紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

■ 桐龍座恋川劇団 梅田呉服座 2023/04/26

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます

〇洗練された舞台照明もトップクラス

メンバー  

座長 恋川純

恋川千弥

鈴川眞子

鈴川桃子

鈴川純加

鈴川かれん

ほか

 

舞踊ショー  圧巻の舞踊絵巻

・変幻自在のフォーメーション

・すべての集大成  43

 

芝居「花ざくろ

 

この芝居のもとは松竹新喜劇。劇団創設75周年記念として寬美の孫・藤山扇治郎が主演で大阪松竹座で5月に公演予定である。

 

あらすじ(簡略)

植木職人の三次郎は、仕事にはきわめて熱心だが、万事煮え切らない男。やっと大将の仲人で再婚の女と所帯をもてた。が、あたまがあがない。

 

妻の加代はそんな三次郎に飽きたらず、公然と浮気をはじめる。

いつしか、その三次郎も怒りが爆発して騒動が始まる…不器用だが、真情溢れる男ごころ、庶民派人情喜劇の名作に恋川純が挑む。

 

(舞台の雑感・印象)

 

・藤山寬美には勝てないが藤山扇治郎より格段にうまい恋川純の三次郎役。どこがうまいかと言えば絶妙な『マ』。まさに、恋川新喜劇。

 

・掃除の場面で箒にゴミが絡まるのをとる仕草等。これだけ細かい所作と芝居見せたら引き込まれるがな。

 

・最大の山場はミツバチを叩き殺す場面。

 

部屋に迷い込んだミツバチを加代子が叩き殺したことを契機に急展開をみせるヤマ場。

 

あの物静かな三治郎が死んだミツバチにあやまれと三次郎は詰め寄る。今まで誰にも見せたことのない形相と毅然たる男らしさで、女房に迫る。

 

もう家には置けん、出てゆけと詰る。人が変わった三治郎を見る驚きの加代子。有無を言わさず叩きだす。

 

この時に突然、加代子が付き合っていた男が交通事故で危篤になったという知らせが舞い込む。

 

人が窮地に陥れば助けようと努めるのが人の情と思い、男に治療費をまで、渡してやろうと三次郎は家を後にする‥路地の陰で降りしきる雨に濡れた加代が泣く。

 

降りしきる雨、雨、、、。『あんた‥』と叫ぶ!やっと不迷を恥じる加代子の目に涙。はっと覚めた。

これからは植木づくりの女房になると叫ぶ加代子。

 

そんな加代子を引き寄せ、相合い傘、三次郎は花道を病院へ向かう。振り返る、面はゆい三治郎の顔。

 

秒速で変化する表情のマ。これを演じきる恋川純。まさに、千両役者のそれだ。

 

哀感込めて、細かい芝居と所作が決まり、涙誘う相合い傘。

 

二人して、大将にあやまり『こんな枝ぶりの女やけどまた私が刈り込みます』と決めのセリフが花道で決まった。

 

職人気質の庶民の人情。泣き笑いの彩を演じきった二代目恋川純。ブラボー

 

大拍手で幕。さすがは恋川純。

 

 

 配役

座長‥植木職人の垣山三次郎

恋川千弥‥大将

恋川桃子‥三次郎の女房 加代子

ほか

 

 

〇グランドショー  

・口上挨拶はショーのなかで

・舞踊もコミカルにする工夫

・ハンチョウ飛び交うステージ

 

〇ラストショー    

 

 

 

【画像】

 

やはり、舞台は演者の楽しさ、明るさ、所作が一番やな、今日の芝居を見ればトップクラスをまもる訳がわかる・紀州屋良五郎