紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 劇団花組むらさき ちょっとだけファイナル公演 梅南座 2022/11/02

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます。花組むらさきは12月からしばらく休業に入ります。

 

 

 

 

 

 

☆ 南座公演スケジュールの案内

12  劇団九州男

 

☆ 11/9  11/18  休演

 

 

メンバー

 

座長  南條のぼる

座長  藤間美香

彩姫

光はじめ

南川みすゞ

南川あい

 

 

ゲスト出演・

 

☆ 

 

☆ 今月の演目、ゲストスケジュール

☆ 宝海大空ほか(21)、松丸家小弁太(16)などゲスト出演日あり、料金変動あり。

 

〇芝居「笹川の花会」

・洲崎政吉‥藤間美香

・飯岡助五郎&笹川繁蔵‥南條のぼる

・政吉女房‥彩姫

国定忠治‥光はじめ

ほか

 

【ここがいい】

*芝居のあらすじは省略。

*見せ場をきっちり、余韻のある芝居運び。

*この芝居の背景は天保の大飢饉、義に生きる俠客は相撲興業、花会博打を催し、農民の疲弊を救おうとした。

ご存じ、天保水滸伝の名場面だ。筋は決まっている。演じ方で深さが決まる芝居だ。男が男に惚れる名場面だ。派手な立ち回りもない。セリフの重みと余韻がすべてだ。

 

 

〇舞台口上 (座長 南條のぼる)

・ここ、梅南座で座長襲名後、初の口上挨拶をし、そして、ファイナル公演もこの梅南座で締めくくりをさせてもらうことに感慨ひとしおです。

3年程度、劇団としての活動を休止して、メンバーがパワーUPして再結成できたらと思っています。これからは、いろんな劇団にいって勉強したいと考えています。また、お知らせしますのでぜひ、応援してくださいと座長。

 

・前売り券&グッズ販売

・のぼる座長のトークはベスト10に入るぐらい巧みだ。

 

座長のこだわりもわからない訳ではないが、芝居とショーの書き出しぐらいは望みたいところだ。

 

 

〇花の舞踊絵巻 

 

ラストステージ

 

 

【画像】

祈・花組むらさきファイナル公演の大入り繁昌、大盛況・紀州屋良五郎

▩ 映画『夜明けまでバス停で』を見た

〇 まいど、おおきに。こんな映画を見ました。

 

 

 

〇 予告編

STORY

昼間は自作のアクセサリーを売り、夜は焼き鳥屋で住み込みのパートとして働く北林三知子(板谷由夏)は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で職と住まいを失う。新たな仕事もなくファミリーレストランや漫画喫茶も閉まっており、行き場のない彼女の目に留まったのはバス停だった。一方、三知子が働いていた焼き鳥屋の店長・寺島千晴(大西礼芳)もさまざまな問題に頭を悩ませていた。誰にも弱みを見せられないままホームレスとなった三知子は、公園で古参ホームレスのバクダン(柄本明)と出会う。

キャスト

板谷由夏大西礼芳三浦貴大、松浦祐也、ルビー・モレノ片岡礼子、土居志央梨、あめくみちこ、幕雄仁、鈴木秀人、長尾和宏、福地展成、小倉早貴、柄本佑、下元史朗、筒井真理子根岸季衣柄本明

スタッフ

監督:高橋伴明
脚本:梶原阿貴
音楽:吉川清之
主題歌:Tielle
製作:人見剛史、小林未生和、長尾和宏、高橋惠子
エグゼクティブプロデューサー:鈴木祐介
プロデューサー:角田陸、小林良二、見留多佳城、神崎良、佐久間敏則
撮影監督・編集:小川真司
照明:丸山和志
録音:植田中
美術:丸尾知行
装飾:藤田徹
衣装:青木茂
ヘアメイク:結城春香
VFX:立石勝
アクセサリー指導:ななし・水城
制作担当:櫻井陽一
助監督:塚田俊也

上映時間
91分

〇 私が見たまま、感じたまま 〇

 

地を這うような目線があたたかい映画だ。最近作の『痛くない死に方』も素晴らしかった。ドキュメンタリータッチで鋭く描く高橋伴明監督の作品は現代の映し鏡だ。

 

長尾和宏Dr.が出ていてびっくりした。いやー多才な人だな。歌うわ、講演するわ、映画にでるわ、

漫才もするわ、それでいてコロナの最前線で活躍する尊敬するDr.だ。これは、余談だ。

 

映画にはさまざまな「困難」が余すところなく描かれている。非正規の増加、悲惨な労働現場、外国人に対する差別、コインランドリーで洗濯する路上生活者、コロナの持続化給付金の横領(社員の退職金のかすめとり)、、公園で炊き出しに並ぶホームレスの人たち…目をそむけず見なければならない。

 

この国の総理は「まず自助・そして共助」と訴えるも「公助」は後回し。

コロナ以後、すべての国民が狂乱の物価高に苦しめられている。

 

なんか、くらい話ばかりだが、この映画には痛快に楽しませてくれる仕掛けがある。

柄本明が卓抜した演技でみせる古参ホームレスのバクダンという男が放つ仕掛が痛快でたまらない。鬱積する気分をラストにドカーンと打ち破ってくれる。詳しくはもうすまい。銀幕でのお楽しみだ。

 

考えさせながら、ラストになれば、スカッとする映画であった。

 

ラスト最高、高橋伴明監督に感謝。

 

▩ 劇団神龍 鈴成り座 2022/10/12

〇見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます

 

 

☆ 鈴成り座公演スケジュールの案内

11   鳳凰

12  劇団武る

 

〇劇団神龍の強みは強力なファンと座長の脇を固める役者のレベル。

 

メンバー

 

座長  澤村神龍

澤村龍馬

澤村冬華

澤村秋華

澤村春音

澤村武尊

音羽三美

成駒・中村駒二郎

 

ゲスト出演・早乙女紫虎 座長

 

☆ 

 

顔見せミニショー

 

〇芝居「孝行飛鳥山

 

【あらすじ】

 

王子の飛鳥山へ花見に、親子でやってきた与一郎夫婦。しだいにわかってくるきつい嫁の振る舞い。

母を苛める姿は目にあまる。

 

茶店鰻屋で母が一休みしていたら、弟と出会う。

すべてを察知したこの弟、一系を案じる。タイミングよく、通りかかった旅役者一行に御礼を弾むことを条件に、一芝居して欲しいと頼み込む。

 

さて、さて、どんな展開になりますやら‥

 

若夫婦の前に現れた旅役者が演じる夫婦と老母が絶妙な芝居をしてみせる。

 

*それにしても、ベテラン音羽三美さん、中村駒二郎さんがおられて芝居が回っていく。劇団を支える得難い宝だ

 

澤村神龍‥旅役者の座長

早乙女紫虎‥旅役者

中村駒二郎‥弟

音羽三美‥老母

澤村龍馬‥主人

澤村春音‥妻

澤村冬華‥旅役者(母の役)

 

 のぼる會系統でされている「嵐山の夕暮れ」に酷似したお芝居。

 

〈ふとした想い〉

 現代でやるのにはとても難しい芝居だな。

とくに、人情喜劇として迫るように描くにはかなりの素養がいる。

嫁、姑問題は核家族が普通の現在、益々、難しくなり家族のかたちも大きく変わってしまった。

この芝居のように素直に「孝養」に気づくなら、

そこにはまだ通いあう心があるのだが‥教訓話、説教話になっては益々、心がはなれる。

なんとか現代にも通じるようにリメイクできないだろうか。「孝行」ものはむつかしいな。

 

*親孝行の大切さをわかりやすく、ユーモラスに描いた喜劇作品である。

 

★ この話のもとはいったいどんな話だろうか

王子の飛鳥山とあるから東京の王子、飛鳥山公園なのだろう。

 

〇舞台口上 (座長 澤村神龍)

・前売り券&グッズ販売

・イベントスケジュール

〇花の舞踊絵巻 

 

ラストステージ‥バンビーノ

 

 

【画像】

 

㊗️劇団神龍は旗揚げ5年周年を迎えた、おめでとうございます・紀州屋良五郎

▩ 新川劇団+松井悠 「化け猫」 木川劇場 2022/10/11

☆ 見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます。

☆ 本日はロング公演、明日は休演日

なんと22日も松井悠座長が新作「化け猫」をやるらしい。

大入り満員   暑かったらクーラーかけますよとママの声、熱気が満ちる満席の公演である。

完全なコロナ終結宣言やな。場内満員御礼、お花も満杯ラッシュ。

 

  • マンスリーゲスト出演

・劇団悠  座長  松井悠

 

★11月の木川劇場

花柳願竜劇団 

☆ 6年ぶりに観る松井悠座長の「化け猫」。前回も同じく劇団悠。この劇場で見た。

 

ここ、木川劇場は以前、ストリップ小屋であった時期があり、吊りものなどできる設備は立体的でいろんなことができそうだ。ストリップ時代には逆さ吊りのSMショーなど見た記憶が蘇る。

 

▼天井に注目 ミラーボールと吊りバトンはここだけの構造 ロープも張れる宙乗りはどうかな

★★

 

☆ 座長 新川博  

座長  新川笑也

リーダー  新川博

今月は松井悠座長が特別参加

 

顔みせミニショー

 

 ☆特選狂言「化け猫」

 

<あらすじ>

 

下層身分のすず(松井悠座長)は、殿(新川博也座長)から寵愛を受けているが世継を産めない身体であった。

 

その弱みにつけ込む、家臣の半三(新川笑也座長)は妹・萩江を側室にさせたいと謀る。

 

「お兄様!どうして殿はあんな女の所ばかりに行かれるのか、わたしは悔しい」

 

「萩江、必ずお前を殿の奥方にしてやるから、そうすれば、殿はわしの思うがまま」

 

兄妹は密談。半三の手には、劇薬があった。

それをよく効く薬と偽り、すずに。飲ませる。

 

何も知らないすずは、半三の薬を飲む。

「ああ、なんて苦い」

 

体は本能的に劇薬を嫌がり、思わず顔を背けてしまう。

 

せき込みながら、すずは必死に薬を飲む。

悠座長の可憐さと儚さの演技が冴える。

 

薬は少しずつ、すずの体を蝕む。

美しかった姿が次第に無慚な姿にと変わり、殿の愛情も薄れていった。

 

久々に殿がすずの部屋を訪れたと思いきや。

 

「お前は、しばらく川越の別宅で過ごしたらどうかと思うのだがどうだ」

川越といえば人里離れた辺境の地。

 

静養のためとはいつわり実は厄介払いのためとすずは悟る。すずは弱った体で、必死に泣いて抵抗する。

「寂しい所へなぜ、行かねばならないのですか、嫌です!すずはお殿様の傍にいます!」

 

ついに半三に猛毒を飲まされて、すずはのたうち回る。苦悶する壮絶な場面。

 

いよいよ、復讐の場面が始まる。

 

すべての企みは半三と萩江だったことを知ってしまったすず。

 

虚ろな目でゆらりと立ち上がり、飼っていた猫の名を呼ぶ。

 

 なんと、生猫が登場。猫が間合いをわきまえず鳴くのはご愛嬌。

 

 

殿の家臣半佐に自らの生き血を猫に吸わせ復讐を誓う。

彼女が復讐するのは、自分を最後には捨てた殿と、毒を盛った家臣。

 

すずの死後殿の側室に上がるその家臣の妹萩枝。

 

劇団悠の化け猫はどうやら佐賀怪猫伝が源になっているようだ。

 

燈籠抜け、松井悠大健闘!

 

過去、最高峰と位置づける伝説の怪優・四つ綱の澤村源之丞(故人、浅草木馬館で逝去)だけは超えられないだろう。

 

たまよ、嬉しい時も悲しい時も、いつも一緒にいたお前」

「この身に代わって、お前が生き替わり、死に替わり」

「わらわの恨み、晴らしておくれ‥」

 

「化け猫」ものがそうであるように、ケレンたっぷり。本物の猫が抱かれて出演。

これは、たまげた演出だ。可愛く鳴く。!!

 

 

「燈籠抜け」では座長が燈籠の中を飛んでくぐる。

この瞬速ワザは圧巻である。

 

「戸板」「梯子」等、多様なケレンを魅せてくれた。

 

人を恨むのがどんなに苦しいことかを知った

愛する人の手にかかりたいと(すずの呟き)このセリフがエンディングのキモ。

 

この芝居は劇団により手法はことなる。

情念でぐいぐい引きつける春陽座など澤村系の劇団と対比したら松井悠座長はスリリングでまるで劇画的な劇風だ。わたしはどちらも高く評価する。

 

 

遺憾なく悠座長のパワーを見せつけてくれた。

 

 

★ 芝居の見どころ・私はこう見た

 

・本物のねこ登場

一心太助もでる

・コミカルな所作で笑いも

・影絵を巧みにつかう

・燈籠抜け  

・血糊たっぷりの芝居

伊賀忍者になる要件は体重が軽いこと。素早い動きは目を見張る

・戸板返し

・梯子を使った所作

・たまの怨霊とすず    

 

 

★ 口上挨拶   新川笑也 座長

22日の悠まつり・松井悠座長による新作の「化け猫」をやります。

★ 舞踊ショーの見どころ

 

・凝った企画は楽しませるのに十分だ。

・開幕が松井悠座長による落語『寿限無

・芸名 天狗連役車   出囃子「野崎」

師匠・金原亭世之介  東洋館にも落語家として出演。大阪ではトリイホールでも独演会を行った。

 

新川博也による、芝居仕立のショー「吊り忍」

・松井悠による、殺陣の絡んだ「黒い花びら」

・新川笑也による、「おさん茂平」

・コント

新川博之による「舟唄」

・歌唱、峰そのえ「未練酒」

・松井悠、中島みゆきの「ファイト!」から着付けショー

・創作組ショー「渋谷の猫」からラストへ

 

 ラストショー  開運招き猫音頭

ぎっしり盛り込んだ充実した舞台で魅了

 

特選画像

 

2022/10/17

▩ 新川劇団+松井悠 「化け猫」 木川劇場 2022/10/11

☆ 見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます。

☆ 本日はロング公演、明日は休演日

なんと22日も松井悠座長が新作「化け猫」をやるらしい。

 

しまった 絵がちがった

 

大入り満員   暑かったらクーラーかけますよとママの声、熱気が満ちる満席の公演である。

完全なコロナ終結宣言やな。場内満員御礼、お花も満杯ラッシュ。

 

マンスリーゲスト出演

・劇団悠  座長  松井悠

 

★11月の木川劇場

花柳願竜劇団 

 

☆ 6年ぶりに観る松井悠座長の「化け猫」。前回も同じく劇団悠。この劇場で見た。

 

ここ、木川劇場は以前、ストリップ小屋であった時期があり、吊りものなどできる設備は立体的でいろんなことができそうだ。ストリップ時代には逆さ吊りのSMショーなど見た記憶が蘇る。

 

▼天井に注目 ミラーボールと吊りバトンはここだけの構造 ロープも張れる宙乗りはどうかな

 

★★

 

☆ 座長 新川博  

座長  新川笑也

リーダー  新川博

今月は松井悠座長が特別参加

 

顔みせミニショー

 

 ☆特選狂言「化け猫」

 

<あらすじ>

 

下層身分のすず(松井悠座長)は、殿(新川博也座長)から寵愛を受けているが世継を産めない身体であった。

 

その弱みにつけ込む、家臣の半三(新川笑也座長)は妹・萩江を側室にさせたいと謀る。

 

「お兄様!どうして殿はあんな女の所ばかりに行かれるのか、わたしは悔しい」

 

「萩江、必ずお前を殿の奥方にしてやるから、そうすれば、殿はわしの思うがまま」

 

兄妹は密談。半三の手には、劇薬があった。

それをよく効く薬と偽り、すずに。飲ませる。

 

何も知らないすずは、半三の薬を飲む。

「ああ、なんて苦い」

 

体は本能的に劇薬を嫌がり、思わず顔を背けてしまう。

 

せき込みながら、すずは必死に薬を飲む。

悠座長の可憐さと儚さの演技が冴える。

 

薬は少しずつ、すずの体を蝕む。

美しかった姿が次第に無慚な姿にと変わり、殿の愛情も薄れていった。

 

久々に殿がすずの部屋を訪れたと思いきや。

 

「お前は、しばらく川越の別宅で過ごしたらどうかと思うのだがどうだ」

川越といえば人里離れた辺境の地。

 

静養のためとはいつわり実は厄介払いのためとすずは悟る。すずは弱った体で、必死に泣いて抵抗する。

「寂しい所へなぜ、行かねばならないのですか、嫌です!すずはお殿様の傍にいます!」

 

ついに半三に猛毒を飲まされて、すずはのたうち回る。苦悶する壮絶な場面。

 

いよいよ、復讐の場面が始まる。

 

すべての企みは半三と萩江だったことを知ってしまったすず。

 

虚ろな目でゆらりと立ち上がり、飼っていた猫の名を呼ぶ。

 

 なんと、生猫が登場。猫が間合いをわきまえず鳴くのはご愛嬌。

 

 

殿の家臣半佐に自らの生き血を猫に吸わせ復讐を誓う。

彼女が復讐するのは、自分を最後には捨てた殿と、毒を盛った家臣。

 

すずの死後殿の側室に上がるその家臣の妹萩枝。

 

劇団悠の化け猫はどうやら佐賀怪猫伝が源になっているようだ。

 

燈籠抜け、松井悠大健闘!

 

過去、最高峰と位置づける伝説の怪優・四つ綱の澤村源之丞(故人、浅草木馬館で逝去)だけは超えられないだろう。

 

たまよ、嬉しい時も悲しい時も、いつも一緒にいたお前」

「この身に代わって、お前が生き替わり、死に替わり」

「わらわの恨み、晴らしておくれ‥」

 

「化け猫」ものがそうであるように、ケレンたっぷり。本物の猫が抱かれて出演。

これは、たまげた演出だ。可愛く鳴く。!!

 

 

「燈籠抜け」では座長が燈籠の中を飛んでくぐる。

この瞬速ワザは圧巻である。

 

「戸板」「梯子」等、多様なケレンを魅せてくれた。

 

人を恨むのがどんなに苦しいことかを知った

愛する人の手にかかりたいと(すずの呟き)このセリフがエンディングのキモ。

 

この芝居は劇団により手法はことなる。

情念でぐいぐい引きつける春陽座など澤村系の劇団と対比したら松井悠座長はスリリングでまるで劇画的な劇風だ。わたしはどちらも高く評価する。

 

 

遺憾なく悠座長のパワーを見せつけてくれた。

 

 

★ 芝居の見どころ・私はこう見た

 

・本物のねこ登場

一心太助もでる

・コミカルな所作で笑いも

・影絵を巧みにつかう

・燈籠抜け  

・血糊たっぷりの芝居

伊賀忍者になる要件は体重が軽いこと。素早い動きは目を見張る

・戸板返し

・梯子を使った所作

・たまの怨霊とすず    

 

 

★ 口上挨拶   新川笑也 座長

22日の悠まつり・松井悠座長による新作の「化け猫」をやります。

 

★ 舞踊ショーの見どころ

 

・凝った企画は楽しませるのに十分だ。

・開幕が松井悠座長による落語『寿限無

・芸名 天狗連役車   出囃子「野崎」

師匠・金原亭世之介  東洋館にも落語家として出演。大阪ではトリイホールでも独演会を行った。

 

新川博也による、芝居仕立のショー「吊り忍」

・松井悠による、殺陣の絡んだ「黒い花びら」

・新川笑也による、「おさん茂平」

・コント

新川博之による「舟唄」

・歌唱、峰そのえ「未練酒」

・松井悠、中島みゆきの「ファイト!」から着付けショー

・創作組ショー「渋谷の猫」からラストへ

 

 ラストショー  開運招き猫音頭

ぎっしり盛り込んだ充実した舞台で魅了

 

特選画像

 

まとめの一言

大阪松竹座では日本怪談歌舞伎「貞子」「皿屋敷」、木川劇場は「化け猫」いい勝負する大衆演劇紀州屋良五郎

 

同時刻に梅田呉服座では飛翔座・恋瀬川翔炎座長による「化け猫」が‥今日は怪談Dayかいな

 

終演は16時すぎ    大入りファイブ

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

☆ 松井悠座長は天狗連役車という名をもつ落語家でもある。

 

座長 新川博  

座長  新川笑也

リーダー  新川博

昌史

天道新太郎

峰そのえ

小峰ゆかり

峰川あいか

小峰妃奈乃

川乃洋二郎

大津弥生

 

【参考メモ】

 

日本三大化け猫とは鍋島、岡崎、有馬 

化け猫を英語に訳すとmonster cat

梅田呉服座の飛翔座  化け猫   命綱を張ったのかな?

かつて、朝日劇場において澤村源之丞が、四つ綱を張り、空中で怪猫劇を演じた。

 

ドリフの化け猫


www.youtube.com

▩ 黒潮劇団 梅南座 「お吉物語」 2022/10/09

 見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます

 

★ 大入り御礼

 

黒潮劇団は今月の梅南座が関西最後の公演となる。来月から関東~九州方面。関西で見たい方はぜひ今月の梅南座へ。

 

 

 

座長  黒潮音之

副座長  黒潮

総座長  黒潮次朗

 

南座スケジュール (画像)

11 劇団花組むらさき

 

 

黒潮劇団のスケジュール

(別掲)

 

タペストリーもほとんどすべてが黒潮優!

どれだけ力を入れているかがうかがえる。

 

メンバー

総座長  黒潮次朗

座長  黒潮音之

花形  黒潮

後見  神楽良

ほか

 

 

☆ 特選狂言 「お吉物語」  

 

 配役

神楽良‥島田奉行所 組頭 伊佐進次郎

黒潮音之‥ハリス

黒潮優‥お吉

黒潮次朗‥鶴松

黒潮花千代‥芸者お福

ほか

 

 

あらすじ

 

お吉の伝承をベースにした力作で、凝った演出の芝居だった。黒潮劇団の芝居へのこだわりを感じることができた。

 

まず開演で浪曲流れ開幕。

下田・玉泉寺に領事館がつくられ、領事としてハリスが駐留することになった。

 

ハリス、通訳、組頭の掛け合い、アメリカ風のアドリブが面白おかしく、爆笑に巻き込んだ。

 

話は進み、ハリスが見そめたお吉は政治交渉の材料に、ここから運命の歯車がまわりはじめる。

 

恋仲であった鶴松には、船頭の身分、名字、帯刀、十両と引き換えを約し、お吉をハリスの世話係にするため別れ話を呑むのが条件だった。

 

難題だが、すべては國を救うため、また、鶴松の老母孝行のためと恋慕の思いを断ち切り別れる覚悟をする鶴松。

 

鶴松の出世を願うがゆえに思いを断ち切るお吉。

愛ある二人は引き裂かれゆく。定めは恨むしかない。

 

ところが、鶴松、名字・帯刀が許されるも俸禄の約束事は反故にされてしまう。

 

それをなじる無念の鶴松。無念のお吉は甲斐甲斐しくハリスの傍につかえるため玉泉寺へ。

 

時流れ、いったんは鶴松と一緒になった二人だったが、毛唐と蔑まれた古傷から争いは絶えず、やがて鶴松は亡くなってしまう。自暴自棄になったお吉は毎日酒浸り、とうとう乞食に身を落とす。

 

儚くも鶴松の墓前で酒を浴びながら悲しい悲しい過去に咽ぶお吉であった。

 

鶴松の墓前で邂逅する組頭・伊佐とお吉。

慚愧の念で詫びる伊佐に毒づき思いの丈を叫ぶお吉。

 

「わたしの鶴さん、わたしの昔を返しておくれよ」

叫ぶお吉は無念の最期を迎える。

 

だが霊界から現れた鶴松。二人は言葉を交わすところまで描いて救いと安らぎを‥そして、血を吐き墓前から川へと転落死、お吉は病み果てる。

 

このむすびが芝居の見どころか。女形芝居で難しい役どころを演じた黒潮優副座長は大したものだ。

 

林部智史の「会いたい」が流れ‥情感はピークに。

 

****

 

熱演の副座長・黒潮優、圧巻の階段落ちならぬ墓前から川(のちにお吉が淵)へ、酒に溺れたお吉が転落死をする様子までをキッチリ実際に転落して見せるという手の込んだ演出で盛り上げる。この黒潮優の熱血の演技に拍手を送りたい。

 

76  

 

****

 

物語の主人公・「唐人お吉」の伝承

 

18411110日 愛知県知多郡内海の船大工、市兵衛の次女として生まれる。四歳の時に下田に移り住み14歳で芸妓になった。

 

お吉には船大工鶴松という許嫁がいたが17才の時 アメリカ総領事タウンゼントハリスに見染められ鶴松との仲を引き裂かれ玉泉寺へ侍妾として通う。

 

 

その時にお吉に渡された支度金は二十五両、月給が十両であった。これだけの大金を稼ぐことは小さな漁村・下田では七生かけても無理だといわれるほどの金額だった。

 

その噂は異人と交わった、唐人、ラシャメンという罵声嘲笑の中、横浜で鶴松と再会し下田に帰って所帯を持つも二年で離別。その後は貧窮の果てに身を持ち崩し明治24325日、豪雨により水かさのました稲生沢川、門象ケ淵(現在のお吉が淵)に投身自殺したとされている。時にお吉50歳だった。

 

 

 

 

開国と幕末維新の動乱の中で生きたた斎藤きちにまつわる物語。数多くの劇団で上演されつづけている。ぜひ、舞台で。

 

 

口上挨拶 副座長・黒潮  

・各種演目スケジュール<別掲>

 

舞踊ショー  

・工夫こらした飽きさせないショー構成

・ラスト舞踊‥さよならエレジー

  

【画像】

 

バージョンアップの黒潮劇団、「黒潮優」が拓く劇団の未来、これからが楽しみだ・紀州屋良五郎

 

▩ 映画『千夜、一夜』を見た

〇 まいど、おおきに。こんな映画を見ました。

〇 予告編

 

STORY
 
劇映画デビュー作「家路」で高く評価されたドキュメンタリー出身の久保田直監督が、日本全国で年間約8万人にも及ぶという「失踪者リスト」に着想を得て制作したヒューマンドラマ。「いつか読書する日」の青木研次がオリジナル脚本を手がけ、愛する人の帰りを待つ女性たちに待ち受ける運命を描き出す。

北の離島にある美しい港町。登美子は30年前に突然姿を消した夫の帰りを待ち続けている。漁師の春男は彼女に思いを寄せているが、彼女がその気持ちに応えることはない。そんな登美子の前に、2年前に失踪したという夫・洋司を捜す奈美が現れる。奈美は自分の中で折り合いをつけて前に進むため、洋司がいなくなった理由を求めていた。ある日、登美子は街中で偶然にも洋司の姿を見かける。
 
キャスト

田中裕子、尾野真千子安藤政信、ダンカン、白石加代子、長内美那子、田島令子山中崇阿部進之介田中要次平泉成小倉久寛

 
スタッフ

監督・編集:久保田直
脚本:青木研次
音楽:清水靖晃
撮影:山崎裕
照明:山本浩資

 
上映時間  126分

 

〇 私が見たまま、感じたまま 〇

 

けっしてわかりやすいという映画ではない。

第一、取り上げるテーマもとても重いテーマなのだからしかたがない。いま、この平和ぼけした日本で年間八万人もの人が失踪している。理由はさまざまであろう。この映画がZoomupしなければそのような現実もかき消されてゆく。

 

さすがは、ドキュメンタリー出身の監督だとても映画にしにくいであろう「重いテーマ」に焦点をあててくれたと喝采を送りたい。

 

決して、政治問題としての拉致をメインにしたのではないが十二分に拉致被害における分断された家族の表現出来ない苦しみの一端も感じることができる気がする。

 

田中裕子、尾野真千子白石加代子といった芸達者な名優によるキャスティングだけでもひきつけるものがある。

 

30年前に姿を消した夫を待ち続ける登美子(田中裕子)、そんな彼女の存在を知り訪ねてきた島で働く看護師の奈美(尾野真千子)もまた、教師の夫・洋司(安藤政信)が2年前に失踪していた。

 

似たような境遇の奈美と手がかりを探る登美子は、次第に彼女と自分を、洋司を夫とだぶらせていく。そんな時、偶然渡った新潟の街で登美子は洋司の姿を見つける。

 

おなじく夫を待ち続ける境遇ではあるが自身の人生の捉え方が違っていた。それは、年齢によるものなのか、境遇なのか、愛の形の違いなのか、けじめのつけ方の違いなのかとてもとても、理解しがたい世界が拡がる。

 

それを解くひとつの手がかりは奈美が登美子に言い放つ言葉だった。「あなたの中で夫はもう死んでいるとわかっているから待ち続けることができるのよ」このひとことはとても重く、深く突き刺さってくる。

しかし、これとて当事者でなければ心境はわからない。

 

わかったのは、孤独の中で生きていくには人は余りに儚くももろい。仮設でも、幻影でも、妄想でもいい必死にすがりながら生きながらえていくことだけだ。

 

全編が佐渡で撮影された映画だ。日本海の荒波とかつては遠島の流刑地でもあった佐渡

情景の美しさとは対照的に厳しくもつらい現実が映し出される。

 

はっと気づくのである。だれびとにも悲しさのない人生はない。

救いようのない人生にもきっと木漏れ日がさすときがある。

 

たとえ幻想でも一条の光で生きていけるのが「人」かもしれない。

そんなことを考えさせる作品だった。

 

▩ 黒潮劇団 梅南座 2022/10/05

 見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおます

 

☆先月の華舞台 星天座に引き続き、梅南座

 

11 劇団花組むらさき ※しばらく見れなくなると思うと…

 

 

黒潮劇団のスケジュール

(別掲)

 

 

 

 

 

タペストリーもほとんどすべてが黒潮優!

どれだけ力を入れているかがうかがえる。

 

メンバー

総座長  黒潮次朗

座長  黒潮音之

花形  黒潮

後見  神楽良

ほか

 

 

芝居 「古里の兄」  

 配役

神楽良‥目明かし亀ちゃん

黒潮音之‥三之介

黒潮優‥時蔵

黒潮次朗‥三之介の女房おしま

黒潮花千代‥霞の三次の女房およし

ほか

 

あらすじ

 

のぼる會系で何度か見る機会を得た

 

<喧嘩出入りの場>

 

時蔵は喧嘩場で親分を殺した新吉を斬る

新吉は子供だけはヤクザにするな。信州は丸子の宿、故郷の兄のところへ行けと女房に言い残し息絶える。

 

新吉には妻子がいたことを知り後悔する時蔵であった。

 

<三之介の家>

 

三之介はヤクザから足を洗い百姓として女房と暮らしていた。そこへ三次の女房が赤ん坊と共に訪れる。手には亡き夫の手紙が‥

 

三之介は弟の三次も一緒に来たものと思ったが弟・三次が死んだことを聞かされる。

 

遺髪と手紙で事の次第を知る

 

三次の女房は子供と一緒にこの家で暮らさせて欲しいと頼む。

これを快く迎える夫婦。

 

三之介は赤ん坊が新吉に似ていると喜ぶが

ヤクザになって死んでしまったことを嘆き悲しむのであった

 

そうこうしているうちに時蔵がヤクザに襲われ

傷を負って三之介の家に逃げ込んでくる

 

三之介の女房は時蔵が家出した弟であることを知る。

ふたりは再会を喜ぶが時蔵が新吉を斬った男であることを知るのであった

 

亭主の弟を殺したのが自分の弟と知った三之介の女房。女房の弟が自分の弟を殺したと知った三之介。

 

自分が斬った男が姉の亭主の弟と知り後悔する時蔵

 

そして自分にお金を渡した男が夫・三次を殺した男と知った女房。運命が皮肉にも巡る水車。

 

怒りで時蔵を斬ろうとする三之介。弟を殺さないでくれと必死で頼む女房。

 

苦衷の心〜三之介の苦悩と時蔵への怒り〜複雑に交錯し螺旋階段の定めの車がぐるぐる回る。

 

されど、全てを了知した三之介。

旅支度までさせて送り出す。

 

やがて、時蔵を捕らえようとする目明しの魔の手が迫る。

揺れる心をぐっとこらえ、情けをかける兄の熱情は見もののシーン。

 

 

****

 

ラストは‥‥助けて逃がす

 

51の芝居 

いろいろそぎ落とすとこういう芝居になるのか

まとまりかたはみごとだな。

 

口上挨拶  黒潮優副座長 

 

・各種演目スケジュール<別掲>

 

 

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舞踊ショー  

・工夫こらした飽きさせないショー構成。少人数ながら勢い充分。

・ラスト舞踊‥残響残花

  

【画像】

 

 全体通し、休憩含めて2時間30分の公演。私は、これでよいと思う。

 

バージョンアップの黒潮劇団、「黒潮優」が拓く劇団の未来、楽しみだ・紀州屋良五郎

 

★ 私がいま、心底おもうのは「大衆演劇」を観る力を磨きたいということだ。真剣勝負で板にのる役者の修行の一端でもわかる観巧者になりたいと願うばかりだ。

 

 

☆ コロナ明け新時代は大衆演劇にさまざまな変化をもたらせた。関西の事情

 

 入場料金の値上げ  物価上昇

 劇団、劇場の休日の増加、定例化

 劇団の合同や休団、座長のフリー活動化流動化

 2カ月通し公演が徐々に増えつつある

 公演時間の短縮  2時間30

 送り出しの復活  触れ合いへの回帰

 

これらについてはまた機会を改めて書くつもりである。