紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『おまえの罪を自白しろ』を見た

〇 真保裕一のミステリー小説を映画化した作品である。

〇 概要 〇

STORY

政治家一族の次男・宇田晄司(中島健人)は起業に失敗し、やむなく政治スキャンダルの真っただ中にいる国会議員の父・清治郎(堤真一)の秘書として働く不本意な日々を過ごしていた。ある日、清治郎の孫が何者かに誘拐される。犯人は清治郎に身代金ではなく、「明日の夕方5時までに記者会見を開き、お前の罪を自白しろ」と要求。清治郎には決して明かすことができない、国家を揺るがす罪があった。口を閉ざす父と対立する晄司は、タイムリミットまでに真相を暴き、めいの命を救おうと奔走する。

キャスト

中島健人堤真一池田エライザ、山崎育三郎、中島歩、美波、浅利陽介、三浦誠己、矢柴俊博柏原収史中村歌昇、佐藤恋和、アキラ100%山崎一尾美としのり池田成志橋本じゅん春海四方小林勝也、菅原大吉、升毅平泉成尾野真千子金田明夫角野卓造

スタッフ

監督:水田伸生
脚本:久松真一
音楽:平野義久
原作:真保裕一
主題歌:B’z
エグゼクティブプロデューサー:吉田繁暁
プロデューサー:石塚慶生、清水啓太郎、池端俊二、阿部雅人
撮影:中山光一
美術:仲前智治、磯見俊裕
照明:藤井勇
録音:鶴巻仁
編集:和田剛
衣装:石橋瑞枝
ヘアメイク:秋山直美
装飾:柳澤武
VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
音響効果:松浦大樹
スクリプター:岩井茂美
キャスティングディレクター:川村恵
キャスティング:梅本竜矢
音楽プロデューサー:高石真美
助監督:蔵方政俊、相沢淳
製作担当:田中智明、米田伸夫
宣伝プロデューサー:小林伸行
協力プロデューサー:加藤賢治
ラインプロデューサー:山田彰久

上映時間 101分
〇予告編〇

 

〇 私の見たままを、感じるままに 〇 【ネタバレあり】

 

大仕掛けのテーマであるが犯行動機は単純であった。一国の総理を揺るがすスキャンダルに発展するかもしれない事件だったが孫かわいさのためすべてを告白してシャンシャンおしまいという流れにはたまげた。

 

利権に絡む土地が国の計画変更により工場建設の夢を絶たれた一家がいた。多大な投資と借財がのこり自己破産。このもめ事から父が殺害され河川敷に埋められる。ところが、降って湧いたように再開発の話が持ち上がったことで殺害がバレるのを畏れた犯人が政治家の孫娘を狙い、政治家の過去の不正を告白させ計画を中止させようとするというストーリーだ。

 

この映画、各所に演出の荒さが目につく、娘が連れ去られたとき自転車ごと転倒した娘の母はしばし、呆然とする。

だが、幾日も経過しているのに衣類には血痕がついたままであったり。監禁されているだけの孫娘なのに部屋は娘の写真がいっぱいに掲げられて、亡くなったかのような印象を受ける場面があったりと通常ではありようのない不自然さが目につく。

 

また、自白の強要にすべてをかなぐり捨て孫娘のため政治生命を捨てるという政治家の大胆な行動、それが政権の転覆に結びつくほどのことであったとしてもホームドラマの親父の所作のように進行する。

 

いくら、ドラマとはいえ、無理がありすぎだ。

サスペンスを標榜するならもっと鋭い政治センスが欲しいところだ。

 

ましてや、辞任会見に一族が登場し息子に世襲し託すというシーンまである。世襲批判が巻き起こる昨今の状況でのこのシーン、ありようのない姿。多少なりとも政界事情を踏まえて貰いたいもんだ。

 

これじゃ見る人の政治不信はますますつのるというもの。三流のテレビワイドショー並みじゃないか。いいたくはないが愚作のそしりを免れない。とても、残念な出来映えの恥ずかしい映画であった。

 

サスペンスとしても駄作中の駄作と云うべき作品だ。残念な作品を見て時間を浪費してしまった。といっても、責任は見た私にある。命は大事に使わないといけない。