紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『おっさんずぶるーす』を見た &舞台挨拶・女優の範田紗々さん

〇 おっさんが主役のおもしろい作品を見ました。

〇 予告編 〇

 

 

〇 上映作品:〈ワーク編〉

 

★上映後 舞台挨拶  範田紗々さん

 

 

 

 

 

7人のおっさん監督が、おっさん俳優を主演に据えて日本映画界に一石を投じるオムニバス企画。

 

 

全作品共通のテーマは、おっさんたちが抱える「違和感」。様々な切り口で「人生」や「社会」への違和感を描きます。
クラウドファンディングでのべ200人の方から300万円超のご支援をいただき、湯布院映画祭、福岡インディペンデント映画祭などで好評を博した本作が、遂に満を持して劇場公開!

<ファミリー編>(4本・67分)
前田直樹監督『21世紀のおじさん』
真田幹也監督『オファーを待ちながら』
荒木憲司監督『全く最近のおやじモンときたら…』
西村大樹監督『たそがれのあとに』

<ワーク編>(3本・59分)
越坂康史監督『トイレのおっさん』
中村公彦監督『カリスマハウス』
細野辰興監督『謎乃中年認定壱拾箇条』(なぞのちゅうねんにんていじゅっかじょう)

〇 私の見たまま、感じるまま 〇 〈ワーク編〉

おっさんがつくり、おっさんが主役。観客もおっさんというけったいな映画であるが実に奇想天外でおもしろい。

おっさんならではの発想が作り出した世界が拡がる。たっぷりと浸かるとその魅力で、沼から這い出せない心地よさがのこる映画である。

とくに、越坂康史監督『トイレのおっさん』がおもしろかった。江戸川乱歩の『人間椅子』から着想した作品らしく、トイレの便座があるおっさんの輪廻転生の場であった。

便座からみた生身の人間の感触がリアルに伝わってくる。人間の暗部、陰はこの開放的な個室空間にある。いや、現代はそこにしか天然の自分がいないというべきか。

トークショーに迎えた女優の範田紗々さんがさまざまなエピソードをたのしそうに語られ、ぐっと身近に感じられる作品となった。

それにしても、日本を旅する青年が小さな椅子になるという新海誠の『すずめの戸締まり』などの作品もおおくの人の関心を集めた。人が何かに憑依しないと本来の自分を語り出せない空気感のようなものが私たちの周りに立ちはだかっている。

さて、これからは、おっさんがおっさんのままで、ありありと吠える時代がやってくるのだろうか?そんな事が気になるいくつもの話題作である。

音楽を担当された、ひと:みちゃんも以前からよく知る方で、この映画をみるきっかけになっていることも付け加えておきたい。