紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 劇団あやめ 御所羅い舞座 2024.01.14

☆まいどおおきに〜ほな、ぼちぼちいこか、観劇復活メモでおます

☆雪が降れば、まさに絵になるところが奈良・御所 

芝居でいえば、冥途の飛脚・梅川忠兵衛の恋の大和路。

側に梅川がいてくれたら遠くないと感じるところだ。

 

☆ 実をいえば、御所羅い舞座は幸先の良い劇場なのだ。『劇団あやめ』がその劇場に載り、常連になったことが私はうれしい。かつて、宝海大空が地方周りから全国に飛び立つ原点になったのはこの劇場だった。大空が関西のどの劇場にも乗れなくて、ここから関西の初舞台を踏み、全国区への火がついた。山根演芸社とタイアップしながら大衆演劇界をリードする羅い舞座グループ5劇場の発展は止まる気配はない。

 

 

☆ 芝居『浪花盃』

長屋暮らしの二組の夫婦が繰り広げる面白くてやがて悲しい恋物語

人情喜劇の名作を劇団あやめがやると不思議と決まる。なかでも、

三代目姫川竜之助の存在が大きい。

 

清やん(清之助)‥白猿  

熊・伊勢屋の壇那二役‥座長

いけずな女房‥咲之阿国

亭主思いの女房‥千鳥

大番頭‥三代目

 

貧乏長屋の喧噪

 

女房達が風呂に出かけた頃に尋ねてきた大番頭

清やんが知らされた父の死、店へ戻れとの遺言

経緯を語り始める清やん

清やんの女房・お絹はもとは芸者で、見染めて駆け落ちし、長屋暮らし

事情を聞いた兄貴分の熊、後のことは引受けたから 親の遺言を守り

家に帰ってやれと諭す  子まで、熊夫妻に預け店へと帰る

悪態をつく女房お絹を捨てて‥

 

実は跡目を次いだ壇那というのは清之助の兄だった

その妹というのがあの、女房のお絹

わざとしくんだ愛想尽かし

名作の泣き笑いの喜劇を咲之阿国の名演で飾る

 

セリフが決まり、柝かしら〜ちょーん、『浪花盃』曲流れ幕

大衆演劇、定番のこぎ見よい芝居の流れ。

 

 

「そこに、愛はあるんか」

「4つのワ」や ドンドン飛び出す猿之助の速射砲。

 

猿之助のセリフの魅力は意表を突いてでるユーモアと巧みな表情、これぞ当代一の表現者・姫猿之助

 

不思議な劇団  劇団あやめ

松竹新喜劇の源流は「にわか」だ

喜劇の源流、大阪仁輪伽、まさにアレだ。

「にわか」は笑いの源流

その流れを組むのが劇団あやめ

表現者の意表を突く笑いと独特の仕草

それは、姫猿之助に天が与えた才能、それは、天賦の才だ  

 

五木ひろしの「浪花盃」流れる‥‥

 

「運否天賦」で駆け上ってきた劇団が劇団あやめだ。私はもし、叶うならば、その「生き証人」になりたいと願ってきた。でも、日本一まではもう少しだ。

 

御所の羅い舞座には悪いが劇団あやめが一番映える舞台は素晴らしい棟梁がいる5月公演予定の「羅い舞座グループ弁天座」そして、「羅い舞座京橋劇場」ナノだ。

 

★ 舞台口上

 

 

 

 

☆ ラストショー    咲之阿国の『飢餓海峡

見どころは舞で磨きあげた所作と繊細な仕草

そして、感性の表現者の真骨頂だ。

 

(語りは、ご存じ『石川さゆりの歌芝居・飢餓海峡』)その語りに呼応し咲之阿国が舞うように散るように演じる舞台。

 

八重は下北の大湊から愛する犬飼を訪ねて舞鶴へ向かう、懐には一夜をともにした犬飼の新聞記事、そして『愛した男の足の爪』を大事にしまいつつ‥地獄の果てまで連れてってと恋願う、そんな、ひたむきな女の情熱を細い指先で表現する咲之阿国の舞踊芝居だ。見応えある名舞台だ。

 

勿論、犬飼のセリフは座長による真迫の演技で魅せてくれた満足いく舞台に大拍手だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一幅の名画を見る舞台。その姿は私には、舞台空間を飛び越し、姫猿之助の藝に恋した女優・咲之阿国の情念を見る思いがしたのである。