紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 劇団美山 池田呉服座 2023/05/14

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます。全席満席!昼からダブル大入り。

(画像は5/14 昼の部ラストショー)

 

〇いろんな劇団で見ている芝居だが里美版は軽妙な笑いとアドリブ、涙、情を揺さぶる出来栄え。

・芝居、ショーの照明も極上の劇団美山。

特に、芝居演出、照明演出は至高。

・今月も連日予約済、満席近い状態

・劇団美山の公式ホームページもかなり詳しく充実している。月間、日別演目・公演先・メンバーまで記載しているのでありがたい。

 

メンバー

総座長  里美たかし 

座長  里美こうた

副座長  里美京馬  

後見 里美祐樹  

花形 里美花太郎

中村美嘉

中村あおい

里美あゆむ

里美かいと 

中村㐂代子

 

芝居「峠の残雪 

・里美たかし‥新造

・里美こうた‥新吉

・里美京馬‥神馬弥十郎

・里美佑樹‥丹波屋親分

・中村美嘉‥母

・中村あおい‥芸者

・里美花太郎‥放れ駒親分

 

【あらすじ】

 細かい筋立てはすっ飛ばし、感動的なところを抜き書きしています。

 

生き別れた兄弟が奇しくも再会。母の仇討ちをする物語。ラストは悲しい悲しい結末だが、里美版には救いがあった。

 

人間臭くも、随処に笑いをちりばめ、泣かせる王道の芝居に上質な音楽と効果、舞台を見ないと伝わらない珠玉の作品なのだ。

喉をつぶされた兄・新造。灰で目を潰された弟・新吉は、這いずりながら、藻搔きながら仇に立ち向かう。障害と業、苦と楽。因縁因果を散りばめた情念芝居、それが里美の芝居。

 

あるのは、呻き声、そして、雪雪雪。


目の見えない弟に、自分こそが兄であると、懸命に伝える場面に、演者の熱がほとばしる。

 

雪が舞う、静かに‥

ながれる曲は「サンサーラ」鎮魂歌に相応しい。

 

『なぜ 別れるために人は出会う?

生きている 生きている

その現だけがここにある

生きることはサンサーラサンサーラ歌詞

 

毒入りの酒を飲まされ、口が聞けなくなった兄。
灰をかけられ、目が見えなくなった弟。

いのちに刻印された業。

 

そして、クライマックス。

 

痛めつけられ、命を賭した弟・新吉。

駆けつけた兄。降りしきる雪、雪、雪、
地蔵は見ていた。だのになぜ?地蔵は無佛時代の案内人のはず。おまえなんぞ
、くそくらえ!

 

くそくらえと雪礫を地蔵にぶつける兄、なぜ、護ってくれない!

やるせない兄は己の涙が雪になる。

菩薩も佛もなきものかと   雪に叫ぶ兄!

 

弟は召され、兄は呻く、そして呻く、ただ呻きながら、渾身で立ち向かう、そして、地鳴きのような叫び声で、最後に新吉を抱き上げたとき

「新吉〜」と振り絞るような声がでた。

聞こえない声がこだました。

 

一転、場面はかわり

 

そこは天空か‥はたまたみ佛の懐か

 

飯櫃を持ち、舞台下手から現れた新造。

仏画の前には、在りし日の新吉の柔やかな姿。

地獄に一条の佛の光をみた。

 

ああ、またしても二人は出会うことが叶えられた。

兄は米櫃から飯を取り出し、愛する弟の口元へ頬張り微笑むふたり。割れんばかりの拍手、鳴り止まず。

 

嗚呼、感動と余韻、、幕

 

舞台口上   里美たかし総座長 ほか

 

・極めてうまいと定評のトーク

・今日のお芝居「峠の残雪」は里美こうた座長から

宝海大空座長から教えてもらった芝居です。

・前売り券&グッズ販売   大入り40超え5/14 現在

 

 

舞踊花絵巻(舞踊ショー)

・里美花太郎の舞踊はまるでthrillingな舞踏の世界。

ギリヤーク尼崎を思わせる。個性の舞。

・ラスト  「黒田ブギ」

 

【画像】(写真は2023.05.14のラストショー)

 

 

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