紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『あまろっく』をKANSAI人が真剣に見たんやで

江口のりこ笑福亭鶴瓶が織りなす、おもしろうて、ちっぴり悲しい、関西ペーストにくるまれた上質のコメディだ。滑り出しから大好調。相当な動員数を予測させる映画だ。尼崎たっぷり、関西人必見。

 

STORY

39歳の近松優子(江口のりこ)は仕事に情熱を注いで生きてきたが、理不尽なリストラで失業して以来、実家でニートのように暮らしている。一方、優子の父で町工場を営む竜太郎(笑福亭鶴瓶)は、「人生に起こることは何でも楽しまな」を口癖に近所の住民たちと面白おかしく毎日を過ごしていた。ある日、竜太郎が再婚すると言って20歳の早希(中条あやみ)を優子に紹介する。優子は19歳年下の義母を受け入れられないまま、3人での共同生活を送り始める。

キャスト
江口のりこ中条あやみ松尾諭中村ゆり中林大樹駿河太郎、紅壱子、久保田磨希浜村淳、後野夏陽、朝田淳弥高畑淳子佐川満男笑福亭鶴瓶
スタッフ
監督・原案・脚本:中村和宏
脚本:西井史子
音楽:林ゆうき
主題歌:ユニコーン
製作:池邉真佐哉、小西啓介、藪内広之、小林栄太朗、奥田良太、宮沢一道
エグゼクティブプロデューサー:首藤明日香、小西啓介、渥美昌泰
プロデューサー:辻井恵子、岩崎正志
制作プロデューサー:谷口美希子
音楽プロデューサー:島津真太
監督補:永冨義人
撮影:関照男
照明:平田孝浩
録音:田中聖二
美術:川原純
編集:目見田健
音響効果:濱谷光太郎
スクリプター:木本裕美
VFX:紀野伸子
プランナー:TOCO
ヘアメイク:宮崎裕子
上映時間 119分
〇 予告編

 

 

〇 私の見たまま、感じるまま 〇
尼崎という所は海側と山手ではずいぶん雰囲気が変わる所だ。
両方にお店を出すある青果店が言っておられたことを思い起こす。
同じ品物も山手と海側では値段を変えないと売れないことがあるらしい。
安くないと売れない海側、安すぎると不審がる山手ということらしい。
そんな面白い町尼崎を舞台にたっぷり描いたドラマだ。
まず、「あまろっく」とは何か‥これがわからないと最後までわからない仕掛けになっている。わかれば、主人公はあまろっくだったともいえる映画。
あまろっく‥尼崎の閘門を意味する。
KANSAI人でも、聞き慣れない言葉  あまろっく  
かつて起きた、伊勢湾台風による大水害を先例として、ゼロメートル地帯一帯から被害を防ぐために作られた閘門のことである。
転じて、尼崎でロックな生き方を貫くお父ちゃん(笑福亭鶴瓶)の天真爛漫で、アットホームで、家族や工場の従業員をまもるホットな生き方をさす。
 
まずは、うちのお父ちゃんは尼ロックみたいな存在という娘のユニークな感想文の発表から物語が始まる。
 
どんな嵐にもどんな災難にも明るく、家族を守る姿、そんな父を象徴するかのようなホームコメディーだ。
 
父に扮するのはそのキャラクターがいかんなく発揮される笑福亭鶴瓶
 
とても個性的な娘役を江口理子が演じる。鶴瓶のとっても暖かい人柄とまろやかさに包み込む父親の姿。そしてかなり強盛で、直情径行。それでいて、スジを通さずに生きられない性格の娘役を江口のりこが演じる。
 
昔の阪神尼崎駅前と言うのは、かなり猥雑な場所であった。屋台もあり、まぁこの映画はタイムスリップして、そういう断面も描いている。
 
同級生が営む屋台のおでんやで時折、酒を飲みながら愚痴を言う娘の姿がとてもKANSAI的で、ザ阪神のあけっぴろげな家族そのままである。
この演技がとてもおでんみたいに染みて、なんともいえないぐらいうまい。
 
長年続いた小さな町工場、その職人や従業員たちも、みんな個性的で最長老にあたる職人は、佐川みつおが演じている。
 
一人一人が演じる人生が写し出される、個性的なとても個性的な映画である。
 
父親に反発をして家を飛び出し、独立をして失敗をする。反発した父親と同じ道を辿るなかで、結局は自分も父のように町工場のあまロックになっていくと言う娘。
 
主演の江口のりこの演技の確かさに、終始うならせるものがあった。
 
https://www.google.com/gasearch?q=%E3%81%82%E3%81%BE%E3%82%8D%E3%81%A3%E3%81%8F%20%E6%98%A0%E7%94%BB%20%E4%BA%88%E5%91%8A%E7%B7%A8&tbm=&source=sh/x/gs/m2/5

 

 

 

お父ちゃんがいう口癖
「人生に起こることはなんでも楽しまな」
まさに、生きる力を注いでくれる映画だった。
何よりも関西人がこの土地にこだわり作り上げた映画。そういう映画だ。こんな映画はレアである。
 
吉本興業よりも松竹芸能パピヨンズちよみさんが登場しているのが私には嬉しい。
映画で『てい❗』が聴けると思わなかった。と言ってわかる人がどんだけいるかな  
松竹芸能バンザイ  おしまい。
あっという間の2時間、とても楽しませてもらった。
 
まるで親父に似た生き写しの人生がうまく描かれている。
できすぎだと思える場面も多々あるが人生はドラマみたいなものだと割り切れば、それもまた楽しいものである。
 
  https://news.yahoo.co.jp/articles/9079165cfa63de3701bf0e25a5f1a57bce1782f9