紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『ラーゲリより愛を込めて』をみた

〇 こんな映画をみました

〇 予告編

 

STORY

第2次世界大戦が終結した1945年。シベリアの強制収容所では、ソ連軍の捕虜となった山本幡男(二宮和也)ら多くの日本軍兵士たちが収容されていた。わずかな食料しか与えられず、零下40度という過酷な状況下で重労働を強いられる彼らに、山本は「生きる希望を捨ててはいけません。帰国の日は必ずやって来ます」と訴え続ける。山本の信念と仲間を思う行動に勇気づけられる捕虜たち。8年後、山本のもとへ妻からのはがきが届き、帰国の日は近いと感じる山本だったが、その体は病にむしばまれていた。

キャスト

二宮和也北川景子松坂桃李中島健人寺尾聰桐谷健太安田顕、奥野瑛太金井勇太、中島歩、田辺桃子、佐久本宝、山時聡真、奥智哉、渡辺真起子、三浦誠己、山中崇朝加真由美、酒向芳、市毛良枝

スタッフ

原作:辺見じゅん
監督:瀬々敬久
企画プロデュース:平野隆
脚本:林民夫
プロデューサー:下田淳行、刀根鉄太、辻本珠子
音楽:小瀬村晶
共同プロデューサー:原公男、水木雄太
音楽プロデューサー:溝口大悟
ラインプロデューサー:及川義幸
撮影:鍋島淳裕
照明:かげつよし
美術:磯見俊裕、露木恵美子
装飾:大庭信正
小道具:柳澤武
録音:高田伸也
編集:早野亮
VFXスーパーバイザー:道木伸隆
VFXプロデューサー:小坂一順
スクリプター:江口由紀子
衣裳:大塚満
ヘアメイク:那須野詞
助監督:海野敦
制作担当:馬渕敦史
企画協力:清水香
主題歌:Mrs. GREEN APPLE

上映時間 136分
〇 わたしがみたまま、感じるままに 〇
ラーゲリとはシベリアの捕虜収容所の名である。この映画は山本幡男さんの貴重な体験にもとづいてつくられた映画である。
抑留の実態を知らない人も多い。映画は、近現代史にさほど関心がない人、あっても抑留についてよく知らない人は、本作によってさらに長く語り継がれるだろう。それだけにたぐいまれな映画といえる。
欲言えば、現地でのロケがあればもっとよかった。冬のシベリアはさぞかし凄惨な光景だろうと想像する。
全体を通して戦争の悲惨さより家族愛、夫婦愛を前面に描いたことは山本さんの信条である『人生にはどこまでも希望をもって歩め』に沿っていて、暗澹たる捕虜の強制労働さえ沈痛さを払拭させてくれる。
あえて、これはという点をいえば実話に忠実に描こうとしたのかしれないが、なぞるようなクドさを随所に感じる。
とくに、死後に戦友達が遺言を記憶して次々に遺族に伝えに行く場面だ。
ここは、一番のハイライトであるが本で読むならいいのだが、映像で繰り返し、繰り返しみせられるといささか食傷気味になる。もっと工夫ができないものか……
さらに、今は亡き山本さんが幻想の中で妻に会いに来る場面もあまりにとってつけたわざとらしさを感じもっと違った形で映像化できないものかと考えさせられた。
動物と人のふれあいも描かれている。
この部分だけでも感動ものだ。皆から愛されていたクロという犬が一緒になって野球に興じるシーンはここが戦時下である事を忘れさせ、心が和む。
別れの時が来て、クロが抑留者の乗った船を追って流氷の上を駆けて追う。やがてクロは助け上げられ日本に共に帰るシーンだ。これは、実話と見知って、あとで、とても驚き感動を禁じ得なかった。
この映画を通して、悲惨な抑留生活を送られた方々に思いを馳せ、北の大地に眠っておられる先人の方々に深く哀悼の思いを捧げるものである。