紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『流浪の月』を見た

◯ 豪華なキャストでつくられた『流浪の月』

 

 

 

 

 
STORY

雨の公園で、10歳の少女・家内更紗がびしょ濡れになっているのを目にした19歳の大学生・佐伯文。更紗に傘を差し出した文は、引き取られている伯母の家に帰りたくないという彼女の気持ちを知り、自分の部屋に入れる。そのまま更紗は文のもとで2か月を過ごし、そのことで文は誘拐犯として逮捕されてしまう。被害女児、加害者というらく印を押された更紗と文は、15年後に思わぬ再会を果たす。

キャスト
スタッフ

原作:凪良ゆう
脚本・監督:李相日
撮影監督:ホン・ギョンピョ
音楽:原摩利彦
製作総指揮:宇野康秀
製作エグゼクティブ:依田巽
製作:森田篤
プロデューサー:朴木浩美
エグゼクティブプロデューサー:小竹里美
ラインプロデューサー:山本礼二
美術:種田陽平、北川深幸
照明:中村裕
音響:白取貢
音響効果:柴崎憲治
編集:今井剛
装飾:西尾共未、高畠一郎
キャスティングディレクター:元川益暢
衣裳デザイン:小川久美子
ヘアメイク:豊川京子
制作担当:多賀典彬
助監督:竹田正明
韓国コーディネーター:鄭信英
音楽プロデューサー:杉田寿宏
宣伝プロデューサー:依田苗子、新田晶子

上映時間 150分
 
◯ わたしの見たまま感じたまま ◯
 
死ぬほど悲しいのに、心うついい映画だった。正直、広瀬すずがこんなに上手い女優だとはしらなかった。
 
2時間半、息もつかせず釘付けにする映画はそうない。少女の生い立ちと秘密はおおよそ推測はついた。が、しかし、学生のふみの秘密、過去は最期のどんでん返しで明らかになるが意表をつくものだった。それは、秘密にしないと‥
 
過去と現代が幾度となく、繰り返し繰り返し考察するカメラワークの手法はくどくもあり、わかりやすくもあり、それでいて小気味よい詩のリズムをきざみながら進む。まるで次第に魔術にかかってしまうように心地よく酔う快感を味わう。次第に不思議な境地をさまよう。
 
ひとが何にひかれるのか、たとえ男女の交わりがなくても人間としての愛の極地まで高められたとき、そこに何が見えてくるのかを示唆する深みのある映画だ。
 
松坂と広瀬、そして、横浜流星の個性が眩いほど輝いている。ラストシーンに近づくと涙が流れるというより滲んでくるのだ。ああ、いい映画に出会うことが出来て幸せだと感じた。
 
実に、映画はこころを満たす至極のプレゼントだ。李相日監督に感謝する。
大ヒットする映画だ。見ないといけない何かがきっとある。