〇 待っていた映画、『首』を見た。
〇 予告編 〇
STORY
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天下統一を目指す織田信長(加瀬亮)が毛利軍、武田軍、上杉軍、さらには京都の寺社勢力と激戦を展開する中、彼の家臣である荒木村重(遠藤憲一)が反乱を起こして姿を消す。信長は明智光秀(西島秀俊)、羽柴秀吉(ビートたけし)ら家臣に村重の捜索を命じるが、天下取りをひそかに狙う秀吉は、弟の羽柴秀長(大森南朋)、黒田官兵衛(浅野忠信)らと策を練る。
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キャスト
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ビートたけし、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、木村祐一、遠藤憲一、勝村政信、寺島進、桐谷健太、浅野忠信、大森南朋、六平直政、大竹まこと、津田寛治、荒川良々、寛一郎、副島淳、小林薫、岸部一徳
- スタッフ
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原作・監督・脚本・編集:北野武
製作:夏野剛
プロデューサー:福島聡司
ラインプロデューサー:宿崎恵造
撮影監督:浜田毅
照明:高屋齋
美術:瀬下幸治
音楽:岩代太郎
サウンドデザイナー:柴崎憲治
衣裳デザイナー:黒澤和子
録音:高野泰雄
編集:太田義則
VFXスーパーバイザー:小坂一順
助監督:足立公良
特殊メイク・特殊造形スーパーバイザー:江川悦子
装飾:島村篤史
殺陣師:二家本辰己
スクリプター:吉田久美子
キャスティング:椛澤節子
製作担当:根津文紀、村松大輔
能楽監修:観世清和 - 上映時間
- 131分
〇 見たままを、感じるままに 〇
タイトル題字『首』がズバッと胴から落ちるのが全編を暗示している。
最初から見る人の覚悟が問われる映画だ。
残忍とかグロテスクとかという表現がふさわしくない。
首が転がる数々のシーンは確かに、気分のいいものではないが見慣れてくるとそれも受け入れてしまえるから不思議だ。
あの時代(戦国の世)で権力奪取のためには『証』が必要だった。
敵将の象徴『首』を取ったものが時代の覇者となる。
まさに、『生首』をとることが権力奪取の必須要件だったのだ。
そこに眼をつけ、徹底的にこだわればこの映画に行き着いたという感がする。
さすが、北野武監督の作品だ。すべてをそぎ落とし、快楽と欲、実と虚、欲と得、才知と打算を突き抜けて描く素の人間。そこに、脈打つ狂の血飛沫は凄まじい。
たとえ、短命でもいい、こんなに激情のまま本性で生きることができればとふと思えば、それはもう『狂』の世界の入り口なのだ。
信長の首をとる光秀、光秀の首をとる秀吉…果てしなく続く。しかし、それへと向かう流れの中には飽くことなき人間の欲、欲、欲…そして生への執着。えぐり出される人間の本性。
首ばかりに眼を奪われてはいけない。描かれているのは『人間』そのものなのだ。
激しい戦国の世だからこそ人間の本性が露わになるときがある。
ひょっとして、今の日本も戦国の世に突入したのか…次々と露わになる隠れしものども。
『首』にしがみつく者が居座り、先を畏れ首を差し出すものまであらわれる。
醜い本性丸出しの劇が繰り広げられている永田町にもまた凄まじい『首』の物語がはじまった。
映画もおもしろいが、今の世の中もおもしろくなった。そんなことが頭をかすめる。
時間が止まる映画、余韻はあとでやってくる。大変な時代に映える映画だ。
この映画こそ、男も女もしがみついて見たくなる映画だ。
それがこの映画だ。