〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます。
〇大河一心・若座長誕生で、益々、期待度UP
〇河内十人斬り 三部作 三日間目
・男の契り
・恨みの殴り込み
・金剛山鉄砲腹←本日はコレいよいよ結末
〇浪花劇団スケジュール
【メンバー】
近江新之介
浪花めだか
大河一心
浪花しめじ
浪花こころ
浪花小福
三枡家ゆたか
他
〇鹿島劇団 参加
二代目鹿島順一
雷鉄命
他
〇近江飛龍劇団より
近江春之介副座長
近江大輔
※
★ 鈴成り座スケジュール
8月 剣戟はる駒座
(配役)
- 大河一心‥弟・谷弥五郎
- 浪花めだか‥吾平の倅・はげ寅
- 近江新之介‥兄・城戸熊太郞
- 三枡家ゆたか‥冨田林警察署長・米田
- 浪花しめじ‥刑事
- 二代目鹿島順一‥炭焼きの吾平
- 雷鉄命‥刑事
- 浪花こころ‥刑事
- 近江春之介(友情出演)刑事
- 近江大輔(友情出演)刑事
★配役と芝居の背景は全てプロジェクターで紹介
【あらすじ】
※明治26年の物語 今でいう新聞読み
※河内弁がきっちり決まる
※小道具にもこだわりを見せる舞台づくり
●本懐遂げた熊太郞と弥五郎、官憲を逃れ金剛山に立て籠もり、備え持った村田銃を武器に応戦する。いよいよ大詰め最終段。
【解説余話】
熊太郎・弥五郎の最後
翌日26日に地元の富田林警察署に通報が入り、事件が発覚する。大阪府警本部からの応援も駆けつけ、逃亡したと思われる金剛山に非常線を張ったが、2人はなかなか捕まらず、食料を強奪されたとの報告が来るばかりだった。
しかし実際は、村人が熊太郎たちに協力し、食料を分け与えていたようである。
痺れを切らした捜査本部は、山狩りを開始したがイタチごっこが続いた。しかし事件から2週間後、金剛山中で二人の自殺死体が発見されたことで事件は解決した。
【芝居のあらすじ】
吾平(二代目鹿島順一)と吾平の倅(めだか)の掛け合いから始まる。倅が今、村で流行っいるという歌を歌う。
「男もつなら熊太郞、弥五郎 十人殺して名を残す」と。それ、あんまり歌ったらあかんと吾平に制止される。
そこへ、刑事がやって来て、 谷弥五郎と城戸熊太郞を探しているという。もし、見つけたら呼び子の笛を渡し、知らせるように頼む。
場面で何度も刑事が行き来する。
ふと、見ると舞台の配線で携帯の充電しているお客様がいて、捕まえるぞと大笑い。絶妙なタイミングであった。いかにも下町・西成らしいできごとや(昼の部)
そこへ、通りかかった熊太郞、弥五郎。
水もつき空腹でたまらん二人、なんとしても金剛山越えなあかん。
折しも、愛媛からやって来た炭焼きの吾平は熊太郞と弥五郎に助けられた知り合いだった。じりじり追い詰められゆくその中、助け船を出す。
空腹の二人にめしを振る舞う。それを平らげる二人。チャチャ入れるめだかのアドリブで場内爆笑。しだいに、しみじみ互いに思いやる二人。しんみりとする二人。
自然なユーモアが、観客を笑いの渦に巻き込む。そして‥やがて、来たる運命。
いつのまにか、刑事達が回りを取り囲んでいた。
場面は金剛山中
周りは、冨田林警察はじめ、周辺警察、消防団まで、繰り出し山狩りを始めていた。松明の数から見て到底助かると思えない。弱気になる、熊太郞に檄を飛ばす弥五郎。
間男の寅を殺さないと終わられん。それまで、命を捨てられん。この山、越え寅のいる宇治までいくんや。
手にした銃で熊太郞は弥五郎を撃つ。杯一つの義兄弟、ここで死に花さかそうと熱血の叫びをあげる熊太郞。
気合いで語り込む熊太郞。名コンビ座長と若座長の大河一心。
義に生き、義理に生き、男心は男が知る。
あの世の道は一人じゃない、ひとりではいかせはしないと銃で自害の熊太郞。
連続三日に亘るこの芝居、余韻と感動の中、幕となる。
スペシャルサンクス!浪花劇団。
【河内音頭の新聞よみ】
大阪の片田舎で起こったこの惨殺事件は、女と金と仁義と様々な要因が絡んだ事件として、多くの新聞が取り上げ、話題をさらった。事件の起こった年に、芝居や小説になった。
そして、富田林署の署長お抱えの人力車夫の初代岩井梅吉(本名・内田梅吉)が、捜査情報を元に趣味であった河内音頭に歌詞をつけようと思ったが梅吉は文字を書けなかった。
そこで友達である松本吉三郎(現存する河内音頭の会である岩井会6代目・岩井梅吉の父親、現在は9代目)が河内音頭の平節に歌詞をつけた。
そして事件が起きて1ヶ月後の6月に、道頓堀の五座(朝日座、難波座、中座、弁天座、角座の5つ)の中のひとつである中座で『河内音頭恨白鞘』(かわちおんどうらみのしらさや)を公演したところ、たちまち45日間も続く大ヒットとなったのである。
この頃歌われていた音頭は古い題目、すなわち義士ものや、任侠ものが多く歌われていた。そして岩井梅吉が歌った『河内十人斬り』は、実際最近起きた出来事を歌っていて、当時の人からしたら新しいものだったのである。
このような実際に最近起きた出来事を音頭にすることは「新聞(しんもん)読み」と呼ばれる。当時は義務教育も普及しておらず、大部分の民衆は文字を書くことはおろか、新聞も読むことが出来なかった。そこで多くの民衆は、この事件の有様を河内音頭で知ることが出来たのである。
つまりこの河内音頭が、「読むことを売る」、読み売り瓦版のような役割を果たした。
「男持つなら熊太郎弥五郎、十人殺して名を残す」と河内音頭に歌われ、この演目はヒットして浪曲にも残り現代まで伝わり、作家の町田康の小説『告白』の題材にもなった。
*厚みのある泣き笑いの芝居は見事な浪花劇団。
【口上挨拶】(近江新之介座長)
・独特の節回しの挨拶。
・分かりやすく河内十人斬りの経緯と真実を解説する。
・イベント、演目の紹介。
・前売り券&グッズ販売。
(近江飛龍座長が後ろを歩く)
☆舞踊ショー
■画像■
・ラストショー「創作舞踊〜大蛇〜」
度肝を抜く圧巻のラストショー
とても写真では伝わるまい。光線ビーム・照明・大音量・そして激しい動き神楽団伝統の妙技が舞台狭しと。
今回は、若座長が中に入り演じますと願い出た。
肉弾戦の大蛇の舞い。若き後継が必死に受け継いでくれていることがうれしくて、終演後、思わず涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにする新之介座長がいた。
座長の若き日、淡路の神楽団に入り修行したあの日の事が頭をよぎるのだろうか……
■ラストショー画像■
土の香りがする嫌味のない座長、楽しませてなんぼに徹する近江新之介・紀州屋良五郎
【資料】
<産経新聞・河内幻想紀行>凄惨、内臓引き出し顔の皮剥ぐ…「河内十人斬り」なぜ起きたのか
https://www.sankei.com/article/20130720-GCPDFSGBXFN67GX4MY26ZXMYY4/
〇 山崎健二さんのBlog