紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『シャイロックの子供たち』を見た 大衆演劇的見方

池井戸潤の最新話題作だ。ヒットするだろう。

〇 予告編 〇

 

〇相関図〇

シャイロックの子供たち』キャスト相関図と結末(少し)ネタバレ

〇 概要 〇

STORY

ある日、東京第一銀行の小さな支店で、現金が紛失する事件が起きる。ベテランお客様係の西木(阿部サダヲ)は、同じ支店に勤める愛理(上戸彩)や田端(玉森裕太)と協力して事件の真相を探る。この支店には、出世コースから外れた支店長の九条(柳葉敏郎)、超パワハラ副支店長・古川(杉本哲太)、嫌われ者の本店検査部の黒田(佐々木蔵之介)らがいた。

キャスト

阿部サダヲ上戸彩玉森裕太柳葉敏郎杉本哲太佐藤隆太柄本明橋爪功佐々木蔵之介

スタッフ

原作:池井戸潤
監督:本木克英
脚本:ツバキミチオ
音楽:安川午朗

上映時間
122分
 

〇 わたしの見たまま、かんじるまま 〇

 

快作である。池井戸潤原作、木本克英監督作品は期待を裏切らなかった。

銀行の仕組み、資金の流れ、出世社会の厳しさ、資金のからくりなど随所にたのしめるところ満載である。

 

池井戸潤原作に共通して見られる特徴として、庶民性があげられる。市井の人々の人生苦がちりばめられ親近感がわいてくる。

 

行員のいくつかの不祥事が描かれているがそれにしてはシステムの不備がいつの時代のものかと疑わせる場面がある。きわめてアナログなのである。消えた100万円をめぐって、ゴミ袋まで点検したり、個人ロッカーまで家捜しする。最高水準の監視カメラやセキュリティシステムは対応していないのかと唖然とした。まあ、そこは、ドラマだと割り切ればいいのだが、おもいきって落差をたのしむことにした。

 

行員や管理職の裏面の生活感ただよう人間模様がとてもおもしろい。「犯罪」「出世」「名誉欲」「色・恋」は隣り合わせだ。シェイクスピアが『ヴェニスの商人』で描いた「ユダヤ人の金貸し」シャイロックとその時代に見られる人々達と変わらない人間の裏面を見事に描いた作品として楽しめる。『やられたら倍返し』これこそ、虐げられたもの達の巻き返しの猫パンチだ。

 

補足として、興味がひくのは主演の阿部サダヲの上手さと上戸綾のかわいさだ。

見入っていると上戸綾と見海堂真之介(見海堂劇団総座長)が酷似していることを発見した。

 

☆ 見海堂真之介は3月・新世界・浪速クラブでの公演である。確かめたい方はぜひ劇場へ