紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 巧みな演出に涙する芝居 劇団錦 鈴成り座 2020/10/10

☆ 見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます。

関西公演は来月八尾、そして和歌山へと続く

台風の影響で雨ながらダブルの大入り満員だ。10日で15枚の大入り。

大入りは連日続く!凄いもんだ。

☆15日が休演日

ショー、お芝居とも写真はOKです  動画不可

 

★ 劇団錦スケジュール

11 八尾グランドホテル劇場

12 東海健康センター

2021 01 和歌山・紀の国ぶらくり劇場 和歌山の皆さん必見

 

★ 鈴成り座スケジュール

・鈴成り座はsocial配席続行中

11 劇団花組むらさき

12 剣戟はる駒座

 

メンバー

座長 錦はやと

若座長  カムイ龍虎

錦みやび

花形  錦りか

錦れん

錦つかさ

錦りんご

錦ライト

錦きらと

錦レオ

錦あつし

錦こはく

錦龍之介

錦ふうか

錦さくら

錦めぐみ

南じゅん

錦虎はく

ほか

 

特別ゲスト  松竹新喜劇・曽我廼家玉太呂 参加

*藤山完備さんの最後の弟子。今月一ヶ月出演

 

*イベントシリーズ*

20日 劇団鯱 座長朝陽政次 兜獅子丸 兜蛇々丸 松川翔也   2500円か2

22   劇団輝 覇士大虎 武幻龍大 匠志雄大

2000円か1枚+500

 

☆ 狂言 『のぼり竜の宇之吉』

一幕二景

 

《配役》

老母‥錦みやび

茶店主‥錦ライト

赤鼻一家大五郎‥錦れん

昇り竜の宇之吉‥カムイ龍虎

伊勢屋の清吉‥錦きらと

伊勢屋お嬢さん・お花‥錦りか

小金井小次郎親分‥座長

 

茶店のシーン

 

家出した息子を訪ね歩く目の見えない巡礼姿の母が茶店の女に息子を探していると語る。その息子は宇之吉といい、背中に地蔵の刺青があるという。

 

茶店に通りかかった宇之吉が休んでいると若旦那とお嬢さんがならず者に言いがかりをつけられる

 

仲裁に入る宇之吉、なんとか追っ払うが名を聞かれて思わず小金井小次郎と応えてしまう

 

ところが若旦那とお嬢さん、大事なお金を落としたらしい。それも大枚10両というではないか

聞いた宇之吉、なんとかしてやると啖呵を切る

 

そこにやってきたのが恰幅のいい旅人だ。

宇之吉が店の主に酒を差し上げてくれというもかえってきたのは旅人からの返礼の酒

 

これではふんだくれなあなと思案する宇之吉。

 

*色んなアクションで芝居が膨らむ。実に楽しい。虫を捕まえなんとか因縁をつけようとする所作なのだ。実に、細かくて楽しい。

 

もらった酒にハエが入っていたと難癖をつける。中々いうことを聞かないので俺が小金井小次郎だと言いきり金をせしめ、早速、若旦那とお嬢さんに授けてやる。

 

引き返してきたならずもの達に絡まれるもまたもや小金井小次郎とうそぶき、とうとう目無地蔵で果たし合いということに相成る

 

その様をじっと見ていたのが本物の小金井小次郎だった。そう、あの旅人がその親分だったのである。

 

*当意即妙のアドリブが明るい芝居を盛り上げる。

暗い芝居でありながら明るいのだ。それは演出の上手さなのだろう。

 

とうとう本物の小金井小次郎から本性を暴かれ困窮する宇之吉。そこに割って入った茶店主が宇之吉に盲目の母が探していたと告げられ、目無地蔵へと駆けていこうとしたが同じヤクザなら筋を通せと小次郎から凄まれる。

 

ついに、宇之吉、けじめの為に自らの指を斬り落とし一目散に母の元へと走る。小次郎は呟く

「昇り竜の宇之吉は死なすには惜しい男だな」

小金井小次郎親分は宇之吉の肝の座った振る舞いに侠客としての一分を見いだしたのだった。

 

場面は目無地蔵の前

 

地蔵の前でようやく対面した母と子は抱き合い涙にむせび泣くも宇之吉が家を出たあと父がどんな辛い思いをしたかを説いて聞かせる母。

親分に成ると啖呵をきったのは嘘だったのかと詰められる。出任せに言ったのは番頭になったと信用させる。

 

*泣かせるところはきっちり泣かせ、アドリブでくすぐりを入れ笑いをとる。これは中々できない。うまいぞ劇団錦、じゅっくり観る機会を待っていた甲斐があった。

 

そこへやってきたならずもの達。

 

ならず者一家親分は金は返してもらったが子分が痛めつけられた落とし前はついていないと因縁をつける。度胸の座った宇之吉は徹底した闘いを挑むも満身創痍となる。

 

通りかかった若旦那とお嬢さん。宇之吉は命からがら頼む。盲目の母の行く末を頼みたいと。

ところが二人ともきけないと素気ない返事。

 

捨て鉢になる宇之吉。命はねえんだよと呻く。

そこへ現れた小金井小次郎、商人に直々にきいてやってくれと頼まれ言葉に従うお嬢さんと若旦那。

 

息絶え絶えに小次郎親分に頭を下げる宇之吉。

 

母に宇之吉はうちの一番番頭と語り手をとり誘うお嬢さん。母はここらあたりに目無地蔵様がありますから数珠をかけ供えものをしてくれとたのむ。地蔵様をわが子として思いを語る母。

 

声にならない宇之吉の声が風に乗って聞こえてくる‥

 

おっかぁ〜  俺もいく

 

母親は瀕死の宇之吉を思いつつ断腸の思いで‥別れる 

 

宇之吉、聞こえるか、俺にあこがれてヤクザになったんだろ 俺の身内になってくれたら骨は拾ってやる  小金井小次郎親分は語る

 

いまわのきわに、お前、俺に仁義がきれるか

と語りかける  宇之吉は渾身の力を振り絞るように仁義を切るのであった

 

どこまで泣かすんや錦はやと----む。む。

 

*私は感動した。そして、涙した。色んな劇団のたくさんの「地蔵の宇之吉」を見てきたが劇団錦は最高峰の芝居だった。

 

雪が舞う、そして谷村新司の「群青」が流れる

大きな拍手と涙で幕‥

 

*仕掛けが上手すぎる

 

☆ 座長口上(錦はやと座長)

・ゲスト出演が続きます

 

グランドショー

 

・ラストショー

太鼓ショー第一弾 阿修羅太鼓

特別ショーにつき写真撮影禁止

 

【画像】

濃厚な演出に最高の感動・紀州屋良五郎