紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 芝居『三婆』長谷川劇団 梅田呉服座 2023/02/05

☆ まいどおおきに〜観劇メモでおます

 

有吉佐和子の文藝大作を舞台に。

     本妻vs小姑vs妾のバトルと「老境」を女優陣が演じる

☆ 京花、かな、桜。3人の女優魂が舞台で炸裂。見事に個性的な芝居で魅了

☆ 着実に実力を蓄えてきた劇団。陣容を整え大衆演劇の中心地大阪のど真ん中で勝負する劇団に駆け上がった。

☆ 先月の都若丸を超える大入りを積む。

☆ 今月、京未来、長谷川一馬の若座長襲名も成功刻む。

 

梅田呉服座スケジュール

3  桐龍座恋川劇団

4  桐龍座恋川劇団

5  たつみ演劇BOX

6  劇団美山

 

長谷川劇団スケジュール

3 池田呉服座

 

メンバー

総座長  愛京花

座長  長谷川武弥

副座長  長谷川乱之助

花形 長谷川一馬

花形 京未来

長谷川舞

京詩音

長谷川愁

 

特別ゲスト

藤乃かな

 

◉マンスリーゲスト出演

長谷川桜

 

芝居のみの夜の部・公演 3時間

 

★ 芝居『三婆』

 

■ 配役  

 

武市浩蔵の正妻 武市松子   愛京花  

武市浩蔵の妹  武市タキ 長谷川桜

武市浩蔵の妾  富田駒代    藤乃かな

武市産業専務  瀬戸重助   長谷川武弥

本宅 女中   花子   京未来

八百屋           まき  長谷川舞

武市産業社員     田所    長谷川一馬

サラリーマン    山田五郎  長谷川乱之助

山田五郎の娘    京詩音

福祉事務所員     山川  

衆議院立候補者   小林徳二郎   長谷川愁

花子の息子         正吉  タイガ (子役

ほか

 

★わたしの所感★

 

この芝居を舞台に掛けたことに賛意と讃辞を送る。

 

芝居だけでこれだけ沢山のお客様を集める。やはり大衆演劇の本道はこれが真骨頂。芝居で唸らせる劇団が生き残ると改めて思う。

 

3時間の芝居だ。しかも夜の部、だが梅田呉服座はほぼ満席。

 

先月の若丸を遥かに越える集客数。私はうれしくてたまらない。

 

歌舞伎でも新喜劇でもない、大衆演劇の芝居だけを見にお客様が集まる。

 

待ち望んでいた公演の見事な有様だ。しかも、主演は全て女優さん。

 

残念だが‥

 

老境の味をだすのがむつかしそう。若くみえすぎナノだ。  (長谷川武弥座長を除いて、失礼!)

いくら役づくりしても現代劇のむつかしさか実年令がやはりでてしまうように思えてならない。

 

随所で老人ホームということばが浮くのである。

 

また、老人ホームの意味合いも時代とともに変わってきた。

 

この作品が書かれたころの老人ホームのイメージは姨捨山的なもので、2世代、3世代同居は当たり前だった時代だったから、ホームに入るといえばどこか悲愴感が漂い、促す側もある種の痛みを感じたものだった。

 

そういう意味で今の核家族化、ホームの多様化はかなり、印象が変わってきた。

 

その意味でこの脚本は有吉さんの原作をベースに現代喜劇として上演するには、更なる改編の必要性を感じたのは深読み過ぎるかもしれない。

 

しかし、自然な笑いを呼び込む個性的な演技は全てを呑み込み、観客を長谷川版喜劇の世界に引き込んでいった。ユーモアとアドリブ満載の笑いは見事な出来栄えだった。

 

 

【関西人のひとこと】

 

お妾さん、とかお手かけさんとか云うのは 関東風で浪花では古くは「お妾さん」を「こなからはん」と云った。語源は一升の半分(五合)を「なから(半)」といい、ニ号はんだから(ニ合半)を「こなからはん」  となった。関西では隠し味がイキとされたからだ。いまは、残念だがそんな文化すらない。明るく「パパ活」じゃー風情はないなぁ?!

 

 

あらすじ

 

有吉佐和子の小説を三婆に扮した主演三人の演技合戦が見もの。 武市産業社長の武市浩蔵が妾の駒代の家で死亡した。浩蔵が借金を残して亡くなったため、本妻の松子が住む本宅の一部と、浩蔵の妹であるタキの家が売却された。松子が住む本宅には家を失ったタキが住み着くようになり、さらに料理屋を開業するまでの間だけ住まわせてほしいと、妾の駒代まで押しかけてくる。こうして"三婆"の不思議な共同生活が始まった。さらに女中の花子と八百屋の辰夫、部屋を借りにきた山田夫妻、そして娘に追い出されて転がり込んできた瀬戸専務までが家を訪れ...

 

 

■ 画像は芝居のみの公演につきありません。

 

■ より詳しい内容については【桃象さんのBlog】をご案内いたしますのでご参照下さい。

 

『長谷川劇団 4/10夜 三婆 ① 』

 

『三婆』

 

『長谷川劇団 4/10夜 三婆 ② 』

 

『長谷川劇団 4/10夜 三婆 ③』