〇 震災救援渦中に三番叟を舞台で上演することについていろいろご意見があったので整理しておきたい。
『三番叟』は古来から五穀豊穣、無病息災を祈念し献じられた門付け芸である。現在、歌舞伎や文楽、地域の祝祭で広く演じられている。
演じるにつき様々に対応が分かれたように聞く。
大半は新春を寿ぐ慣例にならい通常通り行われた。
ある劇団では『三番叟』の意義を話し演じられ、また、ある劇団ではこのたびは上演を控えられた。
過去の震災後の実施事例に鑑みて救援活動が落ち着き、すべてが復興に向けての時節であったことから考えるとこのたびは元日の大災であり救援・救命活動直下の段階であることから判断の基準は『タイミング、時節』が大切であるというのが私の考えだ。
その点で都若丸劇団がとられた対応が私の信条に一番近かったと思う。
いずれにせよ、一番大切なことは被災者、被災地に思いを馳せることであり『やるやらない』の是非は様々であっても大きな問題ではないというのが結論だ。