紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『ファミリア』を見た

〇外国人との共生は時代が導いた現象で古くは多くの日本人もハワイ、カナダ、ブラジルなどへ出稼ぎにいき日本人村を形成した。

 

近年は他国からジャパンドリーム追い求め多くの外国人が来日し労働する現実がある。

この映画はそんな在日ブラジル人が国籍や文化などの様々な違いを超えて一つの「家族」になろうとする姿を描く映画である。

 

もはや、大阪においても、西成区ベトナム人の若者たちがたくさん住むまちで2万人を超える。台湾、韓国の2世、3世たちを含めたら日本一の異文化交流地区だ。西成・浪速区における大衆演劇においても劇場地元ファンの急減は急速な高齢化と外国化にあるのだろう。

 

前置きが長くなったが、そんな背景から興味がつきない作品である。

 

 

〇予告編〇

 

 

 

〇 概略 〇

STORY

陶器職人として一人山里に暮らす神谷誠治(役所広司)を、仕事でアルジェリアに赴任中の息子・学(吉沢亮)が、婚約者ナディアと共に訪れる。一時帰国した学は、結婚を機に仕事を辞めて陶器職人になるというが、誠治はそれに反対する。一方、誠治が暮らす隣町の団地に住む在日ブラジル人のマルコス(サガエルカス)は、以前助けてもらった誠治に亡き父親の面影を重ねていた。

キャスト

役所広司吉沢亮、サガエルカス、ワケドファジレ、中原丈雄室井滋、アリまらい果、シマダアラン、スミダグスタボ、松重豊、MIYAVI、佐藤浩市

スタッフ

監督:成島出
プロデューサー:伊藤伴雄
脚本:いながききよたか
音楽:安川午朗
撮影:藤澤順一
照明:豊見山明長
録音:藤本賢一
美術:金田克美
装飾:大坂和美
編集:阿部浩
スクリプター:赤澤環
衣装:宮本茉莉
メイク:田中マリ
音響効果:岡瀬晶彦
陶芸協力:ポール・ロリマー

上映時間
121分
 
〇 私が見たまま、感じるままに 〇
 
「八日目の蝉」「いのちの停車場」などの成島出監督が役所広司を主演に迎え、国籍・文化・境遇を超えて家族を作ろうとする人々の姿を描いたヒューマンドラマ。
 
いや〜感動した映画だった。原因はさまざまであるが外国人との共生の難しさが迫ってくる映画である。しかし、人間は肌の色、目の色、髪の色、姿外見はかわれども本質的には人間だ。
 
国境をこえて理解し合えるのだという事を再認識したい。私たちの先人達もブラジル始め諸国に出稼せぎを行った歴史を見るとき、いささか内向きになった現在の我が国においての数々の問題が見えてくる。ローカルな三つの団地で撮影がおこなわれ、学歴差別、言葉の障壁、犯罪集団と覚醒剤など数々の問題が落とし込まれている。この映画は日本の暗部を掘り出すようにみせてくれている。新鮮で考えさせられる映画である。お薦めしたい一作である。

山里でひとり孤独に暮らす陶器職人・神谷誠治のもとに、一流企業のプラントエンジニアとしてアルジェリアに赴任中の息子・学が婚約者ナディアを連れてやって来る。学は結婚を機に退職して焼き物を継ぎたいと話すが、誠治は反対する。
 
一方、隣町の団地に住む在日ブラジル人の青年マルコスは、半グレ集団に追われていたところを助けてくれた誠治に亡き父の姿を重ね、焼き物の仕事に興味を持つように。そんな中、アルジェリアに戻った学とナディアが民族紛争に巻き込まれ銃弾に倒れる。実話としての事件がベースになった作品だけに迫るものがある。

役所ふんする誠治の息子・学を吉沢亮が演じ、MIYAVI、佐藤浩市松重豊が共演。脇で室井滋がいい味を出している。演技達者の面々が繰り広げる息をもつかさない見応えのある映画を見た。