〇 ゼレンスキーはこの戦場からきて、戻った。そして、戦場はいま‥
マリウポリ 7日間の記録
2022年 / リトアニア・フランス・ドイツ / 112分 / オデッサ・エンタテインメント 配給
監督マンタス・クベダラビチウス
製作ウジャナ・キム、ナディア・トリンチェフ、オマール・エルカディ
編集ドゥニア・シチョフ
公式サイト
https://www.odessa-e.co.jp/mariupoli7days/
ウクライナ侵攻から1年。
戦火の惨状をありのままに伝えるドキュメンタリー、緊急公開
2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻は全世界に衝撃を与えた―。1991年のウクライナ独立、そして2013年から2014年のマイダン革命に端を発し、ウクライナの東部に位置するドンバス地方では、親ロシア分離派とウクライナ系住民との紛争が絶え間なく続き今日に至っている。
そのウクライナ東部ドンバス地方のマリウポリは、ロシア軍に侵攻、包囲され、砲撃によって街は廃墟と化した。眩しい日差しの下、人っ子一人見当たらない瓦礫の街の風景は、人類すべてが滅亡してしまったかのようだ。夕暮れ時、建物の割れた窓から見える地平線には炎と噴煙が立ち昇り、連射される曳光弾の光跡と共に雷鳴のような砲撃音が轟いている―。
リトアニア出身のマンタス・クヴェダラヴィチウス監督は、2016年にすでにマウリポリを訪れ、同地の人々の日々の営みを記録した『Mariupolis』(日本未公開)を発表し、高い評価を得ていた。本作はその続編ともいうべき作品である。クヴェダラヴィチウス監督は、侵攻間もない3月に現地入りし、破壊を免れた教会に避難している数十人の市民らと生活を共にしながら撮影を開始。だが、数日後の3月30日、同地の親ロシア分離派勢力に拘束され、殺害された。助監督だった監督のフィアンセによって撮影済み素材は確保され、遺体とともに帰国。クヴェダラヴィチウス監督の遺志を継ぎ、製作チームが完成させた作品は、直ちに5月の第75回カンヌ国際映画祭で特別上映され、ドキュメンタリー審査員特別賞を受賞。2022年末にはヨーロッパ映画賞・ドキュメンタリー賞を受賞した。
〇 私が見たまま、その感想 〇
はじめに、なぜ私がこの映画にこだわるかを言えば、日本にいて、平和ななかで、しかも操作されたマスコミ情報の海にたっぷり使っているだけでは自分の物差しができなくなる不安に駈られるからである。飢えるような思いでみつめた。
ウクライナ東部ドンバス地方のマリウポリは、ロシア軍に侵攻、包囲され、砲撃によって街は廃墟と化した。眩しい日差しの下、人っ子一人見当たらない瓦礫の街の風景は、人類がすべてが滅亡してしまったかのようだ。淡々と爆撃をかいくぐり暮らしが続く、この映画は戦時下の普通の人たちの暮らしを地を這うように捉えた映画だ。
隣の家が爆撃を受けたら、無用になった発電機を生存している人たちがシェアするといった光景が映し出される。実に庶民は逞しい。めげずに生き抜くいや生きて行くしかない。
ドンバスの人たちが口々に語る。ソ連時代の方が平和で最低限の生活があったと。早く、終結、停戦を願うだけだと。
クヴェダラヴィチウス監督は、侵攻間もない3月に現地入りし、破壊を免れた教会に避難している数十人の市民らと生活を共にしながら撮影を開始。
だが、数日後の3月30日、同地の親ロシア分離派勢力に拘束され、殺害された。この映画は貴重な記録なのだ。第75回カンヌ国際映画祭で特別上映され、ドキュメンタリー審査員特別賞も受賞している。
見ていて思った。ウクライナの方が日本より戦争に対する備えができているということだ。
教会の地下には避難所があり、食事が提供されている。宗教施設が避難する場所であり、爆撃をさける場所として解放されている。
果たして、日本はどうか。北朝鮮からミサイルが発射され日本近海に落下しても、緊急放送で大きな建物の地下に避難してくださいとアナウンスするだけじゃないか?どこに、備蓄の食糧がある?
どこに、身を守るシェルターがあるの?
日本は防衛費増額でGDPの2%を超えるが、国民が避難できるシェルター、地下施設すらない。国民から税金を巻き上げるが国民を守らず、いったい何を守るための防衛予算か。私は備えがあるだけウクライナの方が安全な気がしてきた。
もし、ウ国への支援が必要なら民生に限るべきだ。
そして、医薬品や医療支援こそが日本が果たす役割だと思う。なぜ、自衛隊車両なのか私はわからない。戦争を長期化させ、いたずらにロシアを刺激するだけで、それじゃあ、日本の国益に反すると私は思う。
そうだ、難民船、病院船だ。国民が避難できる船こそ、支援の役にたつ。戦争はつまるところ貧しい国民にすべて犠牲をしいるものである。日本は、かつて海運大国だった。建造技術は世界一だったこともある。平和のための闘わない『救民大船ヤマト』をつくり戦乱で泣く傷ついた人たちを救う世界のレスキュー大国を目指すべきだ。おお、少年の夢と笑いにふすなかれ。
ウクライナより、悲惨なのは広島だ。民間人が数十万人が亡くなり、原爆被害に今も苦しめられている。
世界で最初に核兵器が使われた国は日本で、初めて使った国はアメリカだ。その国にロシアの核使用に警告する権限はないと私は叫びたい。
本来、このSUMMITでは核即時廃棄こそ決められるべきだった。そして、ウクライナとロシアの停戦へつながる一歩がはじまるべきだった。とても、残念でならない。
ウ国への援助、ロシアへの制裁はこの戦争を長期化させ、国民の犠牲者を広げるだけしかない。
そもそも、戦争・殺しあいに大義はない。両国の一般市民の願いは即時停戦で平和な生活を取り戻すことに他ならないと私は確信している。
この映画を見ながら「戦争」の中の暮らしに身をおいて考えるバーチャル体験ができたことはとても、ありがたい。