紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 余韻のある重厚な芝居はさすが 劇団美鳳 鈴成り座 2021/06/07

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます。

〇鈴成り座初乗り 

〇関西初進出 東京大衆演劇協会所属

 

鈴成り座

 

7 鳳凰

8 劇団丞弥

 

劇団美鳳

7  紀の国ぶらくり劇場

 

〇脱・コロナは舞台を見ることにつきる。付き合いかたがわからん細菌といい加減に離れないと生きる喜びがすり減ってしまうじゃないか。コロナ君、私は君と戦争する気はない。私は自分を守る力ぐらい親からもらった身体に蓄えている。だから少し休もう、コロナ君、君も少し離れて芝居でも見ようじゃないか  明日のために。いつまでも地球にいないんだからね

 

メンバー

座長  紫鳳友也

副座長  一城悟

花形  紫城輝也

一城静香

颯馬一気

颯馬春

颯馬一斗

颯馬零

一城春香

 

 

【劇団スケジュール】

7 紀の国ぶらくり劇場

 

 

芝居「笹川の花会」

【おもな配役】

笹川繁蔵‥紫鳳友也

飯岡助五郎‥?

飯岡一家代貸・洲崎政吉‥一城悟

政吉女房‥颯馬零

国定忠治‥澤村新之介

ほか

 

(あらすじ)

 

飯岡一家に、笹川一家からの客人がやってきた

笹川の繁蔵が飢饉で困ってる百姓のために親分衆を集めて花会を開くと告げる

 

新興勢力の笹川と対立してる飯岡助五郎は、俺は出席しねえと言い、洲崎政吉を名代で行かせる

 

助五郎から、あんな野郎にはこれで十分だ、と政吉に手渡されたのはたったの五両だった

 

これでは、恥をかくと悩む政吉が悩む

 

(芝居の切れはさすがだ)

 

家に帰ると女房が、政吉の様子を見て、心配して事情を尋ねる‥

 

(苦海に沈める話を切り出すのが政吉  ここは女房の采配の方が余韻があると‥)

 

立派な女がいるもので、政吉を男にするため、女房は廓に身を沈めて、二十両の金をつくる

 

花会の当日、二十五両の金を持ち、政吉は笹川一家へと向かうのであった

 

挨拶をすまし、笹川子分に祝儀を渡すと、それを見た笹川が、これは俺がと懐に入れる

なんだ二十五両の大金を目にしたとたん自分の懐に入れちまった、なんと笹川は小せえ野郎だと思うのは浅はかだった

 

政吉が、奥の間に通されてみると各親分衆の祝儀の額が張り出してあり、それを見て愕然とする

「金250両 大前田英五郎」

「金150両 国定忠治

「金150両 清水次郎長

 

他にも名だたる親分衆の名前が連なっており、祝儀の額も桁が違っている

このままでは大恥をかいてしまうと、政吉は頭をかかえる

 

そこに現れたのが国定忠治、政吉を咎めるも笹川繁蔵がとりなし、大きな器量をみせるという話だ。

 

【どうやら原題は講談らしい】

 

【講談解説】

 『天保水滸伝』というと現在では浪曲のイメージが強いが元は講談で、宝井琴凌という講談師が房総を旅した際に聴いた、侠客同士の抗争を読物として仕立てたものと言われている。

 

 飯岡の親分、助五郎には洲崎の政吉という子分がいる。「花会」という大きな賭場が笹川で開かれるが、風邪をひいた助五郎に代わり政吉が行くことになる。政吉は笹川繁蔵に渡す「義理」として、親分・助五郎からわずか5両託され出向く

 

【講談あらすじ】

 朝、笹川繁蔵から飯岡助五郎の元に、花会を笹川の十一屋で開くとの知らせが届く。花会とは親分衆ばかりが集まって開く賭場のことである。助五郎は風邪をひいて寝込んでいるので、洲崎の政吉に花会に行くよう言いつける。政吉は助五郎の跡目を継ぐ者であり一番信頼のできる子分である。政吉は笹川繁蔵に渡す「義理」として、親分・助五郎から5両、その子分一同から3両を預かった。2人の子分を連れて5里離れた笹川まで赴き、花会が開かれる宿屋・十一屋へ着く。

 

 宿屋に入り、「義理」を繁蔵の子分に渡そうとするが、傍らにいた繁蔵はそれを自分の懐にしまい込んでしまう。横から金を頂戴してしまうようなしみったれた野郎だと政吉は鼻で笑う。

 

花会の開かれる二階の広間に入ると政吉は驚いた。見渡すと、どこの誰だかは知らないが一目見ただけでこれは大物だと分かる貫禄のある親分衆がズラリと居並んでおり、すっかり威圧されてしまった。政吉はそれほどの貫禄は無いし、見知った親分も見つからない。どこへ座ればいいものかと思っていると、「こっちへ来い」と声がかかった。

 

常陸国の親分、皆治であった。皆治は助五郎の親分である銚子の五郎蔵と兄弟分の仲である。皆治は参席している親分たちに政吉のことを紹介する。ひとり、皆治の向かい側に胸毛の見える眉毛の太い、いかつい顔をした男が腕を組んで政吉をじっと睨んでいる。この男は政吉の親分の助五郎のことを「スケ」と呼ぶ。頭にきた政吉。

 

その男は広間に居並ぶ、遠方からも駆け付けた大親分の歴々の名を言い立てる。さらに飯岡と笹川がすぐ近くなのにも関わらず、這ってでもなぜ来なかったと助五郎をなじる。この男こそ上州の大親分、国定忠治であった。

 

 鴨居にはどこどこの親分からいくらいくらの「義理」を貰ったとのビラが貼って並べてある。そこには親分だったら50両から60両、身内一同だったら25両というような額が並ぶ。ところが助五郎が渡した「義理」は5両でその身内一同からは3両。これでは助五郎は大恥をかく。

 

ところが繁蔵の子分が張った、助五郎の義理のビラには「助五郎50両、身内一同30両」と書いてある。政吉は自分が渡した義理を、繁蔵が懐へしまい込んだ理由が分かった。助五郎が万座の中で恥をかかないようにと繁蔵は金を差し換えてくれたのだ。政吉は繁蔵をありがたく思う。このビラを見て国定忠治も機嫌を直したようで、にっこり笑って盃を渡す。

 政吉は繁蔵に深々と頭を下げて礼を言い、他に回るところがあるからと先に花会の場を去る。飯岡に戻った政吉は、助五郎に花会の模様を話す。

 

大変に盛んで、遠くからも各地の大親分が集まっていた。助五郎親分も明日、顔を出したらいかがでしょうかと言う。繁蔵を妬ましく思う助五郎。政吉はひとり酒を手酌で飲みながら繁蔵になにか恩返しをしなければとしみじみ思う‥

 

☆★ 余韻ある美事な芝居に大拍手だ  幾度もみた芝居だが最も秀逸だ。

 

男は腕も大事だ、義理も大事だが黙って腹で勝負をするんだぞ‥‥

 

ああ、芝居は台詞と間と余韻だな80分酔わせる芝居を観た

 

 

口上挨拶   座長 紫鳳友也

・前売り券&グッズ販売

・演目スケジュールの紹介

 

舞踊ショー  

 

ラスト  べらんめえ女笠

 

【画像】

メリハリの効いた芝居と舞踊 ぜひとも再びの関西公演を・紀州屋良五郎