●見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます。かたちを変えました。
☆本日昼、入りは15人
☆ 7月に柿落としをした新劇場。初めて来てみた。駅から至便、Pも付近にある。周りは商店街で、まあ立地はいいほうだ。あえて、難点は地下1階が劇場である。関西で階段で地下におりる劇場は「紀の国ぶらくり劇場」とここだけだ。
座席40席の超最小劇場だ。貸しビルを簡易造作でしつらえた劇場、舞台の高さは10センチほど。プランツプロモーション系列として4劇場目になる。
☆劇場付近にある瓢簞山稲荷は日本三大稲荷に名を連ね(諸説あり)、「辻占」の元祖にあたる。また、『河内音頭』の聖地でもあり、芸能人の参拝も多く祭は盛大である。
☆そりゃ役者さんにとって劇場は花道、緞帳、檜舞台があるのが誉れなことに違いない。だが、大衆演劇は場所・設備がどうあれ、そこを華舞台、夢舞台に変えていくエネルギーが魅力と私は思う。
手の届くスターは触れ合う距離も魅力に変えてしまうのだ。
☆たこ焼きの名店・ざいるさんに立寄るも木曜日休みで残念!
☆劇団京弥は久しぶりになる。
2016年に14年ぶりに鈴成り座で関西公演が始まった。そのあとオーエス劇場にも足を運んだ。たぶん、それ以来になるか‥いや2019年も見ている。
☆劇団さまに舞踊ショー写真のブログ掲載の許可をお願いしたら、とても爽やかに、気持ちよくご了解頂いた。「動画」以外はドンドン載せてもらっていいですよと笑顔でお応え頂いた。
なんか、人柄のよさがにじみ出ているな、白富士一馬座長、そうまさん、ありがとうございます。
★★
☆座長 白富士一馬
★オープニングショー
座長、そうま、まりんが熱演。変化ある舞踊ショー。
★ ☆芝居「花かんざし」
・あらすじ簡略
・盲目の娘・おつる(まりん)が身投げするところからはじまる。それを助ける男・与三郎(座長)に訳をかたりはじめる。一緒に暮らしている兄弟分・松吉(そうま)が帰ってきたが、おつるに親しくするのを制して唖者になれと言いくるめる。
ここまでは、枝葉をそぎ落とした芝居はこびになっている。
背景幕も、道具立ても最小限で、スッキリした舞台構成。
なにも無くても絵になるのも芸のちから。
男は娘を長屋に連れ帰る‥
この劇団の「花かんざし」、善人、与三郎が魔に魅入られ悪人に豹変する展開がゾクッとするほど面白く引き込まれる。人生にはふと魔がさす一瞬がある善と悪は紙一重、振り子が振れる妙味をうまく盛り込んでいる。
この芝居、都合6劇団のものを見た。それぞれに味わいがある。ラストがハッピーエンドの演出もあったが劇団京弥のこの芝居は私のなかでは一、二を争う出来栄えだ。
役人に引かれる与三郎。絶妙な間合いの所作特急だけで芝居が流れる。
感極まる一瞬を破った役人の一言で泣かされた。
この芝居で泣かされたのは、はじめてだ。
『顔のあざ』がこの芝居のキモなのだが‥
しかし、なぜ、顔の痣を忌み嫌う芝居になるのだろうか、わかりやすく「顔の痣」にしているが、それは誰しも背負って生まれてきた『人の業』なのだろう。
他にも「喧嘩屋五郎兵衛」も同じだ。座頭市、丹下左膳、ほか名役にはどこか、傷がある。
もって生まれた『業』を背負って生き抜く姿、それをえぐりだすのが大衆演劇的魅力なのだ。きれいごとですまない人生、かたわ=障害と業、差別され、翻弄されつつ、怯まない強さ、これが大衆演劇なのだ。
★芝居の背景・補足説明
娘が自殺までしようとした動機の説明がもう少しほしいところだ。
娘を飢饉から吉原に売った老母に温情を寄せつつ、カネの沙汰から老婆の殺害に転じる与三郎。
座長の鬼気迫る熱演に心を打たれた。
取り縄にかかった与三郎、娘との別れで唖者になりきるも、役人があえて名を呼ぶシーンには救われ、泣かされた。
★ 芝居の見どころ・私はこう見た
この劇団の戯れごとなしの真剣な芝居が好きだ。
隙間のないきっちりした芝居は小気味がいい。
★ 舞踊ショーの見どころ
曲のながれ、相舞踊〜組ショーの変化、メリハリのある力のこもったショーは引きつけてやまない。
★ 口上挨拶の内容 座長・白富士一馬
★特選画像★
☆メンバー
座長 白富士一馬
白富士ちか
白富士まりん
白富士そうま
白富士ほのか
胡蝶つき子
初代 白富士龍子
他
★まとめの一言★
鬼気迫る役者魂が光っている。『劇団京弥』を絶賛したい。
人数は少ないが芝居の切れ味は飛び上がるほど鋭い、劇団京弥は期待を裏切らない・紀州屋良五郎