紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信 はてな版

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ ドキュメンタリー映画『乙女たちの沖縄戦 ~白梅学徒の記録~』を見た

〇 ドキュメンタリー&再現ドラマ 乙女たちの沖縄戦~白梅学徒の記録~

乙女たちの沖縄戦
~白梅学徒の記録~

2022年/日本/118分

監督【ドキュメンタリーパート】太田隆文、【再現ドラマパート】松村克弥

出演【ドキュメンタリーパート】聴き手:森田朋依
 

【再現ドラマパート】實川加賀美、森田朋依、永井ゆみ、城之内正明、響一真、加藤亮佑、ヒロ=J・C片岡、海老沢貴志、藤真由美、布施博

 

公式サイトhttps://otometachinookinawasen.com/

 

ドキュメンタリーと再現ドラマで描く、 少女たちの戦争悲劇! 映画「ひめゆりの塔」は繰り返しリメイクされる反戦映画の名作。

 

 10代の少女たちで編成された女子学徒の悲劇である。

だが、沖縄戦で動員されたのは、ひめゆり学徒だけではない。沖縄県立第二高等学校の4年生56名の生徒から編成された白梅学徒もその1つ。たった18日間の看護教育を受けただけで八重瀬岳にある第一野戦病院に配属。兵士の治療にあたった。 

 

負傷した日本兵が次々に運び込まれて、ベッドが足りなくなる。多くの兵士は床や通路に寝かされ、負傷兵は治療するよりも、腕や足をノコギリで切り落とすしかないことが多かった。そんな手術の手伝いをしたのが、つい先日まで青春を謳歌していた10代の女子である白梅学徒である。

 

兵士の傷口に湧いたウジを取る。ズボンに溜まった何日ぶんもの糞尿の処理。やがて病院壕にも米軍が迫り、歩けない兵士たちを医師たちが薬で毒殺。学徒たちも米軍の攻撃にさらされて命を散らして行く。 ドキュメンタリーパート=約90分。

 

ドラマパート=約30分の構成。 沖縄復帰50年を記念して今夏に劇場公開。

 

 ■ドキュメンタリーパート 今もご健在で、取材が可能な白梅学徒はもう数人だけ。90代の中山きくさんと、武村豊さん。そして関係者たちが当時の状況を詳しく語る。ウクライナ×ロシアの戦闘が報じられる今、より多くの人が実感できるだろう。 

 

■ドラマパート ドキュメンタリーパートの証言をもとにドラマ部分を制作。若き女優たちが白梅学徒を熱演。ドラマ『北の国から』『昨日、悲別で』の布施博が感動の演技を見せる。沖縄戦とは何であったか? 多くの日本人が知らない白梅学徒という存在。そして戦争の悲しさを伝える。

 

『サクラ花 -桜花最期の特攻-』『祈り〜幻に長崎を想う刻(とき)』(高島礼子黒谷友香主演)など戦争悲劇を描き続ける松村克哉が監督。

 

 

〇 私の見たまま・感じたまま 〇

 

☆この映画を見たいと思った理由が二つある。

 

まずは、いつも舞台で拝見している劇団『戟党市川冨美雄一座』の女優・實川加賀美さんと、唯さんが出演されていると聞いていたからスクリーンでのご活躍を見たいと思ったこと。

 

さらに、義母が沖縄の今帰仁村出身で度度、沖縄を訪れ舞踊、沖縄の芸能、歴史に親しみ今では第2のふるさとになっていて、ドキュメンタリー映画は欠かさず見てきたのも理由だ。

 

☆ドュメンタリーパート所感

まず、思ったことは(映画全編に通じることだが)ウチナーグチではなくきれいな標準語になっている。

聞きやすいのだが90才を超える証言者の生き生きとした言葉を自然な形で話していただけたほうがリアリティがあると思った。(これはドラマパートにもいえることだが)

 

事実、NHKの連ドラでも一番工夫をしているのは方言と伝え方の部分だ。言葉は『言霊』であり、。表現、イントネーションは魂だ。抑揚とリズムはおきなわの歴史を伝える魂と私は考える。瀬長亀次郎さんや大田元知事の話っぷりには沖縄人の気骨を感じたものだ。NHKニュースのような標準語では無機質なものに感じるのは私だけだろうか。

 

そして、インタビュアーの映像はモノクロで字幕つき、証言者がカラーというのも理解に苦しむ。証言と質問者の部分は別撮りしたのだろうと思われるが自然な形のインタビューにした方がよかったのではないだろうか。インタビュワーの部分の下に字幕が入る意味もわからない。

 

『白梅学徒のお話』はとても、貴重な証言でこの映画全編を通しての魂部分だ。私も『ひめゆり学徒隊』は戦跡もたずね知悉していたが『白梅学徒』についてはこの映画で初めて知った。

 

☆ドラマパート

まず、女優陣の生き生きとした自然な演技がリアルに当時の様子を伝えていていい映像になっている。細かいことだが、前半にもってきたドキュメンタリーパートの証言をそのまま再現ドラマにしているのでいささかくどさも感じる。証言で触れられていない部分にも触れもっとドラマを厚みのあるものにした方がよかった気がする。

 

例えば、兵隊の処置をする場面で腐った皮膚に湧くウジをとるシーンがあるが、腐乱部分に自然にウジが湧くのではない。必ず媒介し卵を産み付ける「ハエ」の存在がある。「ハエ」が飛ぶシーンで、し尿処理が十分ではないガマの不衛生な様子を描いた方がよりリアルであると思った。

 

このような女性看護学徒を必要とした最大の要因は沖縄が唯一、米軍の地上戦が行われた地であったことに由来する。そのあたりの背景にもう少し触れて欲しかった。

 

☆まとめ

白梅学徒隊の存在を記録したドキュメンタリーとして歴史に残る貴重な第一級の作品である。手がけていただいた製作スタッフ、証言者の皆様方、そして出演者の皆さまの労苦に感謝の思いを捧げたい。