紀州屋良五郎の大衆演劇・上方芸能 通信

大衆演劇については全国の劇場や公演場所に出かけ、その地での公演の所感・演出効果・劇団の印象を綴ります。さらに大道芸や上方落語、講談、音頭、漫才、見世物、大道芸、放浪芸、映画評についても思いつくままに書き留めてまいります。 末永くのおつきあいをよろしくお願いいたします。

▩ 映画『邯鄲の夢 三重芝居と四人の役者』を見た

〇 大阪で見逃し、神戸で見た

 

〇 概略

出演
三天屋 多嘉雄/須賀 貴匡/松林 慎司/沢 竜二/兼崎 健太郎/岡本 茉利/木内 竜喜/實川 加賀美/實川 輝那 ほか 
監督
三天屋 多嘉雄
上映時間
130分
配給
 
解説
脚本家の沢田冴之介(須賀貴匡)は仕事に行き詰まり、鬱積した日々を過ごしていた。冴之介はとある大衆演劇一座の後継者争いに巻き込まれた過去があった……沢田(沢竜二)座長の後継者の座を狙っていた座長の息子・冴之介。弟子の三津葉銀次(松林慎司)は、冴之介に対して強い嫉妬心を抱き、冴之介もまた、座長に剣劇の腕を認められ一座で一目置かれている銀次を尊敬とともに妬ましく思っていた。ある日、真正女澤正劇の稽古中、銀次の刃先が冴之介の片目を突いてしまう悲劇が起こる―。冴之介は役者を続けられなくなり、銀次は一座を追いやられてしまう。2人の数奇であり遠回り、迷い込んだ長い“夢追い人の物語”が始まるのだった。

 

〇 予告編

 

 

 

 

〇 全国上映スケジュールと作品解説

https://kantannoyume-movie.com/

 

 

〇 わたしの見たまま、感じるまま 〇

 

澤正劇の最大の特徴は型とリアリズムの融合らしい。この映画は真正女澤正劇の一端を再現した貴重な作品だ。その作品を沢さんの息のかかった弟子たちが演じる。
 
まさに、伝統藝相伝。沢竜二さんの旅役者道をそのまま浮き上がらせるとともに、それを継承する若き弟子たちにバトンを託す作品というような性格をもった作品なのだ。
 
撮影の現場となった重要文化財・山鹿の八千代座、その奈落、楽屋、舞台裏の動線が細かく写され、板に生きた座長たちの魂が今に蘇ってくる。
 
沢竜二さんが二階客席で感慨深く、呟くシーンがある。私はそこに万感の役者道を見た。
 
1984年‥…かっ』
 
彼は呟く。その年こそ、そう。全国の旅役者が一堂に会し盛大な『全国座長大会』が開催された記念すべき年であった。遠くを見るような眼差しで沢さんが語る。私にはそこがこの映画の『魂』に思えた。
 
エンディングに流れる『花道一人旅』にすべてが込められている気がしてならない。

 

 

舞踊・劇団雪月花 桜川翔座長 著名ブロガーレイジイさん製作