紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 劇団美山 池田呉服座 2023.05.08

【たかしと京馬の日】

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます。平日でも全席満席!

 

〇何度も見ている芝居だが里美版は軽妙な笑いとアドリブ、涙、情を揺さぶる出来栄え。

・芝居、ショーの照明も極上の劇団美山。

特に、芝居照明並びに演出は至高。

 

・今月も連日予約済、満席近い状態

・昼だけで大入り二本、おそらく一日四本の大入

 

・実力派の役者、女優揃いの劇団。男女の実力バランスも秀でている。

・劇団美山の公式ホームページもかなり詳しく充実している。

 

・ホームページに日別演目・公演先・メンバーまで記載しているのでありがたい。

 

メンバー

総座長  里美たかし 

座長  里美こうた

副座長  里美京馬  

後見 里美祐樹  

花形 里美花太郎

中村美嘉

中村あおい

里美あゆむ

里美かいと 

中村㐂代子

 

芝居「情けの一夜 

・里美たかし‥清やんの父

・里美こうた‥大工の八

・里美京馬‥大工の棟梁清やん 

・里美佑樹‥5歳の太郎

・中村美嘉‥清やんの後妻おさき

・里美花太郎‥弟の留

・中村あおい…留の若妻

 

【あらすじ】

 

留さんの女房が家を飛び出し兄の家に転がり込んできた。これから始まる奇想天外の喜劇。

 

大工の棟梁清やんには女房がいたが、今は別れ別の女性を嫁にしている。

ところが、別れたことも知らない元妻の親爺が遥々、丹波からやって来た。

 

ところが、娘じゃなく、知らない女が応対する、怪訝に思う親爺にとっさの言い訳で出た言葉は

あれは、『二階の奥さん』ですねん。

 

ウソと誤解が笑いと人生の情けを描く人情喜劇。

 

親父の演じ方で笑いも涙も芝居の深さも増す。

ただ、ド派手なメイクで笑いをとる見せ方の笑いはいささか劇団美山らしくないともいえる。

 

演者の個性とアクで喜劇を盛り上げる。ほろっと人情をくすぐる巧みなセリフをちりばめ上方の喜劇が迫ってくる。総座長のアドバイスの元もと芝居のエンディングにも新演出。

 

3枚目に徹するこうた座長が拍子抜けした大工を演じ、二枚目京馬副座長が味を効かせる。

親父に扮する総座長ほか、メンバー総力戦での喜劇だ。

関西で通用する喜劇を演じる劇団は数すくないが劇団美山は秀逸だ。

 

喜劇の源流は江味劇団時代、総座長の父・江味三郎座長が藤山寬美の松竹新喜劇に参加していたことに由来する。いわば、筋金入りのコツをつかんでいる。

 

この演題も松竹新喜劇の「二階の奥さん」(曽我廼家 十吾原作)

をもとにしたもの。

 

初めの若夫婦の仲違いと、話の流れで、自然のうちに人生の教訓を学ぶくだり、無言の所作だけでラストを盛り上げる手法は総座長の巧みな演出が冴える。

 

舞台口上   

里美たかし総座長  里美こうた座長

里美京馬副座長・花太郎花形

 

 

・本日の演出は里美京馬が担当

・前売り券&グッズ販売 

 

舞踊ショー  

・本格的日舞(総座長・座長は藤間流師範)でしっとり

・立ち役出来る女優陣、個性的な役者たち

・セリフのごとく舞う座長

 

【画像】(写真は2023.05.14のラストショー)

 

 

 

 

 

弛まぬ稽古、役者のハナ、卓抜した演出、サービス精神溢れる応対、舞踊の質、唸らす芝居‥それらすべてを揃えたらトップランナー街道・紀州屋良五郎