紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『土を喰らう12カ月』を見た

〇 食は大切だ。おもしろそうだと思いさっそく見た。

 

 

 

 

🔻予告編

 

STORY

作家のツトム(沢田研二)は、長野の山荘で一人の暮らしを楽しんでいた。彼は山で採れる実やきのこを集め、畑で育てた野菜を自ら料理して味わい、四季折々の自然を感じながら原稿を執筆。担当編集者で恋人の真知子(松たか子)がときどき東京から訪れ、二人で旬の食材を料理して食べる時間は格別だったが、その一方でツトムは13年前に亡くした妻の遺骨を墓に納められずにいた。

キャスト

沢田研二松たか子西田尚美尾美としのり瀧川鯉八檀ふみ火野正平奈良岡朋子

スタッフ

監督・脚本:中江裕司
原案:水上勉
料理:土井善晴
音楽:大友良英
製作:鳥羽乾二郎、藤本鈴子、安部順一、小松佳浩
エグゼクティブプロデューサー:福家康孝、奥村景二、松下寿昭、堀内誠人、宇田川寧
プロデューサー:吉田憲一、押田興将、新井真理子
助監督:高野佳子
撮影:松根広隆
照明:金子康博、角田禎造
録音:渡辺丈彦
整音:吉田憲義
音響効果:柴崎憲治
美術:小坂健太郎
装飾:大谷直樹
衣裳デザイン:小川久美子
ヘアメイク:有路涼子
編集:宮島竜治
制作担当:柳橋啓子
音楽プロデューサー:佐々木次彦
スチール:瀧川寛
メイキング:船元愛美
ポスター題字:山内武志

上映時間
111分

 

〇 わたしはこのように見た 〇

 

まず、ジュリーファンの皆さま必見の映画である事をお伝えしたい。

枯れた沢田研二の魅力がぎっしり詰まった映画だとしておこう。

 

松たか子の役どころが作家に恋する編集者という設定だがつくるひとと振る舞われる女性といった感じで

なんとなくユーモラスなのも予想外でおもしろかった。

 

それに、和食好きの方は必見である。時節ごとに、土の香りのする地産の野菜がふんだんに料理の主役として登場する。

 

ベースになっているのは水上勉の自伝である。いささか暗いし、陰気で、そして重い。だが、生き生きした

土もの野菜と美しい信州・長野の自然が心を清らかにさせてくれ腹を満たしてくれる。

 

食べるシーンが山ほど出てくるので空腹で見るのは少し酷かもしれない。

良質の料理番組を長尺で見た満腹感がある。

 

見るほどに、いかに、今の私たちの食生活が日本人古来の食生活から離れ、ジャンクフードやアメリカンスタイルに変わっていったかがわかる。

 

この映画を見たら、どんな食糧不足の時代が来ても日本人なら自然とともに土の香りの中で朽ち果てて枯れるように安らかな生を楽しむことができる事を学ぶだろう。

 

映画を見て、歌人西行の辞世の句「願わくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ」と吉野の西行庵が浮かんだ。

 

ありがとう、さよなら、さよなら良五郎