〇 まいどおおきに〜観劇関連メモでおます
時間があったので「男はつらいよ」シリーズのDVDの中から旅回りの一座が登場するところを駆け足でみた。
以下、18.20.24.37に登場する。
ある日、小屋を訪ねた寅さんは座長から長雨のためお客様が途絶え、興業ができないとの悩みを打ち明けられる。温かく励ます寅さんが雨のなか帰るというので座長が花形・大空小百合に傘をさして宿まで送らせる。
「お姉チャン、つれいことはねえかい」と寅さんが小百合に聞く。「そりゃありますけど、舞台に立ったら忘れます」と小百合。寅さんは「おめえさんは大きくなったらきっと素晴らしい女優さんになるよ」とはげまし、皆でメシでも食ってくれと懐からお金を渡す。
小百合が聞く「先生のお名前は?」
「名乗るほどの者じゃねえよ」
「そやかて、座長さんにしかられますから」
「そうかい。じゃこう覚えておくれ、東京は葛飾柴又の生まれ車寅次郎。人よんでフーテンの寅というしがねえ旅烏だとよ」
「はい、フーテンの先生ですね」
‥‥
場面は、舞台稽古、真剣に殺陣をつけるシーンなどを織り込みながらすすむ。
やがて車寅次郎は一座の人たちから先生と呼ばれ慕われる。そんな寅さんもまたテキ屋稼業の旅人だ。
見ている私たちも人生という劇を演じる旅の途上のように思えてくる。
渥美さんは、浅草のストリップ劇場でコメディアンとして芸人人生をスタートされました。
芸に生きる人達の苦労や喜びを知っているからこそ真に迫るシーンが映えるのだなと思う。
それにしても、山田洋二監督の目線はどこまでも暖かい。庶民感覚に寄り添うように全作が作られている。世相・政治風刺もやんわりとしたなかでピリッと効かせている。
マドンナたちの生き様、生い立ちも時代をみごとに投影している。ここらが長く魅了される要なのかもしれない。
紀州屋良五郎