〇 見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます
★ 大入り御礼
★ 黒潮劇団は今月の梅南座が関西最後の公演となる。来月から関東~九州方面。関西で見たい方はぜひ今月の梅南座へ。
☆座長 黒潮音之
副座長 黒潮優
総座長 黒潮次朗
他
☆梅南座スケジュール (画像)
11月 劇団花組むらさき
★黒潮劇団のスケジュール
(別掲)
どれだけ力を入れているかがうかがえる。
☆メンバー
総座長 黒潮次朗
座長 黒潮音之
花形 黒潮優
後見 神楽良
ほか
※
☆ 特選狂言 「お吉物語」
▩ 配役
神楽良‥島田奉行所 組頭 伊佐進次郎
黒潮音之‥ハリス
黒潮優‥お吉
黒潮次朗‥鶴松
黒潮花千代‥芸者お福
ほか
☆あらすじ☆
お吉の伝承をベースにした力作で、凝った演出の芝居だった。黒潮劇団の芝居へのこだわりを感じることができた。
まず開演で浪曲流れ開幕。
下田・玉泉寺に領事館がつくられ、領事としてハリスが駐留することになった。
ハリス、通訳、組頭の掛け合い、アメリカ風のアドリブが面白おかしく、爆笑に巻き込んだ。
話は進み、ハリスが見そめたお吉は政治交渉の材料に、ここから運命の歯車がまわりはじめる。
恋仲であった鶴松には、船頭の身分、名字、帯刀、十両と引き換えを約し、お吉をハリスの世話係にするため別れ話を呑むのが条件だった。
難題だが、すべては國を救うため、また、鶴松の老母孝行のためと恋慕の思いを断ち切り別れる覚悟をする鶴松。
鶴松の出世を願うがゆえに思いを断ち切るお吉。
愛ある二人は引き裂かれゆく。定めは恨むしかない。
ところが、鶴松、名字・帯刀が許されるも俸禄の約束事は反故にされてしまう。
それをなじる無念の鶴松。無念のお吉は甲斐甲斐しくハリスの傍につかえるため玉泉寺へ。
時流れ、いったんは鶴松と一緒になった二人だったが、毛唐と蔑まれた古傷から争いは絶えず、やがて鶴松は亡くなってしまう。自暴自棄になったお吉は毎日酒浸り、とうとう乞食に身を落とす。
儚くも鶴松の墓前で酒を浴びながら悲しい悲しい過去に咽ぶお吉であった。
鶴松の墓前で邂逅する組頭・伊佐とお吉。
慚愧の念で詫びる伊佐に毒づき思いの丈を叫ぶお吉。
「わたしの鶴さん、わたしの昔を返しておくれよ」
叫ぶお吉は無念の最期を迎える。
だが霊界から現れた鶴松。二人は言葉を交わすところまで描いて救いと安らぎを‥そして、血を吐き墓前から川へと転落死、お吉は病み果てる。
このむすびが芝居の見どころか。女形芝居で難しい役どころを演じた黒潮優副座長は大したものだ。
*林部智史の「会いたい」が流れ‥情感はピークに。
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熱演の副座長・黒潮優、圧巻の階段落ちならぬ墓前から川(のちにお吉が淵)へ、酒に溺れたお吉が転落死をする様子までをキッチリ実際に転落して見せるという手の込んだ演出で盛り上げる。この黒潮優の熱血の演技に拍手を送りたい。
76分
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物語の主人公・「唐人お吉」の伝承
1841年11月10日 愛知県知多郡内海の船大工、市兵衛の次女として生まれる。四歳の時に下田に移り住み14歳で芸妓になった。
お吉には船大工鶴松という許嫁がいたが17才の時 アメリカ総領事タウンゼントハリスに見染められ鶴松との仲を引き裂かれ玉泉寺へ侍妾として通う。
その時にお吉に渡された支度金は二十五両、月給が十両であった。これだけの大金を稼ぐことは小さな漁村・下田では七生かけても無理だといわれるほどの金額だった。
その噂は異人と交わった、唐人、ラシャメンという罵声嘲笑の中、横浜で鶴松と再会し下田に帰って所帯を持つも二年で離別。その後は貧窮の果てに身を持ち崩し明治24年3月25日、豪雨により水かさのました稲生沢川、門象ケ淵(現在のお吉が淵)に投身自殺したとされている。時にお吉50歳だった。
開国と幕末維新の動乱の中で生きたた斎藤きちにまつわる物語。数多くの劇団で上演されつづけている。ぜひ、舞台で。
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☆口上挨拶 副座長・黒潮優
・各種演目スケジュール<別掲>
☆舞踊ショー
・工夫こらした飽きさせないショー構成
・ラスト舞踊‥さよならエレジー
【画像】
バージョンアップの黒潮劇団、「黒潮優」が拓く劇団の未来、これからが楽しみだ・紀州屋良五郎