紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『沈黙の艦隊』を見た

〇 フィクションながらどこまで描くかたのしみ
 

 

 

〇 予告編

 

 

 

STORY

海上自衛隊の潜水艦がアメリカ軍の原潜と衝突し、艦長・海江田四郎ら全乗員76名が死亡したと報じられる。だが乗員は生存しており、事故は彼らを日米極秘開発の原潜シーバットに乗務させるための偽装工作だった。シーバット艦長に任命された海江田は、シーバットに核ミサイルを搭載し、潜航中に許可なくアメリカ艦隊の指揮下から離脱して姿を消す。アメリカがシーバット撃沈を決める中、海自のディーゼル艦たつなみの艦長・深町洋(玉木宏)はアメリカより先にシーバットを捕獲しようと動く。

 

キャスト

大沢たかお玉木宏上戸彩ユースケ・サンタマリア中村倫也中村蒼松岡広大、前原滉、水川あさみ、岡本多緒、手塚とおる、酒向芳、笹野高史、アレクス・ポーノヴィッチ、リック・アムスバリー、橋爪功夏川結衣江口洋介

 

スタッフ

原作:かわぐちかいじ
監督:吉野耕平
脚本:高井光
音楽:池頼広
主題歌:Ado
楽曲提供:B’z


プロデューサー:戸石紀子、松橋真三、大沢たかお、千田幸子、浦部宣滋
ラインプロデューサー:濱崎林太郎、眞保利基
撮影:小宮山充
美術:小澤秀高
照明:加藤あやこ
録音:林栄良
編集:今井剛
VFXスーパーバイザー:西田裕
CGスーパーバイザー:宗方純二
スーパーヴァイジングサウンドエディター:勝俣まさとし
リレコーディングミキサー:古谷俊幸
装飾:秋田谷宣博
衣装:渡辺文乃
ヘアメイク:本田真理子
スクリプター:増子さおり、尾和茜
監督補:中村哲平
助監督:蔵方政俊、岸塚祐季
制作担当:鳥越道昭、阿部史嗣

 

上映時間

113

 

〇 わたしの見たまま、そのまま書いてみた 〇

 

原作はまったく読んでいないがストーリー展開のうまさと着想に共感と好感をもった。

 

防衛省協力で実艦がつかわれ、精巧な特撮と相まってリアルな戦場を演出している。

なかなか見応えがある。そして、緻密な軍事作戦がモーツアルト交響曲にそって芸術的に進む。

 

まず、見ていて、改めて気づいたいたのは二つの着想だ。ひとつは、防衛に於いて「核」の存在が極めて大きいのだという認識だ。もう一つは日本は独立国家ではないという当たり前の現実を直視せよという点である。

 

我が国がとる「非核三原則」は云うまでもなくその基礎は憲法にある。さらに、憲法の改正を一番阻んでいる勢力は日本の左翼などではない。

 

宗主国ともいうべき米国だ。日本の軍事力強化はあくまで米国の許容範囲内でなければならないのだ。

 

むしろ、現在の岸田政権がとる防衛費増額施策は日本の防衛の為めではなく、米国の軍需産業を下支えするためでしかない。

 

である以上、米国をも脅かす核兵器を持つことは断じて禁じられる。たとえ、日本に核が持ち込まれたとしてもそれは、米国の防衛の為めであり日米安全保障条約は片務的なものなのである。   

 

したがって、ほんとうの防衛議論は日本が独立を取り戻さないかぎりうつろな議論なのだ。

 

それらの課題を乗り越え、真の独立国家として自立するにはと考える時にこの映画の着想は空想的であるが最も現実的手段だ。断っておくがテロを肯定する考えは毛頭ない。と

 

核兵器を搭載した潜水艦を米軍の中に潜入し奪取する。このテロにより「戦闘国家やまと」の独立を宣言し、「やまと」が「日本」と軍事同盟を結ぶことで「核兵器」による国防を行う。

 

実に、面白い着想だ。全ての可能性を取り去って唯一残る方法だろう。

 

息詰まるシーンが幾たびも過ぎて気がつけばあっという間に2時間が経過した。静かに奏でられるモーツアルト交響曲40番、41番。それに沿って一つ一つの作戦が的確に進められていく。軍事作戦でありながら芸術的なテロ作戦なのだ。

 

ラストに大写しになる指揮官・海江田艦長を演じる大沢たかおの顔だ。その顔には誇りと尊厳が満ちていた。

 

こんなに、続編が見たくなる映画は又とない。