○ まいどおおきに〜映画メモでおます
○ リアルかつ凄惨な現代ヤクザ映画である
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- STORY
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広島県警呉原東署刑事二課の日岡秀一(松坂桃李)は、マル暴の刑事・大上章吾に代わり、広島の裏社会を治めていた。しかし、上林組組長の上林成浩(鈴木亮平)が刑務所から戻ったことをきっかけに、保たれていた秩序が乱れ始める。上林の存在と暴力団の抗争や警察組織の闇、さらにはマスコミのリークによって、日岡は追い詰められていく。
- キャスト
- スタッフ
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原作:柚月裕子
監督:白石和彌
企画・プロデュース:紀伊宗之
プロデューサー:天野和人、高橋大典
脚本:池上純哉
音楽:安川午朗
撮影:加藤航平
照明:川井稔
美術:今村力
録音:浦田和治 -
- 上映時間 139分
- ◯ 見たまま・感じたまま ◯
- 個性的な役者が凄まじいばかりの演技を繰り広げる現代ヤクザの映画としては決定打といえる。
- 時代は暴対法施行以前のようすを描く。
- すでに法の範囲内で生きる経済ヤクザへ転身しながらもかつての任侠の「血」の流れも感じさせる。
- 警察の取り調べはユーモラスであり、リアルである。「すまんですんだら 不動産屋はいらんのじゃ」
- すぐにわからなかったが見事なオチのつく恫喝だ。なんか、もめ事があったら使ってみたくなった。
- それにしても「広島弁」というのは男が使っても女が使っても迫力のある方言だ。押しがきく言葉だ。
- 広島県警を舞台にしているので全編、広島弁で展開する。
- 裏社会の闇、警察の闇、暴力団関係者の闇、出生出自の闇、家族関係の闇がバイオレンス的に描かれている。凄惨な場面があるが決して誇張ではなく、本来はもっと凄まじいだろうことが想像される。
- 警察が暴力団と手を組み市民の治安を守るという建前の元、悪事が横行する。これは、戦後の動乱期の神戸をはじめあちこちでも見られた光景だ。
- 映画に写し出される群像が面白い。現在もそうではあるが暴力団構成員の中には被差別部落、在日外国人、創価学会の人達が多いのも事実だ。(映画ではそのタブーまでは詳しく描いていないが、宗教団体や政治権力まで踏み込むと風当たりはきついがもっとおもしろいものになるだろう)
- 寄る辺なき人々が義兄弟のぬくもり《血》を求めあい、一つの共同体の中に自分の存在を見いだす。「血のつながりの中に」おしひしがれた自分たちが安住を得るというのは至極当然の帰結だ。
- 官も民も巨悪は巧妙に姿を隠し、凄まじい闘争の犠牲は下っ端が担う。この方程式は今もなんら変わらないことを教えてくれる映画である。
- 裏側がわからない奴がいっぱし、生きたと言えない世界があることを見せてくれる。貴方が刃を向けるとするならその向こうには誰がいるのか‥‥
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