紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ ドキュメンタリー映画『荒野に希望の灯をともす』を見た

〇 何度か直接お会いし、お話しをお聞きしていた中村哲さんの映画を見る事が出来た。

 

 

 

2022年 / 日本 / 90分 / 日本電波ニュース社 配給

監督・撮影谷津賢二

朗読石橋蓮司

語り中里雅子

出演中村哲

公式サイトhttp://kouya.ndn-news.co.jp/

 

これは「生きるための」戦いだ。
アフガニスタンパキスタンで35年に渡り、病や貧困に苦しむ人々に寄り添い続けた、 医師・中村哲。 戦火の中で病を治し、井戸を掘り、用水路を建設した。

 

 なぜ医者が井戸を掘り、用水路を建設したのか? そして中村は何を考え、何を目指したのか?

「彼らは殺すために空を飛び、 我々は生きるために地面を掘る。」 -中村哲
中村の誠実な人柄が信頼され、医療支援が順調に進んでいた2000年。

 

 思いもよらぬ事態に直面し、中村の運命は大きく変わる。 

それが“大干ばつ”だ。 渇きと飢えで人々は命を落とし、農業は壊滅。 

医療で人々を支えるのは限界だった。 

 

その時、中村は誰も想像しなかった決断をする。用水路の建設だ。 

大河クナールから水を引き、乾いた大地を甦らせるというのだ。

 

 しかし、医師にそんな大工事などできるのか? 戦闘ヘリが飛び交う戦火の中で、無謀とも言われた挑戦が始まった―。

戦火のアフガニスタンで21年間継続的に記録した映像から、 これまでテレビで伝えてきた内容に未公開映像と現地最新映像を加え劇場版としてリメイク。 混沌とする時代のなかで、より輝きを増す中村哲の生き方を追ったドキュメンタリー。

 

〇 私の見たまま・感じたまま 〇

 

とても感動した。初めから涙が止まらなかった。中村哲さんとお会いしたのは虫賀宗博さんが主催する京都・論楽舎の講座だった。三度ほどそこで直接お話しを聞く機会をえた。

 

それがつい、昨日のことのように思い起こされる。質問会でいくつか質問もさせていただいた。お優しい声で、しかもキッパリと確信に溢れたお声だった。ふと、「狭」の気を感じた。花と龍のあの「人狭」の気だ。筋を通す生き方、怯まぬ勇気に心を打たれた。

 

著作も幾冊か読ませていただいていたのでこの映画にもすっうと入って行けた。映像で拝見し現地でのご活動がつぶさにわかり胸が熱くなった。どのシーンも陣頭指揮で格闘する姿。尊い姿だ。

 

凶弾に倒れ、ご家族とペシャワール会の代表だけがご遺体をお迎えに行かれたとの報道に接し、この国のあまりの偶しかたに怒りすら覚えた。

 

それにしても、この映画は一人でも多くくの人に見て欲しいドキュメンタリーだ。

百聞一見のわかりやすく構成された力作だ。

随所に公開されているご本人の言葉がまるでブッタの金言のような輝きを放っていた。

 

反戦・平和とはなにか、言葉や主張や運動ではない。武力を捨てた生き方そのものである、対立を超えるものは話合い、外交がすべてだ。外交の破綻が戦争なのだから。

そんなもの理想論だよという人にこそ見て欲しい映画だ。