〇 破格の古典喜劇に真剣勝負で挑む
〇 古典喜劇をはる駒にペーストきかせた演出
☆第一部 芝居「大当たり稲荷札」
★ 配役 ★
津川鶫汀‥尾張屋ご寮はん
津川祀武憙‥手代の誠七
勝龍治‥信濃屋
晃永樹里杏‥お嬢様
晃大洋‥店の客
晃丈夕葵‥身重の女中
晃栄美杜甫‥丁稚
津山斗輝矢‥丁稚頭
晃大洋‥
ほか
【あらすじと所感】
日本で初めて喜劇を書いたと言われる曾我廼家五郎さんの作品のはる駒版です。
質屋 尾張屋の店先の場面
絶妙の間と口調で進める津川鶫汀座長
みごとな老け役(老婆)。信濃屋が持って来た結納金のやりとり。油屋さんとの縁談が内々に勧められていた。が、娘は不服。この娘、上本町きっての小町娘といわれた容姿。
この婆、相当カネに細かいごうつくばばぁ。カネ、カネ、カネの強突く張り。
このばあさんの守り神は正一位稲荷さま。ことあるごとに都合のいい祈りごと。
油屋の主というのは八十いくつ、そこへ十八の娘を嫁がせ、身代をものにしょうとの魂胆。
ところが、手代の清七からもっと凄い縁談を聞かされる。
じつは、お嬢様を見初めた若旦那がいて、千両、万両を用意しても添いたいと‥と持ちかける
婆さんは千両に目が眩み、手のひら返し、丁稚を呼出し、早速、信濃屋へ行かせて、油屋さんとの縁談を断らせる。
すべては、正一位稲荷さまのお計らいだとその都度、祈る婆さん。
客席からも合わせて拍手(かしわで)。
この婆さん かねて隠し持つた祥雲寺の富札
お稲荷さまへ願かけし、人に見つからないよう大切に火鉢の中へとしまい込む。
実は、手代とお嬢様は相愛の仲、縁談というのも、すべては手代が仕込んだ絵空事。
しかし、千両には託す望みがあった。手代が頼みにする当たれば千両の祥雲寺の富札。
それを、火鉢に隠そうとしたお嬢さん、婆さんとひと悶着。
清七とお嬢さんは、斯くなる上はと、コレしかないと、駆け落ちへ‥
場所はちょうど正一位稲荷のあたりにさしかかり‥
店先では
質ぐさを引き出しにきた客から当たり札ね番号を聞いて、びっくり仰天の婆さん。
鶴の三番の八百六十六番と知る。それじゃ、それじゃ‥
婆さん、急げや、急げ、祥雲寺‥
さて、さて、さて
正一位稲荷堂の場面
このあとは、正一位稲荷を祀る祥雲寺へと場面が代わり芝居は佳境へと流れ込む
いよいよお稲荷さまの登場で大団円へと。
ことの次第をこれ以上、書くとお稲荷さまの祟りがありますゆえ‥後は舞台を見てのお楽しみといたしましょう。
はる駒喜劇は今日も大爆笑。
流れるセリフの心地よさ
アット驚く大団円、どんでん返しの結末は
笑って、泣いて、泣いて、笑って‥はる駒喜劇。
これぞザ・大衆演劇 はる駒喜劇の醍醐味だ。
若き座長が伝統を四代引き継ぎ魅了する。見なきゃ損だよお客様。
★ 口上挨拶 津川鶫汀座長
・稲荷札の外題にふれ、松竹新喜劇の源流である五郎劇(曽我廼家五郎)として上演された作品であると語る。他に「幸助餅」も曽我廼家のものである。このように原作台本や先人の源流をしっかり捉え継承しようとの座長の熱い思いが伝わってくる。この「稲荷札」もオチが違う2パターンあるのです。と
イベントとゲスト出演者の紹介
私の独り言
* ちなみに、曽我廼家五郎は堺が生んだ喜劇王でペンネームは一堺漁人である。
浪花のチャップリンとも称された。
五郎劇から、十郎を交えて松竹家庭劇、そして今日の松竹新喜劇へと系譜は続いている。
大衆演劇で今も上演されている外題としては、「桐の木」「へちまの花」「嵐山の夕暮れ」など多数ある。
☆第二部 舞踊ショー
☆ラスト「ブンブンパーク」
【画像】
多才な両座長、四世代で演じる剣戟はる駒座の芝居は圧巻だ・紀州屋良五郎