそれをどう処理するかがドラマの結末を暗示している。
なにがいいといっても『殺し』が実行され、その犯人も明確。
共通しているのは生まれ育った島という共同体を守りたい意識がみんなの中にあるという特異な設定だ。それをベースにしながらもドラマは意外な展開を見せる。
平凡だが『嘘』というものは何かを守ろうとしてつく。自身を含め何も守るものがない人は犯行があっても嘘はつかない。命すら欲しくないなら嘘もいらない。この映画は『嘘』の深い真理を知るのに格好の教材だ。
そして、この映画のうまいところは最後に描かれる謎解きだ。何ら手を汚さない影の犯人がいてその人が幾人もの連鎖殺人の真犯人なのだ。だが、警察を含め誰も気づかない気づいているのは見ている貴方と制作者だけだ。おもしろい。時間があったらぜひ見て欲しい。きっと、なにか、考えさせるものがある