紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信 はてな版

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『妖怪の孫』を見た

〇 話題作の政治ドキュメンタリー作品を見た

  やはりといっては何なんだが関心は薄そうだ。劇場や行った時間帯にもよるのだろうが

  私ともうひとりの二人だけだ。同日にはシン・仮面ライダーも上映されていて、そちらは

  結構、入っている感じなのだ。これじゃ投票率は下がるわな。今の現状にもう諦めしかない

  のかも。フランスの10万人規模のデモは日本には無縁なのか。わずか、3万5万で転ぶのか

  嘆かわしいのう。

〇 予告編

 

 

 

 

〇 概要

STORY

1993年に衆議院議員に初当選した安倍晋三氏は、自由民主党幹事長、内閣官房長官などを経て、2006年に内閣総理大臣に就任。2012年に再度総理大臣に選出され、「アベノミクス」などさまざまな政策を実行し、連続在任日数2822日は総理大臣として歴代最長となった。しかし退任後の2022年7月8日、奈良市参議院選挙の街頭演説中に凶弾に倒れる。

スタッフ

企画:河村光庸
監督:内山雄人
企画プロデューサー:古賀茂明
アニメーション:べんぴねこ

上映時間
115分
 
〇 わたしの見たまま、感じたまま 〇
 
この映画は戦後史、とくに妖怪と呼ばれた男・岸信介元総理およびその孫である安倍元総理を通して日本の政治を俯瞰し、総括するドキュメンタリー映画である。
 
上映時間2時間は私には長く感じられなかった。むしろ、何冊かの良質の本を読んで気分にさせてくれた。考えを整理しまとめるのにとてもいい映画だ。この映画をみれば、統一協会と与党の結びつき、利益誘導の日本型政治、日本のアメリカ統治と憲法の関係がわかりやすく迫ってくる。現代の日本政治史を通覧するするのにとても有難い映画である。
 
見ながら安倍氏亡き後もその考え方が自民党の中に受け継がれていることに気づくだろう。
岸田政権の中にすっかり根付いてしまった。憲法改正によらずとも法制局の解釈で同様の効果を手にする狡猾な戦略は「軍事戦略」の変容にも小狡く取り込まれている。
 
いつのまに、日本という国は正面からの論争を避け姑息に立ち振る舞う国になったのであろうか。
問われているのは日本の保守のあり方なのだ。そして、国民の自立と覚醒なのだ。
 
希望の光を見いだしたいと願うばかりだ。

■ 桐龍座恋川劇団 梅田呉服座 2023/03/19

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます

〇洗練された舞台照明もトップクラス

 

メンバー  

座長 恋川純

恋川千弥

鈴川眞子

鈴川桃子

鈴川純加

鈴川かれん

ほか

 

東映メンバー

 

本日のゲスト

伍代孝雄

伍代つかさ

 

 

 

〇グランドショー  よりの開幕

・舞踊もコミカルにする工夫

・ハンチョウ完全復活のステージ

 

〇ラストショー    

夢芝居

 

 

口上挨拶   恋川純座長   

 

 

 

 

▼本日のお外題

 

〇特別狂言「夏祭浪花鑑」

▩キャスト

座長‥団七九郎兵衛

伍代孝雄‥親分&こどもの石松

恋川かれん‥団七の義妹

恋川千弥‥一寸徳兵衛

鈴川眞子‥女親分

鈴川桃子‥女房

鈴川純加‥義平次

ほか

 

 

☆ あらすじ簡略メモ

 

「夏祭浪花鑑(なつまつり・なにわ・かがみ)」は舅殺しの場で『泥場』と呼ばれ歌舞伎では本当の水を使っての殺し場面がある著名な芝居。

 

大衆演劇版としてアレンジし魅せ場を巧くまとめ上げている。

歌舞伎とは物語や登場人物とは少し違うのが大衆演劇のやりかただ。

各劇団それぞれに工夫を凝らしていて大変興味が尽きない。

桐龍座恋川劇団版「夏祭浪花鑑」は以下のようになる。

 

【あらすじ】

 

🌀第1景 髪結い床屋の前

兇状旅と上方での男修行から

江戸へ帰って来た男、団七九郎兵衛

 

花道から登場。髪結いで髪もさっぱりし浴衣に着替えした団七

 

団七の義妹に横恋慕する侍に金目当てに近寄る守銭奴の舅・義平次。

その他、義兄弟となる徳兵衛との出会いの場を歌舞伎調で繰り広げる。

 

こどもになった伍代孝雄の石松

石松に背負われて舞台袖に入る団七。面白おかしく。

 

 ★3枚目に徹する伍代孝雄に喝采、拍手!

名優はなんでもこなすんだなぁ

 

 

🌀第2景 親分の家

義妹を親分の所にかくまってくれるよう頼む団七。去った後に義平次が侍たちを連れて妹をさらって逃げる。

 

 ★この場でも3枚目に徹する伍代孝雄に喝采、拍手!名優はなんでもこなす

 

 拉致された事を知った団七が後を追う 

 

 

🌀第3景 泥場

 

★ 舞台に設置された泥場に見立てたセツト使っての名場面

 

義平次に追いた団七は義妹を返してくれと頼むも金の為なら何でもする義平次はこれを断固はねのけた

 

すると、団七はわしの懐に30両の金があると騙し翻意を促す。

態度が変わった義平次は義妹を団七に渡す。

 

カネをと迫る義平次、懐を探れば出て来る石ころ。

義妹を逃がす団七に騙されたと気づいた義平次は「義理の仲とはいえ親を騙すとは」と罵り二人は争いに。額に傷つけられた団七は‥

 

親殺しは極刑重罪。道義があったこの時代、悪人になりきれない団七の苦しみを好演。

 

魅せる泥場、迫力ある舅殺し、本水は使えないが水に見立てた水色の紙吹雪が舞う。

 

大きな大きな拍手おこる

 

 

🌀4 大殺陣

六尺棒、縄、戸板、梯子を使っての大捕物。

 

機敏な動きと歌舞伎の所作、ビジュアルな舞台。

座長・伍代孝雄・千弥が魅せる立ち回りはみごと。ここが大衆演劇の迫力。

外国人には歌舞伎より大衆演劇の夏祭浪花鑑が多分うけるだろう

 

東映剣友会6人の共演で本格的な大立ちまわりがはじまった。

 

見応え充分、桐龍座恋川劇団の夏祭浪花鑑

 

拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!ブラボー

 

勇壮な地車囃子が鳴り響くなか 幕

 

 

【画像】

やはり、芝居の中身がトップクラスの絶対条件だ・紀州屋良五郎

 

 

【参考】

 

 

 

 

▩ 長谷川劇団 梅田呉服座 2023/03/14

☆ まいどおおきに〜観劇メモでおます

(長谷川愁)
 

☆ 大衆演劇界一伸びしろの大きな大成長劇団

☆ 着実に実力を蓄えてきた劇団。陣容を整え大衆演劇の中心地大阪のど真ん中で勝負する劇団に駆け上がった。

 

池田呉服座スケジュール

5  澤村慎太郎劇団

6  劇団美山

 

メンバー

総座長  愛京花

座長  長谷川武弥

副座長  長谷川乱之助

花形 長谷川一馬

花形 京未来

長谷川舞

京詩音

長谷川愁

◉ゲスト出演

長谷川桜

 

顔見せミニショー

群舞  長谷川乱之助を中心に

女形  長谷川愁

相舞踊  詩音+未来

群舞 ラスト お祭りマンボ  愛京花を中心に

 

 

芝居「死んでたまるか」

 原題は落語、『品川心中』

 

愛京花‥若壇那

長谷川武弥‥番頭弥吉

長谷川乱之助‥芸者の間夫  もと歌舞伎役者もどき

長谷川一馬‥料亭の若壇那

京未来‥芸者染羽

長谷川詩音‥舞妓

長谷川愁‥太鼓もち たぬ吉

長谷川舞‥芸者

 

《あらすじ》

 

ある大店の若旦那は、商売の修業と称して江戸にやってきたが、実際は「芸者遊び」の放蕩三昧、威勢よく大金をぶん蒔いて、なじみの芸者染羽からたしなめられる。その「誠」に、ますます「執心」する若旦那。

 

そこへ、大店の番頭がやってきた。「旦那様から、いいつかって参りました。もう若旦那に届けるお金はありません。私とお店に帰りましょうと告げる。

 

若旦那は、私は商いの勉強をしているんだ。お金を使うのも修業の一つと理屈を。このままだと勘当になりますと番頭。

 

それなら、条件がある。なじみの芸者と一緒なら帰ってもいい」「芸者など連れて行くわけにはまいりません」「それなら、帰らない」「芸者なんて、所詮は売り物に買い物、若旦那にお金がないとわかったら、見向きもされませんよ」「そんなことはない」「では一つ、試してみましょう」

 

「どうやって?」「若旦那から、その芸者に心中を持ちかけるのです。ここに私の胃の薬があります。これを『毒薬』と偽って、酒の中に入れ、一緒に飲もうとするのです。もしその芸者が一緒に飲めば、私は信用します。一緒に連れて帰りましょう」と番頭は去る。

 

若旦那は、件の芸者を呼び寄せる。経緯を説明し、「一緒に死んでくれるかい?」。芸者、平然と「もちろんですとも、若旦那と一緒ならどこだってお伴します」「そうら見ろ」と、得意満面の若旦那、「では、この酒に毒薬を入れて、一、二の三で飲み干すのだ」「何という毒薬ですか?」「パンシロンだよ。しかし毒薬は毒薬だ。それ、一、二の三!」若旦那は一気に飲み干したが、芸者は飲む仕草だけ‥

 

若旦那、毒が回って「七転八倒の」苦しみ、やがて動かなくなった。芸者、「ふん、こんなバカ旦那と死ねるもんか!いい金蔓だと思っていたが、死んでしまいやがった」そこへ、芸者の間夫が派手な歌舞伎メイクで登場。いでたち、化粧、口跡で、「浮いた」演技で場内大爆笑。

 

したたかな芸者と間夫のやりとり、これまた、長谷川桜と一味違った味が出ていた。

 

退場間際に芸者が放つ最後っぺ‥

番頭が現れ、云った通りになりましたねと念をおす。それじゃということで芸者染羽に復讐することに相成った。

 

楽しく大爆笑のクライマックスへと

 

以後、番頭と若旦那は「幽霊芝居」で復讐を試みるが、したたかな芸者コンビには通じないまま閉幕、若旦那は「バカ旦那」のまま終わるという喜劇だ。オチは『コレガほんとの恨めしや

 

 

 

口上挨拶  

 

長谷川武弥座長  長谷川一馬  長谷川愁  長谷川詩音

・イベント紹介

・休演日は24  千穐楽29
・前売り券販売

・武弥座長のユーモアトーク

 

 長谷川劇団のスケジュール

4 篠原演芸場

5月~7 関東公演

8 三吉演芸場

9 雷鳴座

10 見聞劇場

11 浪速クラブ

 

舞踊ショー

・躍動感みなぎる群舞、キレのある舞踊が決まる。

 

【画像】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こけても這い上がる。泣かしよんな!笑わしょんな長谷川武弥劇団。全国区に執念で駆け上がる。この根性こそ、ザ・大衆演劇の舞台だ・紀州屋良五郎

▩ 松竹お笑いライブ 松竹芸能DAIHATSU角座 2023.03.11

〇 松竹お笑いライブ 松竹春のピンまつりを見た

 

 

 

〇 くわがた 心   前説 大阪メトロマネ

 

雷ジャクソン高本   海上自衛隊のネタ

 

〇 はっぴちゃん   ギター

 

〇 華井二等兵  

 

〇 揚野バンリ  ジャグリング

 

〇 酒井とおる  漫談

 

〇 オーバスツー・しんじょう

 

代走みつくに 

 「なんのこっちゃね〜」のギャグ25年。

 箱根駅伝ネタ

 

〇 内海英華  女道楽

相撲太鼓を三味線で鮮やかに

私は大ファンである  CDはすべてもっている

https://www.wowow.co.jp/detail/107708

 

 

 

▩ 劇団戸田 大阪風竜座 2023/03/13

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます

〇大阪での単独公演である。ゲスト出演ではしばしば大阪の舞台で見たが単独公演では201511月の栃木・鬼怒川温泉花菊で見たときまでさかのぼる。過去のBlogもご参照下さい。

 

 

 

 

 

おすすめしたい劇団である。

 

大阪風竜座スケジュール

4 劇団一旗 (早乙女紫虎)

 

 

メンバー

総座長 戸田ゆかり

座長 戸田ゆうた

二代目座長 戸田凜

戸田ももみ

紫水凪咲

 

ほか

 

顔見せミニショー

 

 

〇名作狂言瞼の母

 

☆ キャスト

 

座長 戸田ゆうた‥番場の忠太郎

戸田凜‥水熊屋板前喜助&浪人

戸田ゆかり‥おはま&夜鷹

戸田ももみ‥お登世

紫水凪咲‥明神一家松五郎&金五郎

ほか

 

 

☆ あらすじ

 

番場の忠太郎は、五歳の時に生き別れになった母親を探して旅をする渡世人

 

母親を探して江戸へ出た忠太郎は夜鷹の老女に柳橋の料理屋水熊の女将が昔江州に子供を残してきたことを聞く。

 

忠太郎は水熊の女将おはまに会いに行く。

 

 

最初は路銀をゆすりに来たやくざと勘違いしたおはまだったが、すぐに息子であると気づく。

 

だがおはまは再婚した相手との間にもうけた娘・お登世のために、自分の子ではないと突っぱねて忠太郎を追い返す。

 

 

☆ 迫力ある忠太郎、気品のある おはま を見た。

ひさびさに見た情感溢れる「瞼の母」だ。

 

失意のうちに出てゆく忠太郎とすれ違ったお登世は、それがいつも母から聞かされていた兄だと悟る。母をいさめる娘、兄を連れ戻してと懇願する。

 

 

△ キッチリした筋展開

 

 

忠太郎が手柄目当ての浪人・金五郎に狙われていることを知ったお登世は、母と二人で忠太郎の後を追う。いそぎ籠二挺、呼んどくれ‥

 

 

場面は山中

 

旅する忠太郎、命狙う金五郎と浪人

金五郎をば叩っ切る‥

 

座長の光る殺陣と凄みすら感じる独白が冴える。

 

ふたりが籠で追うも忠太郎は‥忠太郎は母と妹に名乗ることなく、一人姿を消すのだった。

 

☆原作に忠実な母子すれ違いのパターン。

 

*ご存じ長谷川伸原作の著名な名作狂言

 

 

*将来のことを考え冷たい態度をとる母のせりふの応酬、名ぜりふが見どころ。

とくに、戸田ゆうたの凄みのある独白には注目する。演技は冴えていた。

 

舞台口上   

戸田ゆうた+戸田凜+紫水凪咲

・明日の芝居『質屋の娘』の見どころ

・グッズ販売&前売り券販売

 

 

〇グランドショー  

 

〇ラストショー    ご利益

 

 

 

【舞踊ショーの画像】

 

 

 

 

 

 

芝居の迫力はさすが、少ない座員を名演と迫力で乗り切る舞台・紀州屋良五郎

 

☆ 大阪風竜座はとてもいい劇場なのだが段差なく平面の為めうしろに座ると見にくいのが欠点だ。

写真を撮るひとは通路側に座るとよい。可能なら舞台上手側に一段高い桟敷があればと思う。

 

▩ 劇団あやめ 堺東羅い舞座 2023/03/06

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます

 ゲストなし、劇団あやめ5人による奮闘大興行。

 

★ 座長以外全て実力ある女優だけの5人編成で140席の舞台を務める。

いわば、小さな旅芝居の壮大な実験なのだ。成功して欲しいと願う。

和歌山・新宮の小さな20席ぐらいの舞台や、全国廻りで積み上げてきた劇団だ。

ここで見ていると、ずっと見続けてきた私は胸が熱くなる。

天下分け目の勝負が弥生三月に始まった。

 

 今月はショー写真撮影可

 

 

劇団あやめ  スケジュール

4  単発?

5 御所羅い舞座

 

羅い舞座堺東スケジュール

04  劇団輝

 

 

 

 

〇 12日 羅い舞座スタンプ5倍

〇ケレンの王様猿之助、面白い演目を次々

〇独創的な創作衣装・電飾衣装で乱舞する姿はインターナショナル。

〇創作ショーと創作衣装、創作舞台セットにかなり力を入れるビジュアル大衆演劇が特徴。

 

メンバー

座長  猿之助  

貴妃  咲之阿国

花形 初音白猿

ひよこ(マスゴッド

千鳥

 

 

☆ 舞踊ショー

 

羅生門 ひよこ

 

千曲川」 貴妃  咲之阿国

 

「傷だらけの人生」 座長

 

「先生ほか歌のステージ」 千鳥

 

「銃爪」

 

 * 初音白猿&座長 猿之助

 *座長のバク転が見れるのは「劇団あやめ」だけ

 

《休憩》

 

芝居『鶴八鶴次郎』

 

【キャスト】

 

・座長‥鶴次郎

・咲之阿国‥鶴八

・白猿‥料理店伊豫善の主人松崎

・千鳥‥左平に替わるおしげ

・ひよこ‥おとよ

 

【あらすじ】

 

あやめ版はちょいと違う。

 

名場面をダイジェスト的に繋ぎつつ、枝葉をそぎ落とし、オリジナルの部分とアドリブで創造加筆する。余計な説明はない。

 

だが魂部分は、蝶々発しとした座長と咲之阿国の絶妙な掛け合いが花道で進行する。

 

まあ、この芝居の骨は鶴八と鶴次郎の愛と芸の確執をどう描くかだ。

芝居は少人数でも芸の力で見せるものという原点を改めて教えてくれるいい芝居を見た。

 

あやめ版はオリジナルとして見るのがいいというのが私の見方、というか大衆演劇はこういう捻り方をしないといけないと私は高く評価したい。

 

参考までに原題のながれは、こうである‥

 

 

 

 

 

大正時代の東京に鶴賀鶴八、鶴次郎という新内の名コンビがいた。二人は心の中ではお互いを尊敬し憎からず思っていたが、芸のこととなると譲らないのでいつも喧嘩していた。


大正8年正月も大入りの舞台を終え、部屋へ帰ってきた二人は上機嫌でお互いに褒め合っていたが、鶴次郎が三味線の手について一ヶ所注文を出すと鶴八はカチンときて喧嘩になり、支配人の竹野に諭される始末。

 

鶴八は自分のあまりの気の強さから鶴次郎に嫌われているのではないかと女心に案じていた。彼女には料理店伊豫善の主人・松崎という贔屓があり、求婚されているのだ。

 

鶴八は鶴次郎を慕いつつも、鶴次郎の頑固さからいっそ伊豫善の申し込みを受けようかと考えることもあった。その年の4月、鶴八は大阪の名人会が済むと高野山に亡き母・先代鶴八の遺骨を納めに行く予定を果たそうと鶴次郎と出かけた。そこで鶴八は思い切って伊豫善へ嫁に入ろうかと思うと明かす。

 

鶴次郎が愕然とし、嫁に行くなら私の所に来てくれと泣くのを見て、鶴八は胸をときめかし、二人は意地を忘れてお互いの恋心を打ち明け、夫婦の誓いを交わすのだった。それから1ヵ月後、鶴八は亡き母の願いだった鶴賀の名のついた寄席を伊豫善の資金援助で経営することになった。

 

その打ち合わせで伊豫善が鶴八の自宅へ来て話し合っていると、嫉妬にかられた鶴次郎が血相を変えて飛び込んできた。鶴八も伊豫善も色気抜きの後援だと宥めたが鶴次郎はいきり立つばかり。

 

ついに鶴八も頭にきて強い言葉を返すと、鶴次郎はお前との仲もこれきりだと言い放って飛び出してしまった。


それから2年。場末のうらびれた寄席にいる鶴次郎の元に、伊豫善の妻となった鶴八が訪ねて来る。鶴次郎の事が忘れられず、彼をもう一度晴れの舞台に復活させたいと迎えに来たのだ。

 

鶴次郎は、夫の許しを得た鶴八と二人で再び名人会に出演した。昔以上に芸が上がっていると絶賛を博した2人だったが、楽屋へ引き揚げてきたところで鶴次郎は鶴八の三味線に難癖をつけ始めた。

 

鶴八は烈火の如く怒り、鶴次郎も引かないので二人は再びもの別れになってしまった。その夜、鶴八の番頭・佐平が居酒屋で酔いつぶれている鶴次郎を発見し短慮を諌めると、鶴次郎は、鶴八を心から愛していて、だからこそ芸道に引き戻して今の幸せを損ねたくなかったと本心を明かす。佐平は何も言わずに盃をさし、鶴次郎は再び酔いつぶれるのだった。

 

 

☆☆☆

 

▪️あやめ版では鶴次郎ががんで余命宣告を受け、やがて舞台に立てなくあるという設定になる。

 

それもあり、鶴八(おしん)の女としての幸せを考えると若旦那と一緒になれば一番いいと思って、

鶴八の大事にしていた形見の三味線をわざと乱暴に壊して芸から身を引けと難題をつきつけるのだった。

 

肩を震わせて涙ながらに鶴八が嫁ぐ姿を見送る鶴次郎。猿之助の名演がキラリと光った。

 

やがて、酒に溺れ血を吐きながら「鶴八」の名を叫ぶところで 幕

 

 【補足】

 

※花道で言い争う二人。咲之阿国の上手い絡みは見応えある。

 

巧みなアドリブでかわす姫猿之助に対し、負けていない咲之阿国。いい勝負だ。

 

※鶴八(おしん)がいつしか松崎に心を寄せているのではないかとの疑念と嫉妬から鶴次郎は立腹。

 

原題の芝居にオリジナルな演出を施した芝居は見事だ。拍手を贈りたい。

 

泣かせどころがわかる姫猿之助。芸の力を魅せる公演だ。

 

 

 

《 座長の口上より 

 

きょうの芝居は思い入れのある芝居です。

 

昔、父の劇団にあやめという役者がいました。

 

事故で亡くなったのですがその人と父に連れられて小学生の私が中座で見た芝居がこの「鶴八鶴次郎」でした。

 

勘三郎玉三郎の歌舞伎でした。でも、小学生の私は入場を制止され、入れなかったところを「あやめ」さんが頼み込んで入らせてもらえました。

 

私にとって身体に焼付けたかけがえのない芝居なんです。

 

(座長・談)

 

 

 ☆ 花の新歌舞SHOW

 

 *息つく間もない場面転換と激しい舞踊、舞踊、個性が万華鏡のように光るのが劇団あやめの舞踊ショー

 

【ラストショー】

 

特選ショー「天竜しぶき笠」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【画像】

 

新境地をつくる大衆演劇の革命児は姫猿之助紀州屋良五郎

▩ 期待する若手の大衆演劇 役者 2023

〇 順不同で列挙してみた 

     あくまで基準は個人の私見である  劇団名・肩書は省略

 

浅井大空海

初音白猿

小龍優

市川千太郎

市川とと丸

市川小恵子

花柳竜乃

二代目香賀峰子

長谷川一馬

長谷川愁

京未来

白富士宗歌馬

實川加賀美

實川樹

實川輝那

澤村天地

寿美空

笑窪

天海翼

駒澤輝馬

澤村龍馬

澤村龍聖

大河一心

魔裟斗

二代目彩姫

恋瀬川キャビア

藤間歩

大日方忍

森川煌大

優木直弥

とく太郎

宝華紗宮子