紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『耳をすませば』を見た

〇 まいど、おおきに。こんな映画を見ました。

 

〇 予告編

 

 

 

 

 

 

 

STORY

本を読むことが好きな中学3年生の月島雫は、最悪な印象を抱いていたクラスメートの天沢聖司が懸命に自分の夢を追いかけている姿を目にして徐々に心惹(ひ)かれていく。対する聖司も彼女が小説家になるという夢を抱いているのを知って意識し始める。お互いに夢をかなえようと誓い合う二人だったが、それから10年が経って24歳になった雫(清野菜名)は出版社に勤めて児童小説を編集していた。いつしか小説家になるのを諦め、夢を追って海外で暮らす聖司(松坂桃李)との間に距離も生じていたが……。

 

読書が大好きで元気いっぱいな中学生の女の子・月島雫。
彼女は図書貸出カードでよく見かける、
ある名前が頭から離れなかった。
天沢聖司―――全部私よりも先に読んでる―――
どんなひとなんだろう。
あるきっかけで“最悪の出会い”を果たした二人だが、
聖司に大きな夢があることを知り、
次第に惹かれていく雫。
聖司に背中を押され、
雫も自分の夢を胸に抱くようになったが、
ある日聖司から夢を叶えるため
イタリアに渡ると打ち明けられ、
離れ離れになってもそれぞれの夢を追いかけ、
また必ず会おうと誓い合う。

それから10年の時が流れた、1998年。
雫は、児童書の編集者として
出版社で働きながら夢を追い続けていたが、
思うようにいかずもがいていた。
もう駄目なのかも知れない―――
そんな気持ちが大きくなる度に、
遠く離れたイタリアで奮闘する聖司を想い、
自分を奮い立たせていた。
一方の聖司も順風満帆ではなかった。
戸惑い、もどかしい日々を送っていたが、
聖司にとっての支えも同じく雫であった。
ある日、雫は仕事で大きなミスをしてしまい、
仕事か夢のどちらを取るか選択を迫られる。
答えを見つけに向かった先は―――。

 

 

キャスト

清野菜名松坂桃李山田裕貴内田理央、安原琉那、中川翼、荒木飛羽、住友沙来、音尾琢真松本まりか、中田圭祐、小林隆森口瑤子田中圭近藤正臣

スタッフ

原作:柊あおい
監督・脚本:平川雄一
主題歌:杏
撮影:中山光一
照明:藤井勇
録音:豊田真一
音楽:高見優
美術:相馬直樹
装飾:田中宏
スペシャルスチール:カンヤダ

上映時間
115分

 

〇 私が見たまま、感じたまま 〇

 

ジブリ製作のアニメ版は以前見ていた。実写を見てやはり、異なった印象をもった。

 

私としてはイメージが膨らむアニメに軍配をあげたいところだが見るのを進めていけば実写の良さもわかった。アニメはイメージの広がり、実写は舞台ミュージカルの感触という感じだ。

 

カントリーロード」も「翼をください」も名曲である。聞いているだけでも幸せな気分にさせてくれるいい作品だ。

 

幅広い年代が、それぞれに楽しい気分を味わえる数少ない映画のひとつだろう。

 

雫が挫折しかけたとき、たとえ、音が聞こえてこなくなっても「耳をすませば心の声が聞こえてくる」と話す老人の語りかけはこの作品の魂だ。

 

公衆電話ボックス、テレフォンカード、地球の歩き方の本を携え海外へなど限りなく昭和のアイテムがちりばめられているのはとても懐かしい。

 

イタリア行きで気持ちの整理をつけようとした雫だったが10年の遠距離恋愛に区切りをつけ失意の中に帰国する。

 

しかし、想像もしなかった、ここからのどんでん返しには一気に佳境へと駆け上がる。

素晴らしいラストのつくりかただ。

 

でも、なぜか少し後味が悪い。こんな形では聖司の本意があまりに自分本位に見えてしまうのは私だけだろうか。もう少し聖司にとっても救いのあるストーリーにならなかったのだろうかしこりが残った。

 

実写版はまるで舞台でミュージカルを見る思いがした。見終わっても余韻に浸かれるいい作品である。家族で見ながらそれぞれに楽しめる映画だ。

 

いまからでも、遅くはない、バロンとともに、さあ、夢をみよう。