紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ すわん江戸村 劇団紀州公演 2024.04.20 ゲスト・花柳劇団+高橋茂紀

〇 劇団マスコット犬『石松』はきょうも元気だった。さらに、驚いたことに梅南座の常連Mr.BOOさんご一行ともバッタリ出会い楽しい観劇日和となった。すわん江戸村も来客者が増えている感じだ。

 

本日の公演は江戸村ではお馴染みの高橋茂紀さんに加えて、花柳劇団から花柳願竜座長、花柳竜乃若座長、加賀峰子花形、花柳さつきさんが加わり豪華な実力役者の共演となった。

 

第1部 お芝居『花魁草』

原作 北條秀司 歌舞伎や松井誠公演でも上演

 

配役

娘‥加賀峰子  

女郎の女房お蝶‥市川福之介 

幸太郎‥市川昇

百姓世之介‥高橋茂紀

百姓世之介の女房‥春菜美保

行商人‥市川太仁志

芝居茶屋芝亀の女将お栄‥花柳竜乃

勘左衛門の女房‥花柳さつき

猿若町の座元勘左衛門‥花柳願竜

ほか

 

あらすじ

時は江戸時代の終わり。

安政地震を生き延びた女郎のお蝶と大部屋役者の幸太郎は、百姓の米之助に助けられた縁で、栃木にある百姓世之介の家で間借りして生活をするようになる。

 

互いに思い合うふたりなのに、祝言も挙げず床を共にすることもない。

百姓世之介は二人に所帯を持つように勧めるが、お蝶は、夫婦になることを躊躇していた。

 

世間には自分は幸太郎のお世話をするおばさんだと言いつつも、心の奥底に悋気の炎が渦巻くお蝶には、昔、身も心も尽くした男に裏切られ、暗い過去をもつ男殺しの暗く哀しい過去があった…

 

動揺の心を隠して縫い物の手を止めず…世之介に心情を吐露するお蝶の哀切が胸に迫り、

涙が頬を伝う。

 

縁は希なもの、猿若町の座元勘左衛門一行二探し求められ、ご贔屓の芝居茶屋の女将お栄にも諭されて、江戸に戻る決意をすることになる幸太郎。お蝶は笑顔で旅立ちを共にした後、一旦は栃木に戻りるも行きつく先の事を案じ栃木へと舞い戻っていた。

 

8年の年月が流れ、花形役者となって訪ね来た幸太郎。栃木で願って公演をうつ。

世話になった百姓世之介のもとを尋ねる。舞い戻っているお蝶に一目会いたくて‥

立派な役者となった今、愛する男の心を乱してはならない、今は盲目となった姿を見せたくはない…と、お蝶は襖の奥に身を隠す。

 

去りゆく幸太郎をそっと見送りながら、必ず舞台を見に行くからねぇ…と呟くお蝶の見えない目には、立派になった愛しい幸太郎の姿が、眩しく切なく浮かんでいたことだろう。

 

〇 所感

私もはじめは、『釣り忍』を思わせるはじまりだなと思いつつ、舞台に引き込まれていった。とくに、市川福之助が演じるお蝶が余りにいじらしく、老若演じ分ける素晴らしい女形芝居だった。客演の花柳願竜座長も云っていたように、この劇団紀州メンバーは稽古熱心、藝一筋のメンバー揃いだ。

 

〇 第二部舞踊ショー

 

わたしの芝居のふる里 和歌山・海南すわん江戸村・紀州屋良五郎

太夫元 師匠は不死身  となりの人間国宝にもなった