紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 大衆演劇を万人の文化にリードする劇団 たつみ演劇BOX 朝日劇場 2020/01/14

 見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます 

 ゲスト  三河家諒

 

メンバー

座長  小泉たつみ

座長  小泉ダイヤ

辰巳小龍

小泉ライト

愛飢男

小泉龍之介

辰巳満月

辰巳花

辰巳あさみ

辰巳萌々

黒潮幸次郎

宝良典

のぼる會会長

辰巳龍子

▩ゲスト

三河家諒

咲良綺蝶二

 

 

 

※劇団の連名表にもとづく

 

特選狂言 「赤垣源蔵 徳利の別れ」(105)

・演出は三河家諒。

配役≫

骨のある芝居の醍醐味はたつみ演劇BOX

 

小泉たつみ‥塩山伊左衛門

咲良綺蝶二…市助

小泉ダイヤ‥赤垣源蔵

辰巳小龍‥塩山伊左衛門の妻、まき

辰巳満月‥脇坂淡路守の妹、靜枝

小泉ライト‥家来

愛飢男‥家来、三蔵

小泉龍之介‥家来

三河家諒‥塩山家 女中 お杉

黒潮幸次郎‥脇坂淡路守

ほか

 

あらすじ≫

 

【講談のストーリー 参考】

 『赤穂義士伝』のなかでも最もよく掛かる読物のひとつ。歌舞伎や講談では「赤垣」という名になっているが、実際は「赤埴(あかはに)」であったとのこと。

 

 元禄151214日、赤穂浪士の討入りを前にして、浪士の一人の赤垣源蔵は、兄の塩山伊左衛門をの屋敷に暇乞いに行くが、兄は留守であった。女中の竹には討入りのことは告げず、「さる西国の大名に召し抱えられることになった」とだけ言って、兄の羽織の前で別れの杯をする

 

 元禄151214日、赤穂義士の面々は昼間のうちに集まって、討入りの手筈を整えた後、西へ東へ散り散りになる。雪の降る中、浪士の一人である赤垣源蔵重賢は、播州龍野の城主、脇坂淡路守の家来になっている兄の塩山伊左衛門の屋敷にさりげなく別れを告げに訪れる。手にはごく粗末な貧乏徳利を携えている。しかし伊左衛門は所要のため留守である。屋敷には妻がいるが酒飲みの源蔵を嫌い、癪の病と偽って出て来ようとしない。代わって女中の竹が相手になる。源蔵は兄のために持ってきたはずの酒を飲むと言い、竹は呆れる。源蔵は竹にいつも兄が着ている羽織を持ってきて欲しいと言う。いつも兄が座っている場所にその羽織を吊るし、そこへ源蔵は酒を差し出す。源蔵は一人で、まるで兄を相手にしているように、父親や母親の思い出話を語る。不思議がる竹に、源蔵は今日、暇乞いに来た事を話す。西国のとある大名にお召し抱えになり、明朝江戸を出立すると言う。この屋敷を見るのもこれまでかと、雪の中、源蔵は去る。

 兄の伊左衛門が屋敷に戻ってきた。妻は留守中、源蔵が訪ねて来たことを伝え、竹が相手にしたと言う。竹は源蔵の様子を話す。源蔵が「さる西国の大名」に仕官をしたと聞いて、浅野様のことはどう思っているのかと伊左衛門は訝しがる。酒ばかり飲んでいるような源蔵であったが、決して侍の魂を忘れるような者ではないと見抜いていた。

 その夜、伊左衛門はどうにも寝付けない。その夜明け、赤穂浪士が吉良邸に討ち入りをし、見事吉良の首を取ったことを知らされる。昨日の源蔵の言葉を思い出し、その浪士の中に源蔵がいるに違いないと伊左衛門は確信する。赤穂浪士の中に源蔵がいるか、中間の者を仙台様の屋敷の前まで行かせる。屋敷の前は一目みようと物凄い人だかりである。「浅野の知り合いだ」と言って前へ出ると、そこに源蔵の姿はあった。皆には「恥ずかしからぬ働きをした」と伝えてくだされ、義姉には癪によく効くという薬を渡してくれと言い、さらにその方どもで分けてくれと5両の金を与え、また吉良を見つけた時に吹いた呼子の笛を渡した。「昨日お会いできなかったが残念だった」と兄上に伝えてくれ、こう言い残して、源蔵は赤穂浪士の列に戻った。

 伊左衛門の屋敷に戻った中間は、源蔵と話した子細を伝える。脇坂の殿様は源蔵が持ってきた徳利をみたいというので、伊左衛門は桐の箱に入れて献上する。「徳利の口よりそれと言わねども昔思えば涙こぼるる」。

 

赤穂義士銘々伝』より「赤垣源蔵 徳利の別れ」

 

たつみ演劇BOX 芝居のあらすじ

伊左衛門の屋敷 

 

靜枝が赤垣源蔵に嫁に迎えてくれと懇願する場面から〜

碁に興じる兄弟、碁になぞらえる討ち入りの謎、凄いぞ三河家諒演出。

数々の言葉のやりとりが仇討ちを暗示。

本当の心が聞きたいと兄。現下に否定し、偽る源蔵。

茶を運んでくる女中‥この場面が後の徳利の別れの伏線として重みをもつ

 

*ここからが通例舞台で演じる場面

 

三波春夫の「赤垣源蔵」が流れる‥

やっぱり、ここは大衆演劇風。

 

 塩山家の屋敷

女中のお杉(三河家諒)狂言まわし役

現れた妻(辰巳小龍)が源蔵をよろしく思わず会いたくないと執りなしをお杉に頼む。

その後、訪ねてきた赤垣源蔵。

お杉と源蔵の掛け合いが妙味。

なんにも言わずワシの股ぐらに手を入れよと源蔵。なんともいえないコミカルな掛け合い。

大衆演劇でなければできない演出。ここでの所作は舞台をみた人でないとわからないであろう。

品のいいエロ仕立。出てきたものは徳利というオチ。

 

・兄を思いやりながら酒杯をすすめる源蔵。持病のしゃくを口実に源蔵を避ける塩山伊左衛門の妻、お靜。

部屋にある兄の羽織を自分の手でかけ、それに語りかける源蔵。兄とおもい語り始めた。

全てが源蔵の言葉で語られる。とてもわかりやすい芝居になっている。

 

更に、士官の話があり、芸州広島にむかういきさつを女中のお杉に話す源蔵。

いつ会えるかと杉が聞けば、来年の新盆あたりかと応える源蔵。

 

 三河家諒の自然な演出に私は共感。

歌舞伎でも、講談でも、旧来の大衆演劇でもない一歩抜き出た芝居の世界がここにある。

* 芝居で人を呼べる劇団はそう多くない、その筆頭格がたつみ演劇BOXだ。

三河家諒演出の妙味を改めて知る。童女から娘、老婆、武士、あらゆる役柄を熟す卓抜した藝力最高峰の女優であり演出家だ。

 

*それにしても、両座長は大した役者だ。

源蔵を見送る、お杉。まるで二人が主役の赤垣源蔵だ。  ここまでで60分。

 

兄・塩山伊左衛門が帰宅する

妻と伊左衛門が語る。源蔵が好きになれない訳を夫に語る。

諫め諭す兄。兄は武士の魂を堅持した弟源蔵であることを淡々と述べる。

女中の杉が源蔵が来てからの次第の一部始終を立て板に水のように語り込む。

 

響きわたるは山鹿流儀の陣太鼓‥

 

塩山伊左衛門の屋敷に伝われる赤穂浪士討ち入りの知らせ。

市助への頼みゴトをする塩山伊左衛門。源蔵が浪士に加わっていることを願う兄。

 

 場面は雪つもる両国橋

市助が赤穂浪士の中に源蔵の姿がなかったとつぶやきながら歩くところで源蔵に出会い、

そして‥兄への伝言、塩山伊左衛門の妻、まきや家臣にも数々の品を授ける。

 

いよいよ、感動のラストだが、ここからは舞台にてどうぞ‥‥

 

★ 満員の観客、万雷の拍手。

 

口上挨拶   座長 小泉たつみ

・イベント等紹介

・前売り券&グッズ販売

舞踊ショー

 

・ラストショー   

シ・ボーボーNo.5

 

【画像】

大衆演劇を超え、作品を昇華させる、たつみ演劇BOX紀州屋良五郎