紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 人情芝居の秀作を熱演 劇団一旗 梅南座 2024.08.04

☆ まいどおおきに〜紀州屋の観劇メモでおますimage

 

☆ ゲスト出演・藤乃かな(8/7まで)
☆ メンバー
座長  早乙女紫虎
城津果沙
㐂楽屋斎右衛門
ほか
 
 
☆ 芝居『とらん帳』
 
配役
佐官の虎‥早乙女紫虎
大工の親方‥一見大弥
大工の子方‥㐂楽屋斎右衛門
大工の子方‥都新太
虎の娘おきみ‥早乙女紫愛
おきみの姉お咲‥都ゆな
材木問屋 浪花屋の壇那‥藤乃かな
浪花屋の後添え女房‥城津果沙
ほか
 
《あらすじ》
この日のお芝居は「とらん帳」という外題。
大工の二人が話をしているところに、酒浸りの佐官の虎が現れる‥客席からの登場
 
しばし、3人の話  ついで、大工の親方といろいろと‥‥
そこへ現れた浪花屋のお嬢さんに助けられてた盲目のおきみがやっとたどり着いた。
 
聞けば、身投げしようとしたところを助け出されたらしい。辻占を売って小銭を稼いでいたが、父親の酒代すら稼げない儚さに身投げをしようとしたらしい。
 
身の上を案じた浪花屋のお嬢さん、店で小間使いとして働かないかと誘い、おきみも承諾する。
 
時流れ‥場面は変わって、おきみが心配で材木問屋難波屋を訪ねた虎。
 
難波屋の主人というのは、かつて出世比べをしようと共に浪花を出た幼なじみの徳兵衛であった。二人は浪花で別れてからの苦労話を語り合うのだが‥
 
* さすがは藤乃かなさん、完璧な浪花ことばで芝居をすすめる。
 
いかにして、徳兵衛が今の出世を勝ち得たのかには物語があった。
 
行き詰まり死のうと思った徳兵衛は材木問屋の壇那に助けられて、相場で儲けた資金で小さな材木問屋をひらき大繁盛。女房をもらったが不幸にもなくなり、後妻を貰うことになった。
 
その女房には連れ子があった。その子は縁あり油問屋の若旦那と一緒になると幸運続きと語る。
 
一方、虎はと言えば一緒になった女房には逃げられた。
子があり盲目だ。その子を抱えて男で手一人で育ててきた。
逃げた女房は江戸にいると聞き、訪ね訪ねて江戸にたどり着いたという塩梅だ。
 
母屋からなにやら子を虐める叫びが聞こえる。
皿を割ったとかで女中になったおきみが血を流す折檻をされている。
飛び出してきたのは、徳兵衛の女房。
小間使いなどさせられない、連れて帰れの一点張り。
 
あ、あっ!お、おまえは俺から逃げた女房やないか‥と左官の虎。
 
芝居はいよいよ、大団円。切々とした人情はなしの山場がやって来た。
泣くようにたたみかける早乙女紫虎が演じる虎、芝居を決める藤乃かな演じる壇那。
人情の花は梅南座にパッと咲いた。
 
おきみちゃんの面倒を見させて欲しいと壇那が頼むも。
おきみは「お父ちゃん! 私も連れてって」と言い切る。そして、姉までついていくと云う。
 
いい結末だ。母子競演の映える舞台となった。
 
おきみは云う「立派なお邸に育つ花も貧乏長屋に咲く花も咲けばどれも綺麗でしょ」
「例えお粥をすすっても、お父ちゃんの側が一番」とすがり付くおきみ。
 
泣かす人情芝居がピタリと決まった早乙女紫虎。
やはり名優だ。
 
 
☆ 口上挨拶  座長・早乙女紫虎
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☆ 第二部  舞踊ショー
☆ ラスト『むくのはね』

ショー画像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名優共演、母と子の人情芝居は見応えがあった・紀州屋良五郎