紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ はる駒喜劇で巻き起こる笑いの渦 剣戟はる駒座 華舞台 星天座 2024.08.08

〇 まいどおおきに〜紀州屋良五郎の観劇メモでおますimage

 破格の喜劇で真剣勝負

 古き芝居がはる駒ならではの演出でミュージカルタッチの演出で新感覚喜劇となった!

第一部  芝居「虎の改心」

配役

 

義父‥津川鶫汀

棟梁‥勝龍治

虎‥津川祀武憙

虎の女房‥晃永樹里杏 

幽霊‥晃丈夕葵

大工‥晃栄美杜甫

大工‥津山斗輝矢

ほか

 

簡単なあらすじと所感

津川祀武憙座長演じる酔っぱらいの虎が、花道から酩酊状態、千鳥足で歩いてくる。

 

本格派の酔っ払い。実にみごとな演技。

昔、ジャンジャン横丁にいたような、三角公園で見かけたような派手な酔っ払いだ。頬は真っ赤、そして、羽織る着物も目を引く赤色。

 

どうやら、この大工の虎は、酒に飲まれるタイプで飲むと豹変してしまうようだ。

 

優しい女房の酌で気持ちよく昼間から酒を煽った様子。

とうとう女房に喧嘩をふっかけ始めた。

 

義父が止めに入るも「お前ら、実の親子で間男しとるやろ!」とふっかける。

やがてとり出してきたのが出刃包丁。

女房と義父は慌てふためき、「虎に殺される、殺される!」と慌てて、大工の棟梁の家に駆け込む。

 

よにもめずらしい新種の中風 小刻みに全身を震わせる演技が新鮮だ

津川鶫汀座長の真骨頂、笑いのパターンは次々と‥ 

 

「うちのかかあと親父が、ここに来とりますやろ。あいつら間男しよるねん」ととてつもないことを言い出すので、棟梁はひとつ芝居を打つ。

 

「なら、飛び道具を使い。これで撃ったら一発や」

出刃包丁の代わりに渡したのは、銀色の六連発ピストル。

よくできたおもちゃのヤツだ。

 

場面変わり 店先

 

棟梁は虎に悩まされる人たちを集めて、虎を欺す筋書きを説明する。

「ええか、みんな、虎に撃たれて死ぬっちゅう芝居をしてほしい。この機会に、酒癖の悪さを直したらんとな」と

 

虎の女房、義父、茶店の豆吉、後輩の大工、棟梁の息子が次々と‥。

数々のパターンの死に方で死んでいく

 

メンバーの死に方がそれぞれに個性的。賑々しく舞台を盛り立てる。

歌舞伎調あり、任侠歌謡あり、演歌舞踊あり‥様々に演じて大仰に死に花を咲かす。

 

悲壮感は微塵もない吉本的いっぱつ芸人発表会が繰り広げられる。

 

演出は凝っていて、かつての「ふるさとキャラバン」的な喜劇ミュージカルのように楽しく、舞台狭しと繰り広げられる。

 

やはり、「虎の改心」という芝居は大仕掛けにやればやるほど振り幅が大きく面白い、はる駒喜劇本領発揮の世界だ。ついに、みんな死に絶え‥

 

この芝居、結構、古い芝居と思われるが演出次第でこうも面白い芝居となる。

私的には、晃丈夕葵さん演じるかなりひねった芝居の幽霊がよかった。

 

ついに、みんなが静かになり‥

「みんな、みんな死んどる、どないしよう」

 

ようやく我に返った虎の嘆きは相当なもの

酔いから覚めて棟梁からコンコンと諭される。

「ああ、わしは、なんてこと、ホンマになんてことをしてもうたんやろ」

 

皆が生き返り、拳銃はおもちゃだったとしる。

身に染みた虎は棟梁とみんなの暖かい支えで改心した。 

 

「今だけ、カネだけ、自分だけ」と言われる今。

そんな、世に人の情けと笑いとあたたかさを感じる芝居の時間を提供し続けたいという先代座長・津川竜さんの声が今もきこえる。

 

私は剣戟はる駒座こそが大衆演劇文化の花を更に大きく咲かせてくれると信じてやまないし期待している。

 

はる駒喜劇は今日も大爆笑。

流れるセリフの心地よさ

アット驚く大団円、どんでん返しの結末は

笑って、泣いて、泣いて、笑って‥

これぞザ・大衆演劇  はる駒喜劇の醍醐味だ。

若き座長が伝統引き継ぎ魅了する 今日も華舞台 星天座にお運び下さい。

 

 

口上挨拶   津川鶫汀座長

それにしても 老け役が似合うようになった津川鶫汀座長の魅力は円熟味が増した

 

さて、芝居の話が止まらない座長。次やる芝居・『稲荷札』にふれ、松竹新喜劇の源流である五郎劇(曽我廼家五郎)として上演されたい作品であると語る。

原作台本や先人の源流をしっかり捉え継承しようとの座長の熱い意気込みが伝わってくる。とにかく、研究熱心な座長である。

 

* ちなみに、曽我廼家五郎は堺が生んだ喜劇王ペンネームは一堺漁人である。

かつて浪花のチャップリンとも称された。

 

五郎劇から、十郎を交えて松竹家庭劇、そして現在の松竹新喜劇へと系譜は続いている。

 

第二部 舞踊ショー

ラスト「剣舞 伊達男」

 

【画像】

 

 

 

ますます、きれいになった津川祀武憙座長の女形

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大衆演劇は夜の部が満席になるかどうかが劇場と劇団の発展をみるバロメーター・紀州屋良五郎

 

おまけ

 

劇場でPayPay使えますか編   この動画大ブレークしているらしい Xで華舞台 星天座を検索

額のしわをバーコードがわりにしてとムリを云う座長 スタッフからも親しまれ慕われる