紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『愛にイナズマ』をみた

〇 家族とはなにかの真実をえぐる映画だった。

 

 

〇 概要 〇

 

STORY

26歳の折村花子(松岡茉優)は幼少時から夢見ていた映画監督デビューを控える中、空気は読めないが魅力的な男性・舘正夫(窪田正孝)と運命的な出会いを果たす。人生に明るい兆しが見え始めた矢先、彼女は無責任なプロデューサー(MEGUMI)にだまされ、報酬をもらえないまま企画を奪われる。卑劣な仕打ちに打ちのめされる花子だったが、正夫に励まされ、大切な夢を奪った理不尽な社会への反撃を誓う。そして正夫と共に、長らく疎遠だった父(佐藤浩市)と兄たち(池松壮亮若葉竜也)のもとを訪れる。

キャスト

松岡茉優窪田正孝池松壮亮若葉竜也、仲野太賀、趣里高良健吾MEGUMI三浦貴大、芹澤興人、笠原秀幸鶴見辰吾北村有起哉中野英雄益岡徹佐藤浩市

スタッフ

監督・脚本:石井裕也
主題歌:エレファントカシマシ
プロデューサー:北島直明、永井拓郎、中島裕作
音楽:渡邊崇
製作:沢桂一、長澤一史、太田和宏、竹内力
エグゼクティブプロデューサー:飯沼伸之
撮影:鍋島淳裕
照明:かげつよし
録音:加藤大
美術:渡辺大
装飾:塚根潤
ヘアメイク:豊川京子
衣装:宮本まさ江
編集:早野亮
視覚効果:若松みゆき
音響効果:柴崎憲治
助監督:塩崎竜朗、坂西未郁
制作担当:岡田真樹
プロダクションマネージャー:原田博志

上映時間
140分

〇 予告編 〇

 

 

〇 私のみたまま、感じるまま 〇

 

映画監督デビューを目前にした主人公はそのタイトルを『消えた家族』として、自分の家族を描こうとしていた。幼き頃、母が突然失踪し、その理由はいまだ知らされてはおらず20年の歳月が流れた。10年の長きに亘り兄弟とも父とも音信は絶っている。

 

そんな、家族が再び、出逢い再生ができるのかをたどる映画だ。随所に表現される生きにくい世の中、本音の自分を出すたびへし折られる息苦しさの数々の出来事。

 

はじまりは、父からの一本の電話であった。余命迫る父は再び家族に会いたいと願っていた。

それを結びつけたのは娘の映画撮影だった。

 

奇しくも、10年ぶりに一家に集まる兄たちと妹。

そこから、母の失踪の原因がひもとかれていく。

 

隠していたもの、見えなくしてきたものの一つ一つが剥がされていく。スリリングな展開であり。意表をつく場面もある。後半はなかなか面白い映画となっている。

 

それというのも佐藤浩市はじめ演技陣が厚いからだ。迫力あるシーンとDNAで繋がれていることをしかと感じさせる各自の演技が妙演だ。

 

それにしても、現代に生きる人は、小学生まで含めて『本音』を押し込み、『ぶつかり合う』ことを嫌って生きていることか。

 

すり抜けて通らないと生きにくいのは何がそうさせているのか

そこを、もっと描ききることができたなら満点の映画だといえる。