○ まいどおおきに〜映画メモでおます
- STORY
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1971年、ニューヨークに住むフォトジャーナリストのユージン・スミス(ジョニー・デップ)は、過去の栄光にすがり酒に溺れる日々を送っていた。そんな折、日本のカメラマンとその通訳を務めるアイリーン(美波)が彼のスタジオを訪れる。アイリーンは日本の大企業チッソが工業排水を垂れ流した結果人々が病に倒れていると語り、ユージンに病気で苦しむ彼らの取材をしてほしいと訴える。
- キャスト
- スタッフ
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監督:アンドリュー・レヴィタス
脚本:デヴィッド・ケスラー、ステファン・ドイタース、アンドリュー・レヴィタス、ジェイソン・フォーマン
原案:W・ユージン・スミス
原案・著:アイリーン・M・スミス
撮影:ブノワ・ドゥローム
美術:トム・フォーデン
編集:ネイサン・ヌーゲント
衣装:モミルカ・バイロヴィッチ
音楽:坂本龍一
音楽監修:バド・カー
キャスティング:奈良橋陽子
製作:サム・サルカール、ビル・ジョンソン、ガブリエル・ターナ、ケヴァン・ヴァン・トンプソン、デヴィッド・K・ケスラー、ザック・エイヴァリー、アンドリュー・レヴィタス、ジョニー・デップ - 上映時間
- 115分
- https://www.cinematoday.jp/page/A0008047?utm_term=N0126144&utm_source=yahoo&utm_medium=cd&utm_campaign=rel
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○ 見たまま、感じたまま ○
かつて読んだ石牟礼道子さんの「苦海浄土」とユージンスミスの写真で「水俣」の事を学び、痛烈な思いを刻んだ。映画でたどって見て改めて、怒りと人間の業とあるべき社会とはを考え号泣することになった。素晴らしい映画である。
この映画は報道写真家ユージン・スミスとその妻アイリーンの命を懸けた闘争を描いた史実に基づく物語である。史実であるがフィクションの部分はある。それは、水俣はじめ多くの実在する公害が進行しており多数の被害者に配慮したものと思いたい。ドキュメンタリーだとたぶん
大勢の人の見る機会とはならないかもしれない。
鋭く時代・社会に切り込む映画だが、心地よいジャズ、そして酒に浸る日々を送る主人公、ユージン・スミス。
これからにどんなドラマの展開が待ち受けているかすら感じさせないような映画のはじまり。ただただ、ジャズが気分をかきたててくれる。
のちに妻となるアイリーン・スミスの献身的なサポートで熊本・水俣に移住までして人生最後の報道写真を撮り続ける彼は幾枚もの衝撃的な写真をライフ誌を通して世界に発信する。
彼の被写体は日本チッソが垂れ流す有機水銀を含む工場廃液が原因でくるしむ水俣病の患者たちだ。彼らとともに、生活する中で顔まで写させてもらえるような人間関係を築く。これがまさに報道の原点なのである。薄っぺらな日本の報道関係者は学ぶべきだ。
はじめは跳びはね、のたうつ姿・行動から神のたたりと忌み嫌われた患者たち。原因が工場排水に含まれるメチル水銀化合物であることがわかるまで20余年という長い時間を要した。さらに、それが国の不策と企業責任にあることを認めさせるまでさらに多くの戦いがあった。
産業発展期、高度成長の陰で吹き出す公害による問題。水俣の問題を人々が知ることになったのは、アメリカ人の報道写真家がとった水俣病の少女の写真『入浴する智子』だった。
エンドロールで紹介される現在もなお公害に苦しむ国国と人々。
改めて、今、この映画が上映される大きな意味を感じる。勿論、そのなかに未だに水俣で苦しみ未解決のままであることに深い思いを抱かざるをえない。それはロケ地が熊本県の水俣でなかったことが印象に残る。
けっして、重いテーマの映画であるが難しい映画ではない。夫婦の情愛と異国、日本で熊本の人達に受け入れられていくあったかーい交流は気持ちを和ませる。
追記、今、世界で投与されているCOVID-19ワクチンにも類推してみた。
国内でも1000人を超える接種後の死者、心機能・脳機能の重篤な副反応で入院中の方々。ワクチン接種との因果関係すら調べもせず正確な情報をながさないまま政争の道具にするこの国の政治。正面からこの課題に取り組まなかった総裁選挙と政治家達にも改めて監視の目を向けないといけないと思った。けっして第二の薬害を起こしてはならないからだ。