〇 大好きな沖縄には、芸能の原点があった。
〇予告編 〇
〇 概要 〇
2022年/日本/75分
監督ダニエル・ロペス
出演比嘉 優、仲原瑠季、金城平枝、島袋拓也、仲本 克成、仲本 あい、宮城小寿江、宮城豊子、前田心誠
その村は生活の隣に 芸能が生きているーー 沖縄県本島、その北部に位置する緑豊かな宜野座村。村の生活に彩りを与える芸能の数々が親から子へ、そして孫の世代へと受け継がれてきた。村の息災を祈る獅子舞、芸能の花形・琉球舞踊、今では世界中に広まった空手…。伝統芸能は村の生活や行事に根ざし、息づいている。舞踊を習いに隣村から通う野球少年、代々芸を磨き続ける親子、伝統芸能を受け継ぐ様々な人々にカメラは出会い、人々の誇りや生き様、葛藤を描く。
〇 私の見たまま、感じたままに 〇
私の義母は沖縄の今帰仁村で生まれ育った。今も、沢山の親戚がいる。妻と出逢い結婚したときに一番驚かされたのは西成に多くの親戚がいて、お盆ともなれば大勢が集まる。みな、酒豪で舞い、歌い、三線を奏で陽気この上ない。馴染むのに一苦労だったが私にはこの気質がとてもあっていたのかすぐに溶け込んだ。いつしかカチャーシの輪に入り賑やかに溶け込んだ。
以来、幾星霜をへてすっかり『ウチナー』になった。その過程で、戦時下の沖縄、沖縄戦、琉球王朝時代のことなど興味が拡がり独学で読み調べた。まあ、そんな縁で沖縄を描いた作品は欠かさず見てきた。とくに、芸能は、いまも親しんでいる。琉舞、三線、太鼓、民謡と興味が尽きない。
この映画が伝えるように芸能が生活に根付いている風土が沖縄文化なのだ。そこは、本州とはずいぶん違う。ある人は保育所、ある人は役所、ある人は農家でそれそれ仕事を持ちながら祝祭日には何らかのかたちで芸能に関わる。
かつて、読んだコラムに沖縄と本土を比較したとき『床の間』をみればすべてが凝縮されているという一文がいまもって鮮やかに記憶している。
沖縄の床の間には『三線』。本土のそれには『刀』がある。かねてから交流・流通・外交で自立を模索してきた『琉球』その知恵は『芸能』であった。まさに、沖縄の芸能は『平和の象徴』といっても過言ではない。
『ウムイ芸能の村』(宜野座村)のすぐ側は今も米軍基地のキャンプシュワブ、キャンプハンセンと隣り合わせである。なんという皮肉なことか。沖縄が平和の島に戻ったときこそが日本が平和な国になる時だ。
昨今の報道や世論に見るとき時代の歯車が逆行し始めた感を強くする。
再び戦火の地にしてはならないと今、怒りと悲憤で胸がはりさけそうになる。
『大衆文化・大衆芸能(芝居)』の原点は沖縄にあると私は強く思っている。沖縄の芸能は虐げられたもの達の叫びであり、生きるよろこびと勇気なのだ。ことばと歌にはきっと世を変える力があると信じたい。