紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信 はてな版

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ ドキュメンタリー映画『長崎の郵便配達』を見た

〇 異色のドキュメンタリー映画を見た

 

郵便配達中に被爆核廃絶のための運動に生涯をささげてきた方の貴重な記録である。

 

STORY

元イギリス空軍所属のピーター・タウンゼントさんは、後にジャーナリストとなり長崎を訪れる。

彼はそこで、16歳のときに郵便配達中に被爆核廃絶のための運動に生涯をささげてきた谷口稜曄さんと出会い、1984年に谷口さんへの取材をまとめたノンフィクションを出版する。

2018年8月、ピーターさんの娘である女優のイザベル・タウンゼントさんが長崎を訪問し、父親の本に登場する場所をめぐる。

キャスト

イザベル・タウンゼント、谷口稜曄、ピーター・タウンゼント

スタッフ

監督・撮影:川瀬美香
構成・編集:大重裕二
音楽:Akeboshi
エグゼクティブプロデューサー:柄澤哲夫
プロデューサー:イザベル・タウンゼント、高田明男、坂本光正
プロダクションアシスタント:坂本肖美

上映時間  97分
 
〇私の見たまま・感じたまま〇
 
私が見た劇場(シネコン)では、夏休み・お盆休みで大層な賑わいだった。1番人気はジェラシックワールド、次いでキングダムだろう。
 
長い行列を見ると半分以上座席が埋まるだろうと推察できた。ところが、私が見たこの映画のスクリーンはといえば私とあとひとり、合計二人きり。
 
びっくりだ、定員200席で2人。「密」ではなさ過ぎ。いつも感じることだが社会派のドキュメンタリーに殆ど人は入らない。(ミニシアターは別にして)若いひとの関心が政治・社会・時事に向かないのだ。
 
そんな中、今年も「広島・長崎」のあの日が巡ってくる。
 
岸田総理は広島選出議員(出生地は東京)である。
 
ことある毎にそれを強調し核廃絶を口にするが「被爆者」の言葉はなぜか避け、日本か「核兵器禁止条約」へ締結する道はまるで放棄したかのようだ。
 
世界で唯一、戦争で核兵器が2度も使われ残虐行為の殺りくにみまわれた当事国じゃないか。その悲惨さ残忍さはその後のどの戦争より凄まじい。
 
そして、それを使用した国はアメリカだ。多くの民間人が命を絶った。いまだ、米国からの謝罪はない。そして、核は密かに在日米軍基地にあり。
日本の上空はアメリカの軍機が今日も飛ぶ。
まだ、占領下と変わらない。
 
国際情勢に乗じて「核の共有」を声高に叫ぶ議員もいる。これらは歴史に背を向ける動きだ。
 
この映画は16才の被爆者・郵便配達員がメインでる。イギリス空軍だったタウンゼントさんが晩年長崎で谷口さんに出逢い克明に核被害と被爆者の酷たらしさを描いた本「長崎の郵便配達」を出版した。それを読んだ娘が父の思いにふれるべく長崎の旅にでる。
 
そして、父と被爆者痛恨を追体験するという映画だ。戦勝国の元軍人が見た被爆者、しかもそれが奇跡的に生き残った少年というふたつの視点はとてもユニークだ。
 
だからこそ、日本の少年少女に是非見て欲しい。百の本より一つのドキュメンタリー映画がもつ説得力には強い力があることを改めて知る作品だ。
 
そこには、「ホタルの墓」や「この世界の片隅に」とはまた違った「戦争」が描かれている。
 
長崎の郵便配達・谷口さんはこの核廃絶の叫びを後継につたえるために生きぬかれた。
 
私は精霊流しの灯火を眼にしっかりと焼付けたい思いにかられた。